転職No | case112 |
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名前・性別 | 山内咲和(仮名)・女性 |
転職時の年齢 | 26歳 |
転職時期 | 2016年10月 |
転職前の仕事 | 百貨店販売員(東京都) |
転職後の仕事 | 派遣会社総務部(東京都) |
書類提出 | 15社 |
面接 | 3社 |
転職回数 | 1回目 |
転職活動期間 | 1ヶ月(働きながらの転職活動) |
卒業大学 | 早稲田大学 人間科学部 |
ポイント | 百貨店販売員から派遣会社総務部へ転職!身体を使う仕事からデスクワークへ。 |
自分のやりたい仕事と配属先のギャップに苦悩する・・・
-前職に入社した経緯と、業務内容・担当していた仕事について教えてください。
(山内)新卒で入社しました。人がたくさん集まる空間のプロデュースに携われる仕事がしたいと希望し、将来的には原画展や美術展のような企画催事の道に進みたいと考えていました。実際のところは、婦人服の売場に配属され、販売経験を3年積んだのち、フロアマネージャーとしてテナントのマネジメントを2年担当しました。フロアの一区画をつくるという意味では、人の集まる空間づくりという当初の夢は叶えることができたと感じています。データを分析してテナントの顧客アプローチに活用したり、日々テナントやフロアで発生するトラブルに対処しながら、さながら毎日が文化祭のような現場での仕事でした。同期入社の仲間は、「ファッションが好き!将来はバイヤーになりたい!」という人ほど早々に退職していき、夢と現実のギャップに悩んでしまうのかなぁと、ファッションにさして興味もなかったのに放り込まれた自分は感じていました。
-前職の「百貨店」の職場の雰囲気はどうでしたか?
(山内)女性が多い環境だったのですが、自分自身中学から女子校育ちだったこともあり、さほど苦労することはありませんでした。むしろ女性ばかりだからこそ、体力仕事もすべて自分たちでこなさなければならず、そうした意味で体力の限界を感じることも多々ありました。また性格のきつい年長者も多く、特に外見について毒を吐かれたことも数え切れません。日常においては憤慨してしかるべきなのですが、ファッションという見た目を聞かざる仕事である以上、そうした言葉も一度受け止めて考えてみる、考えた上で納得ができれば修正するし、出来ない場合は自分を突き通すという、タフさを身に着けることができたように思います。
-転職しようと決意した出来事は何かありましたか?
(山内)幼いころから体が弱く、なんとかだましだまし仕事をしていたものの、入社4年で2度目の長期入院をした際に今の仕事をずっと続けられるだろうか、と考えたことがきっかけでした。その入院の際に、自身が難病を患っていることを知り、猛烈仕事人間としては生きていけないことを突き付けられたからです。現場以外の業務もあることは理解していましたが、そもそも現場の仕事がハードでありながら好きだったこと、現場を離れてまでその企業の一員である意味が見出せなかったこと、業界としても明るい展望が描けないことから、転職へと踏み切りました。夏の紫外線が体に悪い影響をおよぼすため、7月中の転職活動は想像以上に体にこたえ、「これで決まらなかったら半年後まで伸ばそう」と思っていた矢先に内定をいただけたため、現職に至ります。
-難病を患っていたとは大変でしたね。転職は勤続何年目、何歳の時ですか?
(山内)新卒で入社してから4年半、26才の時。初めての転職です。
DODAで働きながら転職活動。デスクワークを希望し・・・
-初めての転職活動はどのように情報収集しましたか?
(山内)大学の先輩や辞めていった同期から、転職エージェントの話は耳にしていたため、真っ先に転職エージェント(DODA)に登録しました。
-DODAの対応はいかがでしたか?良かった点、悪かった点はありますか?
(山内)よかった点は面接など丁寧にヒアリングをしていただき、さまざまな点において納得できる回答やコメントをいただけたこと。悪かった点としては、景況や志望が事務職だったこともあるかと思いますが、正社員での転職を希望しているとしているにも関わらず、契約社員の仕事も勧められた時は違和感を覚えました。カウンセラーの方も、結果的にはよくしていただきましたが、「おそらく自分より若いのでは…?」と当時26、7歳の私が感じるような、まだまだフレッシュさのある方が担当だったため、自分の意思は自分で決めなければいけない、この人にまかせっきりやこの人の言うなりになってはいけないと、逆に気を引き締める展開となりました。
-書類選考や面接ではどんな点をアピールをしましたか?
(山内)10テナントのマネジメントを担当した経験から、同時進行で複数タスクを処理できることをアピールしました。面接時には「フロアマネージャーとは具体的にどういったことをするのか」といった当時の仕事の話はもちろん、「あなた自身はどんな人ですか?」といった、自分の信念や考え方を聞かれるような場面もありました。印象的だったのは、今の職場の面接で、「大切にしていることは何か」という質問から派生して、「どんな風にあるべきと考えているか」という話になった時に、小さい頃から母に教育された“自立した人であれ”という教えについて話をしたところ、一貫性がある、矛盾がないと判断してもらうことができ、そのことが採用につながる一因になったと、後々知りました。
-転職活動をスタートして内定するまでどのくらいかかりましたか?
(山内)1ヶ月です。働きながら転職活動しました。
-新しい会社を選ぶ際、最も重視した事は何ですか?
(山内)最も重視したことは「体調面を気遣いながら働くことができること」です。面接時にも持病を抱えていることは告白したうえで転職活動をしており、もしその結果落とされる会社ならきっと就職しても長くは働けないと、ある意味割り切って考えていました。また企業として安定している、上場企業であるという点も重視しました。収入についても重視していたものの、前職がほかの会社よりも薄給だったため、その基準によって選択しがぐっとせばまるということはありませんでした。また、持病もあったため、関西の実家からは戻るよう説得された時期もあったのですが、「20代の一番闊達な時期、もう少し東京にいたい!」という気持ちが強くあったこと、それを叶える職場だったことも転職先として決断する一因となりました。
-持病を理解した上で採用してくれてよかったですね。転職活動中一番辛かったことは何ですか?
(山内)書類選考で予想以上に落とされた印象がありました。あとから考えると、新卒採用とは異なり中途採用はよい人材が見つかればその時点で企業側が採用活動を停止させることができるため、自分の適性が合わなかったということ以外の企業側の理由で不採用となるケースも多いということに気づかされました。
身体の負担軽減、カレンダー通りの休日、安心して働ける新環境!
-新しい職場の業務内容と担当されている仕事内容について教えてください。
(山内)現在の職場は派遣会社です。本社スタッフとして総務部にて、文具の購入や社内マニュアルの整備、経理事務、資産の登録、社員旅行の事務局などに携わっています。正社員、総合職での転職なので、決められた手順を正しく処理するというよりも、手順をゼロから作ることを求められるため、まったくの異業種からの転職だった私は毎日戸惑うことばかりです。総務部と言うと地味なイメージがありますが、本社の様々な部署と連動して処理する業務が多いため、コミュニケーション能力にたけた人でないと勤まらない仕事だと感じます。ひとつひとつの手順を深堀して固めていく作業となるため、前職にくらべて細かいことにものすごく時間をとられているような感覚を覚えますが、まさに「急がば回れ」で、結果的には手戻りなくスムーズに運用に乗せることができた際などは達成感を覚えます。
-新しい職場は前職と比べてどうですか?良かった点・悪かった点を教えてください。
(山内)転職前よりもよかった点は、まず第一に体の負担が大幅に軽減されたこと、またカレンダー通りの勤務体系となり年間休日日数についても増えたことがあげられます。新卒の就職活動の際は、健康状態のことも自覚していなかったため、男性に負けずに仕事をバリバリこなしたい!と思っていましたが、今となっては体と折り合いをつけながら、そして家庭と折り合いをつけながら、ほどほどに働くという選択肢も決して悪ではないのだと感じています。悪かった点としては、やはり前職ほどの刺激はないため、日々が単調に感じられる点、またこまかなことにもお伺いをたてる必要があるなど、スピード感がない点を感じます。将来キャリアアップしていくことはできるんだろうかと不安に思う反面、今の状況でずっと安定できるのであればそれはそれでよいのではなかろうか、という気もしてしまい難しいところです。
これから転職をしようと考えている方に向けてアドバイスを!
(山内)プライドは捨てて、人の力を借りることを選択肢にきちんと組み込んでおくことが重要と感じます。周囲で転職活動をしている者もおりますが、変なプライドを振りかざして自己流で転職しようとして、結果希望の職場に行きつかないという例を見たことは一度ではありません。また女性は特に、年齢に合わせた働き方についても真剣に考えた上で転職活動をするべきだと感じました。私自身、転職活動時にはまったく想像できていなかった結婚・出産というライフイベントが、今現在以前より鮮明にイメージできる状況となり、そうした人生の歩み方をした場合、今の仕事を続けることが最善なのかどうなのか、改めて考える必要があるなと感じています。「この転職にすべてを賭ける」のではなく、「まずは試しにやってみよう」というくらいのフットワークの軽さも必要なのかもしれません。