転職No | case78 |
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名前・性別 | 須藤尚志(仮名)・男性 |
転職時の年齢 | 36歳 |
転職時期 | 2016年1月 |
転職前の仕事 | 大手製パンメーカーの研究員(愛知県) |
転職後の仕事 | 喫茶店フランチャイズ業マーケティング部データー分析業務(愛知県) |
書類提出 | 2社 |
面接 | 2社 |
転職回数 | 1回目 |
転職活動期間 | 3か月(働きながらの転職活動) |
卒業大学 | 名古屋大学 農学部 |
ポイント | パンメーカー研究員から喫茶店フランチャイズ業マーケティング部へ、未経験職種への転職! |
製パンメーカー研究員として新卒で入社
-前職である「製パンメーカー」へ就職した経緯を教えてください。
(須藤)もともと実家のある愛知県での就職を考えていた点があります。当初は大学時の研究テーマを生かして種苗会社の研究員を目指していましたが、なかなか採用にいたらず他の企業を視野にいれました。一般企業で仕事をしていくのであれば、最終消費材を扱う企業で、自分の担当する商品を世の中に出すことがやりがいになるのではないかと考えて、商品の改廃サイクルの短いものを扱う企業を検討しました。お菓子メーカーや、カップラーメンを扱う企業に応募し、前職の製パンメーカー、カップラーメンメーカーと菓子メーカーで採用内定をいただき、地元愛知県に本社研究部門を持つ製パンメーカーに決めました。研究に力を入れているという情報もあったため、そこに期待もしていました。
-前職はどんな職場でしたか?不満などはありましたか?
(須藤)良くも悪くも自由な雰囲気の職場でした。与えられた業務に対しては真面目に取り組んでいますが、例えば製造部門や営業部門でトラブルが発生していても研究室の中では他人事のような雰囲気であったり、自分の取り組む研究が会社のどういったことに対して貢献しているのか説明できないメンバーも少なくありませんでした。研究という職種上、そういうものなのかもしれませんが、利益を生み出すことに対する真剣さに欠けているように感じたことが最も不満に感じました。
-転職を決意した、具体的な理由はありますか?
(須藤)何か具体的に一つの理由があるわけではありません。そこそこの立場で、なんでも知っているような顔をしながら生産性を気にせずに働き続けることになるのではないか、という恐怖心が転職を決意した大きな理由です。また、自分のキャリアプランとしていろいろなスキルを高めたいという気持ちが強い一方で、一つの職場に長く在籍し過ぎたことで他の部署への異動も希望をなかなか聞き入れて貰えないことも理由の一つです。給与の面では、食品業界は他業界からみて比較的低い水準であり、規模が同程度の企業であれば、大きく変動はしないことも転職を考えた理由です。周囲の同僚も転職により他社へ移った人間が数人いて、それなりに楽しそうに仕事をしており、あまり後悔しているような意見は聞かなかったため、それが多少の後押しになっていると思います。
-前職にはどれくらい勤務していましたか?転職した時期は何歳の時でしたか?
(須藤)前職には12年間勤務しました。転職した時期は勤務13年目で、36歳の時です。転職経験は初めてです。
リクルートエージェントとパソナを利用し、スムーズに転職活動をすすめる
-転職活動はどのように行いましたか?
(須藤)基本的に、転職エージェントを利用し転職活動を進めました。エージェントはリクルートエージェントとパソナの2社を利用しました。どちらも対応は丁寧でいろいろな相談を受けていただきました。
-転職エージェントを利用してよかった点、悪かった点はありますか?
(須藤)リクルートエージェントとパソナを利用して良かった点は、企業とのやりとりは基本的にエージェントに任せることができるため日程調整等に時間をかけなくて良く、活動に集中することが出来たということです。また、企業ごとに試験や面接等の情報を持っているため、事前の準備をすることができました。どの程度信じて良いかは判断に難しいですが、企業からも真意をヒアリングしていただき、活動をスムーズに進めることができました。悪い点は、あまり乗り気でない企業へも受けることを勧められ、断る理由を考えることがあった点ですが、自分の分かる範囲で企業探しをしていたら見つけることができない企業も知ることができたので、良い点でもあると思います。
-書類選考や面接でのアピールポイントとは?
(須藤)書類上は基本的に前職での経験を中心に、仕事に対する考え方を説明し向上心をアピールしました。幸い前職では学会発表や、特許出願にも携わることが少なくなかったため、文章で示すことが出来る功績が多く良い印象を与えることができたと感じます。幼少時からサッカーを続けておりキャプテン経験も含め、チームワークに対する考え方もアピールしました。面接に対しては苦手意識もありましたが、そもそも新卒の就職活動と異なり、決まらなくても現職で働きながらゆっくりと転職活動をしていればいいのだ、という考えを持って出来るだけリラックスすることを意識し、自分の良いところも苦手な部分も全て理解してもらえるように努めました。
-転職活動をスタートして内定までどのくらいかかりましたか?
(須藤)転職活動を開始してから、約3ヶ月で転職先から内定をもらいました。転職活動は働きながら進めました。無職の状況で転職活動をすると、焦りから判断を誤ると思ったためです。
-新しい企業を選んだ具体的な基準とは何ですか?
(須藤)転職先を決めた理由は、30代中頃を超えると未経験職種への転職が厳しくなると思っていましたが、これまで業務として研究しか経験がなかったにも関わらず、全く未経験のマーケティング部で採用をもらったためです。転職にあたり重視した点は、理想的には前職と同じ業界で、これまでに習得した知識が無駄にならないような状態で、これまで経験したことのない職種で自分の能力を広げたかったため、未経験の職種で採用があることと、理想的には会社としての規模があまり大きくなく、会社全体の仕事を見渡すことが出来る会社である点を重視しました。また、給与は前職から50万円以上減少しない範囲で、待遇に関しても前職の条件と照らし合わせ、記載のない事項についてはエージェントを通じて確認をとりました。
-転職活動中、一番辛かったことはありますか?想定外のトラブルはありましたか?
(須藤)無職の期間を作りたくなかったため、在職中に転職活動をする必要があり、新規プロジェクト等のメンバーに加えられると嘘をついているような気持ちになり、申し訳ない気持ちが大きくなり精神的に辛い気持ちになりました。想定外というほどのトラブルではありませんが、前職の役員と転職先の役員が知り合いであった点は少しびっくりしました。
未経験職種であるマーケティング部で、前職を活かしながら活躍!
-新しい職場の業務内容と担当されている仕事について教えてください。
(須藤)新しい会社は喫茶店のフランチャイズを本業として、食材の卸売業によって利益をあげている企業です。私が携わっている業務は、マーケティング部にて定番メニューの販売予測から季節メニューの販売予測、それを基にした卸売食材の在庫管理、発注管理を行なっています。また、キャンペーン実施に際して事前の利益シミュレーションであったり、客数増加、利益増加の予測、ロジック組み立てを過去の数値や調査結果を踏まえて導いています。調査会社にてブランド評価を実施し、ブランド価値を高めるためのKPIを導き、対策を考えています。新たな取引先から商品を購入しようとする際は信用調査財務調査を実施し、取引先として問題はないか検証し契約締結まで進めます。
-新しい職場は前職と比べてどうですか?年収面は?
(須藤)新しい職場は会社の規模が小さく、思っていた以上に業務のインフラも整っていないため非効率なことが多々生じています。インフラを整えるようなことに対してやりがいを感じるような方には理想的な会社だと思います。会社の規模が小さいことが原因なのか、業績の評価に対しては透明性が感じられず、イエスマンであったり役員と仲が良いといったさじ加減で評価されているのでさないかと感じてしまうことが多いです。転職して良かった点は、前職ではありえないスピード感の中で仕事が進んでいくため、自然と鍛えられていくことにやりがいを感じます。年収に関しては、前職と同程度ではありますが、持ち帰りの仕事が異様なほど多く時間あたりの賃金は半分ほどになってしまいました。
これから転職をしようと考えている方に向けてアドバイスを!
(須藤)転職を悩んでいるのであれば、まずは周りの転職経験者に自分の置かれている状況や解決したい問題を共有し、客観的なアドバイスをもらうべきだと思います。理想的には同じ職場で働いていた同僚などで、そういう境遇の方がいれば、是非助言を貰うべきと思います。
最終的には決めるのは自分です。極端な意見ではありますが、転職して失敗だったと思えばまた仕事を探せば良いのだと思います。転職しておけば良かったな。という思いは時間とともに大きくなりますが、転職した後に生じる後悔はアクション次第で解決することができます。個人的な結論としては、チャレンジすることが出来る環境があるのであれば、チャレンジしてみるべきだと思います。