転職No | case87 |
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名前・性別 | 伊田さゆり(仮名)・女性 |
転職時の年齢 | 27歳 |
転職時期 | 2013年5月 |
転職前の仕事 | 石川県職員(石川県) |
転職後の仕事 | 地元スーパー正社員(石川県) |
書類提出 | 1社 |
面接 | 1社 |
転職回数 | 1回目 |
転職活動期間 | 2年間(退職後の転職活動) |
卒業大学 | 金沢大学 法学部 法律学科 |
ポイント | アルバイトをしながらハローワークを中心に転職活動。 |
大学卒業後、県職員として学校事務員に。やりがいのない仕事に苦悩する…
-前職は公務員だったのですね。就職までの経緯を教えてください。
(伊田)私が大学生の時は、リーマンショックによる経済不況で、就職が非常に困難な時期だとされていました。周りの友人たちの、就職に対する安定収入の意識は高く、公務員は人気の職種となっていました。大学では公務員志望者向けの公務員試験講座が開設されていて、私は特に学生時代に確固とした将来像もなかったので、周りの友人たちにつられて公務員の講座を受け始めることにしました。一般的な職種としてすぐに思い浮かんだのが、市役所や県庁の職員だったので、これらを目指して勉強に励み、試験に合格して就職しました。
-前職では、どのような仕事に携わっていましたか?
(伊田)石川県庁の職員として、配属されたのが県立学校の事務職員でした。県立学校に配属され、はじめは学校に届く郵便物の仕分けや、来客のお茶出しが主な仕事でした。
-職場の雰囲気はどうでしたか?不満はありましたか?
(伊田)配属先がはずれくじだったのか、とにかくいろいろなことで不満だらけの毎日でした。郵便物の仕分けや、お茶出しなんぞアルバイトでも雇ってしてもらえばよいものを、1日8時間働く正規職員がする仕事であるのかといつも疑問に思いながら仕事をしていました。上司や周りの先輩たちは、備品、給与などそれなりの価値ある仕事をしていたので、自分自身も早く成長してその仕事に取り組みたいと考えていました。また、先輩職員は女性で独身の方が多く、新人に対する教え方も必要以上に細かくヤジを飛ばすように指導してくるので、私自身も彼女たちに対する不満はかなり大きかったです。
-安定職である公務員を辞め、転職しようと思われた具体的な理由とは?
(伊田)配属されて何年か勤務した後には、別の配属先も考えらえれると思ったのですが、前例を見たり聞いたりしている限り、一度学校方面に配属になった人は、その後別の部署に配属になることは希望届を出さない限りないことが分かってきました。日ごろの業務も手が空くことが多く、仕事にやりがいを感じられませんでした。部署によっては仕事が多すぎて夜遅くになることがあるところもあるそうですが、友人たちの話によると、どの部署も基本的には手が空いた状態が続くようで、思っていた公務員の仕事とはこれほどにまでもつまらないものかと感じました。独身の女性職員たちからは毎日くだらないヤジが飛んでくることも私の転職に対する決意を高めました。
-県職員としてどれくらい勤務されましたか?転職活動を始めた時の年齢とは?
(伊田)3年間勤務していました。勤続4年目、25歳の時に転職活動をスタートました。転職は初めてです。
ハローワークをメインに、アルバイトしながら転職活動!
-転職活動はどのように行いましたか?転職エージェントは利用しましたか?
(伊田)ハローワークをメインに転職活動を行いました。転職エージェントは使いませんでした。使うほどのスキルを持っているわけではありませんでしたし、お金がかかるわりに恩恵が少ないのではないかと思ったからです。とにかく、就職して転職前の職場にいた時と同じ気持ちにならないように、少しはサービスの残業があってもよいので、仕事の内容が充実している企業を職務内容から憶測しながら探していました。定期的に企業の合同説明会も行われていたので、会社の情報はおのずと多く入ってきました。石川県のハローワークには若年者の雇用を推進する課があり、私は求職登録をしてからいつもこちらの課に通っていました。担当者の方が親切だったのを覚えています。
-書類選考や面接ではどんなことをアピールしましたか?
(伊田)県職員を退職してからしばらくの間、近くのスーパーマーケットでアルバイトをしていたことがあり、このことを利用してスーパーマーケット業界に就職してみようと感じました。公務員であったことに対する仕事のスキルはほとんどアピールできないと思ったので、新卒社員同様に、企業のために多くの利益を稼ぎ、周りのメンバーを総動員して仕事をしていきたいということをアピールしていきました。
-面接官にはどんな質問をされましたか?
(伊田)面接時において120%最初に聞かれるのは、どうして前の仕事を辞めたかということです。ありのままを答えました。人間関係面においては、話し方次第では採用担当者に悪いイメージを持たれかねないので、少し視点を変えて説明した記憶があります。
-転職活動をスタートさせて内定までどのくらいかかりましたか?
(伊田)前職を退職してから、内定が決まるまで約2年間アルバイト生活をしながらの転職活動でした。
-2年間も転職活動をされていたのですね。そんな中で新しい職場を選んだ決定的な理由とは何ですか?
(伊田)元々は、第一希望の企業ではありませんでした。ただ、志望していた企業の採用枠が狭く、志望を途中で断念してしまいました。最終的には手当たり次第の企業探しとなってしまい、とにかくどこかに就職しなければいけないと焦る情けない状態となってしまいました。そのような中で、石川県を中心に展開する食品スーパーの求人が目に入ってきました。こちらに採用され地場のスーパーでの就職となりましたが、上場企業だったということもあり業績も毎年増収増益だったので、将来性もある程度は見込むことができると感じました。また、石川県内を中心とする企業なので、移動においても自宅を転居する必要はないことも魅力でした。
-転職活動中、一番辛かったことは?
(伊田)私の面接力がないのか、思いのほか転職先を決めるのに苦労しました。志望していた会社が最終的に、私を採用する意思がないことが分かった瞬間にその企業に対する怒りも多く覚えました。私は学生時代に就職活動をしたことがなかったので、より一層心身の負担が重いと感じました。
地元のスーパーで正社員として新店舗立ち上げにも携わり、充実した日々
-新しい職場ではどのような仕事を担当されていますか?
(伊田)地場のスーパーで、店舗において商品の製造と品出しの作業となります。具体的には惣菜部門に配属となり、揚物や弁当の製造、商品化を行っています。年次を重ねるごとに職務の難易度は上がっていき、売り上げを上げるため利益を確保するためには、どのように商品を販売していくか、どのような売り場を作るかなどを部門の中心となって考える仕事を行っています。目標の売り上げと利益の予算が与えられ、これを目指して毎日切磋琢磨しています。また、人材育成をはじめとする人の調整も大きな仕事となってきています。パートタイムの社員が多い職場なので、人間関係の調整は苦労することが多く、いつも周りの社員の先輩などと相談して仕事を進めています。
-新しい職場は前職と比べてどうですか?よかった点、悪かった点は?
(伊田)総評として転職してよかったと感じています。入社したころは、名古屋証券取引所の2部に上場していたのですが、その後、相次ぐ新店舗の出店や販売戦略の現代化、明確化により増収増益の業績を納めているため、入社して2~3年後には東京証券取引所の1部まで上場しました。正直ここまで会社が成長するとは思いませんでしたし、私自身も新店舗の担当をさせていただく中で、その力となれたのかと思うととても充実感を感じられることがあります。仕事の内容が多、勤務時間は格段に長くなって厳しいと感じることもありますが、充実感による満足感がとてもあっていいと思っています。年収面に関しても公務員だった時より収入は多いです。
これから転職をしようと考えている方に向けてアドバイスをお願いします!
(伊田)転職するということは、人生の中での大きなターニングポイントとなります。仕事は生活を支える大事なことなので、転職をする際には、そのことをいつも頭の中に入れ、しっかりとした計画の下に活動を行っていくべきです。また、企業の数も星の数ほどありますが、大手の企業だからと言って決してそこは自分が満足できる環境であるという保証はありません。逆に私のように、当初の志望予定はなかった企業でも、成長を重ねていく中で生まれ変わって行く会社もあります。まずは、自分がしたいことを見つけ、できるようであれば事前に仕事の体験ができるような経験をすると、実際に仕事に就いたときにギャップがなくなります。不安が多いと思いますが、良き未来のために頑張ってください。
また、私のように公務員から民間企業へ就職するのはかなりの少数派で、周りから見ても公務員という温い環境から転職するとは世間知らずだと思われる場合が多いです。そのため、そのような思いを払しょくさせるにはある程度の実戦経験を積んで本格的な知識を積んでから面接に臨むのがいいと思います。私はアルバイトで経験を積みました。相手をある程度納得させ、その仕事に熱意を持って取り組む意思が伝われば、採用の道も明るいのではと思います。