転職No | case69 |
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名前・性別 | 真下尚人(仮名)・男性 |
転職時の年齢 | 35歳 |
転職時期 | 2013年5月 |
転職前の仕事 | 大手信用調査会社の調査員(東京都) |
転職後の仕事 | ベンチャーキャピタルでのベンチャーキャピタリスト(東京都) |
書類提出 | 30社 |
面接 | 10社 |
転職回数 | 1回目 |
転職活動期間 | 約3か月(退職後の転職活動) |
卒業大学 | 日本大学 経済学部 |
ポイント | 自分のキャリアアップのために厳しい職場へ転職!年収は約1.5倍、やりがいもアップ! |
応募総数300社!新卒で信用調査会社へ
-前職の信用調査会社へ入社された経緯を教えてください。
(真下)前職の信用調査会社は大学卒後最初に入った会社でして、学生時多くの企業訪問を実施しました。業種業界は様々応募し、色々な企業や事務所に訪問し、できる限り比較できるよう数をこなした印象です。応募数は300社以上、訪問数は100社以上、内定は3社でした。大手商社から中小企業まで様々訪問しましたが、元々、当初からコンサルティング会社に興味があり、また教員免許もあり、教育事業などにも興味を持っていました。結果、内定は3社からもらいました。中小向け経営コンサルティング会社1社、保育事業1社、信用調査会社1社の3社です。そのうち信用調査会社に決めた理由は、将来自ら事業を運営したいという思いがあり、そのための有望な業界を知りたいと思い、様々な業種業界の経営者と会えるという理由で信用調査会社に決めました。業種は信用調査員で、1日2~3社企業訪問し、企業情報を入手しながら、同調査レポートを作成する業務でした。
-300社へ応募されたとはすごいですね!前職の職場の雰囲気はいかがでしたか?
(真下)調査員として、東京地域を担当しました。主に23区内の企業に訪問する業務です。目的は2つです。1つは企業調査として、テレアポしたのち実際に企業訪問し、企業の詳細を調査する業務。社員数や業務内容、業績、財務内容、今後の方針、経営者の情報など、企業経営に関する情報を全体的にヒアリングする仕事です。2つ目は営業の仕事で、調査に行った先で逆に調査レポートの必要性をヒアリングし、必要であれば自社サービスも使っていただくという2つの目的がありました。会社は業歴100年以上もあり、比較的ゆったりした風土で組合も一定量力を持っていました。そのため、古参の年配者があまり働かないといった傾向があり、新しく入った人員がその風土に馴染んでしまい、やや停滞した雰囲気は事務所にありました。
-転職を決意された具体的な理由は何ですか?
(真下)転職について特に直接的な原因はありませんでしたが、社風が重い雰囲気があったことは否めませんでした。12年弱の勤務もあり、仕事内容や同期などのつながりもありそれなりの環境ではありましたが、将来の目標が自ら事業運営を行いたいという夢がありましたので、今のままでは何も始まらないと感じ、まずは環境を変えようと思い、辞職願を作成しました。具体的な道があったわけではないのですが、今の環境を変えなければこのまま一生が終わると思い、新しい道に進むことに決めました。とはいえ具体的な道に進むのはまだ早いと感じ、退職金や貯蓄などもあったので一旦自分を見つめなおす時間をつくることを優先し、退職ありきで会社を去りました。
-前職にはどれくらい在籍していて、転職は何年目、何歳の時でしたか?
(真下)12年弱の勤務で初めての転職、勤務12年目の35歳の時でした。
ハローワーク・転職サイト・エージェントをフル活用して転職活動!
-転職活動では、どのように情報収集しましたか?転職エージェントは利用しましたか?
(真下)転職活動では様々な媒体に登録し、各種人材紹介会社にも登録し、紹介を受けました。大手人材サイトから中堅のサイトにも登録し、ハローワークなどの情報も収集しできるだけ多くの情報を収集できるようにしました。高付加価値の人材紹介会社にも登録し、一般的に名前がでてくる会社はすべて一旦登録しました。
-転職エージェントを利用した感想とは?よかった点・悪かった点はありますか?
(真下)転職エージェントを活用した感想としては、エージェントごとに強い業種業界があると感じました。店舗系、営業系、経理系、プロフェッショナル系、それぞれに強みがあり、1社1社すべて面接し登録する意味はないなと感じました。エージェントごとの強みを理解し目的のあったエージェントであれば登録することにメリットはありますが、数多くお会いするのは時間を費やすだけであまり意味がありませんでした。
-面接時、面接官からどんなことを質問されましたか?どのように転職活動を行いましたか?
(真下)面接官からの質問は一般的な内容が多かったです。「志望動機」「前職を辞めた理由」「やりたいこと、できること」この3点が大半でした。新卒採用でないため、「何ができるのか」という即戦力の内容を中心として質問がありました。
私が個人的に進めた就職活動の方針は「経営者になるための事業内容に準じているか」この1点に絞るということでした。収入、労働時間、勤務場所、企業風土、すべてを白紙にして考えました。目的の企業があれば、その企業が採用しているかどうかではなく採用欄がなくてもホームページ代表メールから履歴書を送り、なぜ自分は応募したのかというこの1点のみを担当者に伝え、まずはお会いいただく、というようにピンポイントな活動を進めました。ご担当者は明確な応募理由でわかりやすかったかと思います。
-内定までの期間は?
(真下)転職活動自体は約3カ月、退職してからの就職活動でした。
-30社に応募し、10社と面接をされていますが、その中から新しい職場を決めた理由とは何ですか?
(真下)転職するにあたり重視した点は、「自分の将来に準じているか」の1点でした。私は将来自ら事業を運営したいと考えており、そのための情報、経験、人脈につながるのかという視点を重視しました。逆に年収や休日数、勤務地、企業風土などの基準は一旦すべて白紙にして考えました。目的を達成するために何を捨てなければならないのかという前提で考え、すべての基準で高条件などまずなく、目的一本に絞って活動しました。私の場合、将来自ら事業を運営するためには多くの事業を見ることができ、多くの会社を知ることができるか、成功するための会社はどのようなビジネスでどのようなマネジメントなのかという視点を持ち、まずは経営コンサルティング会社を最優先で進めました。
-転職活動で一番辛かったことは何ですか?トラブルはありましたか?
(真下)転職活動では特につらかったことはありませんでした。ネットが発達した昨今、資料作成をしっかり対策することができれば、多くの企業にアプローチできます。一から紙で履歴書を作成することはありません。基本データは使い回しすることができますので、新卒の就職活動よりは労少なく応募できたかと思います。特にファーストアプローチ段階では過度な期待はご担当者にも、そして自分にも大きな負担となってしまいます。駄目でも仕方ない企業数は国内に300万社あるんだと思い、人事を尽くして天命を待つ、そんな気持ちで臨んでました。
トラブルに関してはありませんでしたが、経験としては登録しても意味がないエージェントがある、そのエージェントの強みはどの業種、職種なのか、見極めることが大切だという事です。マッチしないエージェントからの紹介はほとんどありません。無駄な面接のための面接は避けた方がいいと感じました。
年収1.5倍、新しい知識・能力を育み、経験を積む日々
-新しい職場の業務内容とは?
(真下)転職先の事業内容はベンチャーキャピタルです。強みは大手企業のコンサルティング経験を生かし、未上場のベンチャー企業へ、中長期の視点からハンズオンで支援できるベンチャーキャピタルです。経営層が大手コンサルティング会社出身者で構成し、東証一部大手企業の経営コンサルティング事業も一つの柱として実施している企業です。資金の投資のみならず投資先が中長期で継続成長できるよう、長い視点での業界立ち位置を含めたコンサルティングを合わせて実施する部分に強みがあります。
-ベンチャーキャピタルではどのような業務に携わっていますか?
(真下)会社ではベンチャーキャピタリストとして今後IPOを念頭においたベンチャーを発掘し、アプローチし、投資、支援を実施する業務を行なっています。1日に2~3社テレアポしベンチャー経営者に面談、ベンチャー企業に今何が必要か、何ができるのかヒアリングしながら接点を増やしていくといった業務です。
-前職と比較して新しい職場はどうですか?転職してよかった点・悪かった点は?
(真下)前職との比較としては、問題にならない位厳しい職場であるというところです。前職は業歴100年のゆったりした会社で批判体質はあるものの一定量は許される社風でした。しかし、新しい職場は大手コンサル出身の先輩方が24時間体制で業務を行う社風で、土日出勤は当たり前で成果が出ない人は在籍に値しないといった厳しい職場です。もちろん、多くの経験を積むという意味では現職の方が圧倒的に新しい知識や能力を開花でき、かつ年収も約1.5倍とアップしました。しかし一方実績が求められます。アップオアアウト、昇進か退職か、この2つの選択肢のみで現状維持は許されない弱肉強食の世界。どんな企業でも良い面、悪い面はそれぞれですね。
これから転職をしようと考えている方に向けてアドバイスを!
(真下)どの職場も良い面、悪い面があります。後ろ向きな人が多い職場でもリストラの可能性がない安定感のある職場や、活気ある職場ながらリストラの影を常に意識し成長とともに一定のストレスが発生する職場など、いずれも現実です。転職した経験者としてアドバイスができるとすれば「自分は何を目指すのか」という視点です。人生は一生自分探しの旅といった言葉があるように、どんなに厳しくつらい場所でも、その目指すべき自分の信念を最優先し進んでほしいと思います。それができればあとは何もいらないという仕事を手に入れるため、今何をすべきか、動くべきか動かざるべきかを考えてほしいと願っています。生活するための職業もありますが、できればその職業自体が生きる意味であってほしい。自分が自分になるために、今一度見つめ直してほしいと思います。
私の転職活動の独自のノウハウとしては、自分が採用担当者だったら、経営者だったらという視点で活動しました。私は最終的に転職サイト、エージェントでの転職ではありませんでした。採用費用をかけている企業が良い会社であるとは限りません。ホームページにダイレクトに応募してくる「熱い人がいる」そんな視点もあります。そして経営者・採用担当者はなぜその人を採用するのか明確な理由が必です。その問いに明確に答えることができるかどうか、考えてみてください。
また履歴書と職務経歴書以外に、パワーポイントで作成した自己紹介資料を敢えて図解で説明いたしました。何ができるのか、自分はどんな人物か、今この自己紹介で御理解してください、という気持ちで自己プレゼンしました。自己紹介する方法それ自体が自己PRになると思います!転職を考えている方は参考にしてみてください。