転職No | case82 |
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名前・性別 | 渡部理沙(仮名)・女性 |
転職時の年齢 | 26歳 |
転職時期 | 2014年4月 |
転職前の仕事 | アパレル会社の製品チェック部門(東京都) |
転職後の仕事 | 大手有料老人ホーム運営会社の介護士(東京都) |
書類提出 | 5社 |
面接 | 2社 |
転職回数 | 2回目 |
転職活動期間 | 3か月(退職後の転職活動) |
卒業大学 | 東北学院大学 教養学部 |
ポイント | アパレル業界から介護業界へ未経験の転職!資格取得の費用を援助してくれる企業へ |
子供服ブランドの管理部門で在庫管理を行う職に
-前職はアパレル業界とのことですが、どのような経緯で就職されたのでしょうか?
(渡部)子供服にかわいらしさを感じ、大きな倉庫内でブランド子供服の在庫管理をする求人を見つけて応募をしました。同業他社より給与の待遇もよく、先輩も温かく迎え入れてくださいました。会社として洋服の在庫管理を受託しており、その中で各チームに分かれて在庫管理を行っていました。
-具体的にどのような仕事に携わっていたのですか?
(渡部)担当していた業務は、段ボールの中に必要枚数の洋服をカウントしてきれいに入れていくこと、中には欠損した洋服があるため、そういった製品に気づけるように注意深く作業を進めていく集中力が必要でした。一緒のテーブルを囲んで行う作業のため、同僚とのコミュニケーションも求められました。特に、段ボールに内容個数を記載する際には、記載ミスなどがあるとまた箱を開けて一からカウントし直すことになるので、注意し合って作業に取り組んでいました。
-前職はどんな雰囲気の職場でしたか?
(渡部)営業さんも一緒になって現場と一緒に作業を行い、またチームでも納期を目指して一致団結して業務に取り組んでいました。特に、繁忙期になると残業をしてその日の作業量を必ず達成する必要があるのですが、手伝ってくれる営業さんの姿勢や仲の良さもあって協力できる人は残業していました。中には、職場の業務に適応することができずすぐに辞めていく方もいましたが、長く勤めている人ほど、新人に対して丁寧に教えていたし、和気あいあいと業務に臨んでいました。
-和やかな職場だったのですね。なぜ転職を?
(渡部)興味からアパレルを選んだのですが、職場のコミュニケーションは割と浅いものに限られたので、もっと人と深くかかわりたいと思うようになっていました。最初はハローワークの職業訓練で学んだマーケティングの知識を生かし、現場の在庫管理を経験した後に営業職に挑戦しようと思っていたのですが、全く異なる学習領域が必要になり、今までとは畑の異なる介護業界を志しました。もともと、祖母のことを慕っていたこともあり、また人と話すのがとても好きだったので、その自分の特性をもっと生かせる分野で成長をしたいと思ったことが大きな理由です。また、介護であれば末永く生涯勤めるための様々な職種やキャリアプランが用意されており、将来性があると考えました。
-前職にはどれくらい勤務していましたか?転職した時期は何歳の時でしたか?
(渡部)1か月半ほどの勤務期間でした。勤続1年にも満たず、当時26歳でした。1度転職を経験していましたので、今回で2度目の転職です。
畑違いの介護業界へ。未経験からスタートできる企業を探す・・・
-転職活動はどのように情報収集しましたか?
(渡部)具体的に求人雑誌などを見ると介護はたくさん求人がある領域でしたが、初任者研修の資格取得にかかった費用を一定金額まではフォローしてくれる企業があることを知り、そのためにはどこの学校に通うと一番安い自己負担で済むのかをリサーチしました。転職エージェントはまったく利用せず、自力で会社説明会を回り、会社員経験を生かしたうえで介護業界へ転職するのであれば、株式会社が運営している有料老人ホームの形態が一番自分が馴染みやすいと考えました。フリーペーパーに求人を載せている会社を見つけてインターネットで企業情報を調べると、実際に求人誌に載っていない事業所でも欠員があるなどの事情が分かったので、そういった点も踏まえて自分の住まいから通いやすい事業所を選んで情報収集していました。
-書類選考や面接でのアピールポイントとは?
(渡部)全く違う領域からの転職でしたが、私自身はサービスや製品の先にある、お客様のためになり現場で業務に精一杯臨むことは、実際の業務内容は全く異なったとしても目的は変わらないので、そういう心持ちで今まで業務に臨んできたことをアピールし、今回はただ業種が変わるだけでなく、新たな知識の取得に向けた自主的な勉強の必要性が格段に上がること、命を取り扱う点において責任の重い仕事と認知した上で、日々の業務に勤しみたいということをアピールしました。なぜ他業種に転職することにしたのかとても不思議に思われたようですが、上記の点を説明することで納得されていました。
-内定まではどのくらいかかりましたか?
(渡部)働きながら終業後や休日に会社説明会に参加したり、現場のホームに職場見学に伺ったり、実際の選考に臨んでいました。1か月の間にスクーリングでの資格取得と就職活動を行ったのでシビアな面はあったのですが、3か月で転職活動を終えることができ、また採用担当者の方に希望就職日を限りなく早くに設定していただけるようにお願いしたため、短期間で終わらせることができました。
-数ある介護施設の中から、現在の職場を選んだ理由とは?
(渡部)初任者研修の資格取得費用のほとんど全額を会社が負担してくれる点にとても惹かれたことと、給与が最高水準だったことが最も大きな理由です。前職場よりも昇給が望みにくく、また業界全体として給与水準の低いことは認知していましたので、転職先は業界の中でも給与水準が高く、その中で自分が更なる上流の資格に対して挑戦するだけの金銭的余裕を持てることが大きく今後のキャリアプランに関わってくると考えたからです。また、実際に面接をしていただいた事業部長も会社のいい点だけではなく、成長課題であることを説明してくださったので、入社してから「こんなはずではなかった」と思うことがないのではないかと思い、この職場に決めました。
-転職活動中、一番辛かったことは何ですか?トラブルはありましたか?
(渡部)ハローワークの職業訓練に通っていたメンバーが近況を知らせてくる中で、どんどん転職先が決まっていき自分だけが残されたように感じたのがとても辛い経験です。また大雪に見舞われて電車の中に何時間も留められることになってしまい、現場ホームの職場見学に行くことができなくなってしまう中で、携帯電話の電源が落ちて連絡もなく見学に行かなかったことが最大のトラブルでした。電車が復旧し自宅に帰ってからやっと連絡をすることができたのですが、大雪の点を理解してくださったので別日程で調整していただき、改めて職場見学をすることができました。
有料老人ホームで介護士として勤務、新たな目標も!
-新しい職場について教えてください。どんな業務に携わっていますか?
(渡部)有料老人ホーム事業を行う会社で、現場の介護士として介護に携わっています。実際に有料老人ホームは介護保険を利用できる年齢の方から利用者の方がいらっしゃいますので、老人とは言えない比較的若い方もご入居や短期ステイをなさっています。中には抗がん剤治療のための入院と、ホームでの療養を繰り返すタイプのステイを利用して、がんの寛解を目指している方もいらっしゃいますので、対象が老人=認知症の方々の生活全般のお世話にとどまらず、最新の医療知識やお一人おひとりの世代に沿った接し方が求められます。その中で何年間も入居者様と向き合いますので、信頼関係を成り立たせ、コミュニケーションを取りながら日の介護業務に携わっています。
-新しい職場は前職と比べてどうですか?年収面は?
(渡部)新しい職場は上下関係が厳しく、何でも現場での経験が求められるところでした。フットワークの軽さが評価され、業務改革に取り組んでいた前職と異なり、新しい職場では何でも先輩が言ったことが通り、先輩にお伺いを立ててからでないと発言や発信ができない点について、転職当初はとても居心地の悪さを感じました。しかし、転職したことによって突き抜けて自分のキャリアプランを考えることができるようになり、ケアマネージャーや社会福祉士など他領域の福祉分野に携わる夢も持つことができるようになりました。年収面についても、月に夜勤や5,6回あるため手当がそれなりに付き、当初の予想より安定して給与をいただくことができています。
これから転職をしようと考えている方に向けてアドバイスを!
(渡部)新卒での就職活動を失敗して転職を考えているとしても、長い人生の中でのたった数年ですので、新卒で就職した会社だからとこだわる必要はないと思います。今一度世間一般的な目線で企業を選んでいないか考え、自分の価値観で新たに就職活動を行ってほしいです。また、就職活動ではただ選考を受けるだけでなく、全く違う分野の資格取得や学び直しも視野に入れることと、ハローワークをうまく利用して知識や技能の取得に勤めるといいと思います。区役所などでも、就職支援の情報を発信していたり、NPOなどが開催している無料のキャリアカウンセリングがあります。一人で悩まず、こういった機会や場所を最大限に利用して転職活動を成功させてください。応援しています。