転職No | case73 |
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名前・性別 | 三島涼香(仮名)・女性 |
転職時の年齢 | 26歳 |
転職時期 | 2014年9月 |
転職前の仕事 | 中堅製薬企業の臨床開発部門(東京都) |
転職後の仕事 | 中堅製薬企業の臨床開発部門(東京都) |
書類提出 | 4社 |
面接 | 4社 |
転職回数 | 1回目 |
転職活動期間 | 2か月(働きながらの転職活動) |
卒業大学 | 東京大学大学院 医学系研究科 |
ポイント | リクルートエージェント、製薬業界専門エージェントを利用し転職活動。結婚・出産を考え、より良い職場環境を求め転職! |
大学での研究を活かし、製薬会社の臨床開発部門へ
-前職へ就職された経緯を教えてください。
(三島)大学院で毒性学の研究をしている中で、物の安全性に関わる仕事をしたいと思うようになりました。当初は食品や化粧品業界の研究職も検討していましたが、ひとの健康にダイレクトにかかわる製薬企業への関心が深まり、最終的には製薬企業の臨床開発部門に就職しました。
-大学で研究していたことを活かして決めた職場だったのですね。具体的にはどのような仕事に携わっていましたか?
(三島)前職の会社は新薬の安全性や有効性をチェックする業務を行う企業でした。私は糖尿病や慢性腰痛症の分野の治療薬の安全性に関わる部門に配属し、全国で行われている臨床試験が正しく行われているかチェックする仕事を行いました。3~5つの病院を担当し、薬を飲んでいる患者様のカルテを見て安全性や有効性を確認したり、担当医師に患者様の状態や薬の効果を聞いたことをレポートにまとめる業務をしていました。
-会社に対して不満や不安はありましたか?
(三島)創業10年程度の企業のため、会社全体の雰囲気に活気がありました。平均年齢が35歳程度だったのもあったせいか、とても若々しく風通しの良い雰囲気でした。一方で新入社員に飲み会への参加を強要したり、日本酒を一気飲みさせたりするのが当たり前という風習があったことに強い不満を抱いていました。また社員の評価制度に飲み会や会社のイベントに参加したかどうかが暗黙に考慮されていたり、毎日終電まで働いても残業代は未払いだったことから前職の会社でずっと働きたいとは思っていませんでした。
-転職をしようと決めた決定的な理由とは?
(三島)直接的な理由は結婚することが決まったからです。前職の会社は女性も働きやすい職場とアピールしていましたが、実際のところ長時間労働できる女性社員にしか優しくないため、自分が結婚後も働いていけるビジョンが持てませんでした。また私は学歴がよかったことから会社から期待されていたようで、入社してから激務な部署にばかり配属されていました。今思えば私の経験値を養うための会社の意向だと思いますが、残業代は支払わない会社だったため当時の私の不満はかなり強かったです。会社の方針を変えることは一社員には難しい一方で、私自身はワークライフバランスを優先させたい気持ちが強くなったことから、転職活動をすることを決意しました。
-前職にはどれくらい勤務していましたか?転職は何年目、何歳の時でしたか?
(三島)約2年6ヶ月勤務していました。転職した時期は勤務3年目で26歳のときです。転職は初めてでした。
リクルートエージェント、製薬業界専門エージェントに登録し転職活動!
-転職活動ではどのように情報収集しましたか?転職エージェントは利用しましたか?
(三島)インターネットと同業界に勤めている知人からの情報収集に加えて、リクルートエージェントと製薬業界専門の転職エージェントに登録し、転職活動を行いました。
-転職エージェントの対応はどうでしたか?よかった点、悪かった点があれば教えてください。
(三島)リクルートエージェントのスタッフは情報提供や連絡が迅速で、転職活動期間中は終始スムーズにやりとりができました。製薬業界専門の転職エージェントは、私の長期的なキャリアを話し合いながら慎重に転職活動をするようにアドバイスして頂きました。私としても一刻も早く前職の会社から転職したかったため、転職先の企業を迅速に紹介して頂いたリクルートエージェントの方をメインに利用させて頂きました。リクルートエージェントの悪い点は特にありませんが、転職活動が終わった後でも大量のメールが送られてくるのが少し億劫でした。
-書類選考や面接では、何を企業へアピールしましたか?
(三島)臨床開発部門に携わった経験年数が約2年6ヶ月でしたが、短期間の中でも濃密な経験をし成果を上げてきたことをアピールしました。特に担当症例数はプロジェクト内でトップだったことや、入社3年目で後輩指導をしていたこと、プロジェクトのチームリーダーを担当してきたことをアピールし、転職後も即戦力として働けることをアピールしました。最終的に4社の企業と面接しましたが、採用担当者全員から転職理由と企業を選んだ理由を聞かれました。また製薬業界を選んだ理由、長時間労働をしてきた中で業務で工夫したことや、一番の困難をどうやって乗り越えたか質問されました。質問に対して的確に応えることはもちろんですが、服装な身だしなみといった社会人としてのマナーも強く意識して面接に臨みました。
-内定までどのくらいかかりましたか?
(三島)約2ヶ月で内定を頂きました。働きながらの転職活動でした。
-同業他社の中で新しい職場を選んだ基準は何ですか?
(三島)第一に社員のワークライフバランスを大事にしている会社かどうか。第二に中長期的なキャリアを積んでいけるビジョンを持てるか。第三に通勤しやすい場所にあるかどうか。この3つの基準で選びました。第一は前提条件と言っても過言ではなく、前職の会社が長時間労働をしないと評価されない会社だったため、新しい職場は写真の残業時間に厳しく残業代もしっかり支払ってくれる会社を選びました。第二に結婚・出産というライフイベントを経てもキャリアを積んでいける職場かどうか重視しました。これは実際に出産後も、家庭と両立しながら働いている女性が多いかどうかで判断しました。第三に通勤時間を極力短くしたかったので、通勤しやすい場所にオフィスがあるかどうか重視しました。
-転職活動中、辛かったことはありましたか?
(三島)一番辛かったのは、経験年数が少なかったことから全ての転職先で年収が下がってしまうことが分かったことです。ワークライフバランスを優先させたい気持ちはあったものの、転職するからには年収を上げたいという気持ちが強かったので残念でした。想定外のトラブルは特にありませんでした。
ワークライフバランスを重視している同業他社へ転職成功!
-新しい職場は前職と同じ製薬企業とのことですが、業務内容とは?
(三島)転職先の企業は前職の企業と同様に、新薬の安全性と有効性を確認する企業です。前職の企業と違うことは、がん領域の疾患に強みがあることで最先端の再生医療に関するプロジェクトにも強みがあり独自の資格取得制度もあります。
-どのような仕事を担当されていますか?
(三島)私はその中でも肺がん領域のプロジェクトに配属して、再生医療の薬の臨床試験が適切に行われているかチェックする仕事に就いています。前職は小規模のクリニックのみ担当していましたが、転職先の会社では大学病院を担当しています。今までに行ったことのない薬の臨床試験であり、担当スタッフへの説明会の実施や試験体制の構築、関係企業への連絡などプロジェクトが問題なくスタートできるための立ち上げ業務を行っています。
-新しい職場は前職と比べるといかがですか?よかった点、悪かった点は?
(三島)新しい転職先は何よりも、ワークライフバランスを優先している職場だったことが嬉しかったです。上司も部下の残業時間は常にチェックしていて、忙しい時は助け合って仕事をし合う雰囲気でした。しかし配属されたプロジェクトは会社で一番忙しい部門だったことから、入社してから前職と変わらず長時間労働をすることになったのは想定外でした。また残業時間に厳しい会社でしたが、繁忙期でも21時に強制的に退社しなければならず、自宅で仕事をせざる得ない状況だったことは事実だったので不満は強かったです。転職エージェントに相談しましたが「こればかりは運が悪いとしか言いようがない」と言われてしまいましたので、私のケースはかなり珍しい方かもしれません。年収は前職の会社と比べて50万円ほど下がりました。
これから転職をしたいと考えている方に向けてアドバイスを!
(三島)まず「転職したい」と思ったら、入社3年間など待たずにすぐに行動してみましょう。一番いけないのは、会社に不満を持ちながら何もしないことです。転職活動自体はこれまで行った仕事の成果を適格にアピールし、その人のビジネスマナーに問題がなく、企業からのニーズがあれば採用されることは難しくありません。転職したい人は現在の会社に強い不満を抱いているかもしれませんが、完璧な会社はどこにもありません。自分か転職することで何を手に入れたいのか、どんなキャリアを積んでいきたいのかは真剣に考えておく必要があります。また転職してから新しい会社のいい面・悪い面が見えてくると思いますが、それを踏まえて新しい職場に居続けるか、または新たなキャリア計画を考えればいいと思います。