
転職No | case10 |
---|---|
名前・性別 | 森田春奈・女性 |
転職時の年齢 | 26歳 |
転職時期 | 2003年 |
転職前の仕事 | 大手レコード会社 ディスプレイ製作部(大阪府) |
転職後の仕事 | デザイン会社 グラフィックデザイナー(東京都) |
書類提出 | 3社 |
面接 | 3社 |
転職回数 | 2回目 |
転職活動期間 | ほとんど無し |
ポイント | 転職活動期間に「ほとんど無し」と記入した様に、前職の上司との関係は凄く良好且つ信頼関係の元にあったため、今後の将来の方向を応援して頂ける形で送り出してもらえました。その為、前職在職中に内定が決まり、すぐに退職手続き・転職となりました! |
前職での成功体験がきっかけで転職を考えるように!
-まずは前職の仕事内容を具体的に教えて下さい。
(森田)前職の業務内容は、大手のレコード会社におけるCD・DVD・雑誌などの発売日における販売促進用ディスプレイ製作でした。
私が担当していた仕事は、最初はディスプレイ製作の一担当者を行っていて、その後、主要店舗を任される専属ディスプレイ担当になりました。その後も昇進し、店舗の販促スケジュール管理担当などをしつつ兼任でディスプレイの新人育成・指導も担当していました。
-ディスプレイ制作の業務で昇進されたんですね。会社自体はどんな雰囲気でしたか?
(森田)とてもアットホームで皆仲良く作業していました。人間関係は良好でした。
ただ、仕事自体のスケジュールがとてもタイトだったので、かなりの製作数をこなさないといけない環境にはありました。仕事量に比例しないお給料面の不満や、長い勤務時間に対する健康面への不安などありました。
-給与面などの不安もあったんですね。直接的な転職のきっかけも給与面や健康面でしたか?
(森田)転職のきっかけとなったのは、会社が店舗件数100店舗を目指して新規開店させていく中での出来事でした。
ディスプレイの製作量が劇的に増えた事により、今までのやり方では追いつかず、新しい仕事の回し方を導入させる必要が出てきたと私自身は判断しました。
部のトップにいた上司はとても良い方ですが、上司自身も抱えている仕事が多く、私たち製作チームの問題までには手が届かず、新しい事に時間を割くことが難しい状況でした。
現場の皆は、毎日残業が続き、製作に追われていました。みんな本当にディスプレイを作るのが大好きな人間の集まりで、普段は楽しいはずの製作もそういった環境でどんどんとノルマになる毎日がしばらく続いていました。
私自身も疲れ果てて来ていた中、一日でも早く新しいやり方を導入させようと立ち上がりました。新しい導入方法を上司に提案しながら、実現させていきました。
実際に導入後は個々の負担も軽くなり、チームのみんなからは感謝され、私自身もこの経験を得て、何か人助けになる仕事に関わりたいと強く思う様になっていきました。デザイン業界でいえば、アートディレクターという立場に興味を持ち、どうすればなれるのか次第に模索していく様になりました。
そんな中、ある有名なアートディレクターの方に憧れる様になり、私自身この時点で全てが手作業によるアナログのディスプレイ製作デザイナーをしていたので、今までの道具である筆や絵の具から、コンピューターを道具として持ち替え操るグラフィックデザイナーになりたいと思いました。それが転職しようと思ったきっかけです。
-給与面や健康面というより業務の成功体験から考え方が変わっていったんですね。
(森田)そうなりますね。
-前職の勤務期間は?
(森田)前職場には6年半勤務していました。転職した時は26歳で、この時には過去から2回目の転職となります。
上司との信頼関係があったためスムーズな転職に!
-どうやってアートディレクターやグラフィックデザイナーの求人を探しましたか?
(森田)転職する際の求人探しは、ネットで収集し、転職サイトを利用したと記憶しています。ただ私はいま38歳で転職したのが26歳なので、12年前は今ほどインターネット上に豊富な情報はなかったと思います。
-それでもやはりネットでの情報収集はされたんですね。書類送付や面接は何社ほど?
(森田)書類送付は厳選した3社だったと思います。面接は2社です。
面接では、過去に経験し取得してきた技術と仕事内容をしっかり伝え、人柄が伝わる様に笑顔と礼儀正しさを意識しました。
-転職活動開始から内定までの期間はどれくらいですか?
(森田)少し他の方と違うかもしれないんですが「ほとんど無し」という回答が正しいかもしれません。2社目に面接をして頂いた企業様に電話で即日の内定を頂きました。しかも即日で決まった後、前職の上司に報告し、即日で退職手続きも出来ました。以前より転職先が決まったら転職の意思があることを話しており、それに対する多大なる理解を得られていた最高の信頼関係でした。
-転職活動で苦労したことは?
(森田)当時住んでいた場所が大阪で、転職先が決まったのは東京だった為、日数がない中での引っ越しに伴う作業や金銭面が大変でした。
転職先ではより高いレベルの仕事に携わるように!
-新しい会社についても聞かせて下さい。まずどんな業務内容の会社ですか?
(森田)転職先の会社の業務内容は、主に企業様やブランド向け販促用の企画デザイン会社です。その他、プロダクトデザイン、ウェブデザイン、カタログの編集などもやっています。私自身はそれらのグラフィックを担当する一員としてグラフィックデザイナーとして勤務しました。
-なぜその企画デザイン会社に転職しようと思いましたか?
(森田)グラフィックデザインの制作会社で、ネットの求人募集を運よく見つけ、応募しました。すぐ面接日時の連絡が来ました。企業様の理念やものづくりに対する考え方に一瞬にしてビビビっと来て、とても刺激をうけました。待遇のお給料はさほど良くはありませんでしたが、働いてみたい!と強く思わせてくれる縁を感じたというのが正直な意見です。
-転職してよかった点、悪かった点などありますか?
(森田)転職して良かった点は、グラフィックデザインをまた一から学べた事、意識の高い方々の集まりなので、様々な感覚・五感に刺激を与えてもらえた事などです。各素材に対する入稿方法などを始め、仕事の進め方や、ブランディング、デザイン、沢山の事を吸収出来たと思います。収入面に関しても前職より少し上りました。
前職と比較して、前職は社内の販促という点、転職先は外部への販促かつグラフィックデザインという点で、求められる質の高さと洗練されたプロ意識の高さの違いを肌で感じました。それが自分が求めていた事の一つでもあった訳ですが、同時にやっていけるのか自身の才能に悩んだ時期でもありました。周りは美大卒の方々ばかり、自分はデザイン科とはいえ高卒で、基礎の力量に差がありすぎる…とひるんでしまったのを今でも覚えています。せっかく掴んだ成長へのチャンスを、自分自身の取り組み方に自信が持て無かった事で才能に悩んだ時期でもありました。
上記のような悩みはありましたが会社に対してここが悪い点だなと思ったことはあまりありません。
これから転職をしようと考えている方に向けてアドバイスを!
(森田)良く沢山の先輩方が転職は「転機」と言いますが、私自身もそう思います。そしてその「転機」は、やがて自分自身で気づかない間に「好転機」となっています。もし自分が今やりたい事があったり、挑戦したい事があるのにやれずに迷っているなら、ぜひ一歩踏み出してやってみて欲しいと思います!
少し長くなりますが私が「転職」してよかったなあと実感し、そして皆さんにお勧めするのには理由があります。当時の転職しようとして頑張っていた時期は今思えば本当に宝物だったと感じるからです。支えてくれる周りの人々にも感謝を感じる時間でもあります。転職することでキャリアに対して答えがすぐ見つかる事もあれば、私の様に時間がかかってから財産だと感じる場合もあります。
私の場合の話になりますが、現在は海外のバルセロナに移住し、フリーのデザイナーという形で子育てと両立しながら、有難い事に自宅で働き収入を得ています。才能に悩み、自身が持てなかった当時の私、そしてその後は実際にデザインの仕事から離れたところで生活をしていました。しかし結婚後、日本に一時的に戻ったりまたバルセロナに戻ったりと、色々と事情があり、子育てしながら自宅で何か出来る仕事という形で再度仕事探しをした訳です。
私に出来る事といえば、やっぱりずっとやってきたデザインしか武器はありませんでした。しかし、実際仕事を始めてみると、当時表現できなかったデザイン、グラフィック面での表現、いとも簡単に表現している自分に驚きました。デザインする事から離れていた時間が9年近くもあったにもかかわらずです。慣れない海外で苦労してきた生活や、見た事食べた事歩いた事、子育てする事、他愛も無い日常の全てが、見事に自分のデザインする力となって返ってきました。その発揮の仕方も身につけて。
残業なども多い日本の中で、なかなか働く事の意義や目的を個人で見つける事は簡単ではありません。この転職ステーションを読まれている方々もそういった色々な状況の中で悩んでおられる事だと思います。早い年齢から、自分の夢ややりたい事を良く分かっている人はどれくらい居るのでしょうか?その道が明確にはっきりしている方は、どんどんやりたいところに行動を起こしていく事が最も近道です。目標に向かって進んでいる間の苦労も充実感へと変わっていると思います。
そうで無い大多数の方々も悩みながらも行動をおこしていって欲しいと願います。その中で、自分自身が感じていく事、得る事、挫折感、悪い面も良い面も含め全部あなた自身にとって価値があると思うからです。私自身、今後もまだまだ色んな事を経験して、楽しい事をイメージしながら自分なりのライフワークを確立していきたいです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。