看護師
看護師の就業者数は増加傾向
厚生労働省の調査によると、平成28年末(2016年)の看護師の就業人数は1,149,397人であり、この10年で約33万人増加しています。
(出典:厚生労働省「平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 看護職員の現状と推移」を加工して作成)
特に男性看護師の増加がめざましく、平成18年は約38,000人であったのが平成28年は約84,000人と、倍以上の人数になっています。一時期の深刻な看護師不足は一旦落ち着いたようにも見て取れます。
看護師不足は解消されていない?
しかし、看護師の人数は地域や医療施設によってかなりの差異があり、まだ看護師不足に悩んでいるところが多いのが現状です。
人口10万人当たりの看護師の人数を都道府県別にみたところ、最も多いのは高知県、続いて山梨県でした。一方で最も少ないのは埼玉県の636.8人で、いわゆる主要都市(首都圏の一都三県、関西(大阪・兵庫)、福岡)で全国平均値を下回っている、つまり看護師が不足していることが分かっています。
また、上記と矛盾するような結果ですが、人口規模が少ない地域ほど看護師不足の比率が高くなるという傾向も見られます。2017年末の調査によると、人口10万人未満の市町村、および過疎地域の75%以上が「現在看護師が不足している/不足することがよくある」と回答しています。(参考:日本医師会総合政策研究機構「看護職員等の医療職採用に関する諸問題:アンケート調査の分析と考察)
就業看護師の地域の偏りは解消できていないこと、看護師が必要とされる職場やシーンの拡大に需要が追い付いていないこと(たとえばここ数年で訪問看護ステーションが急増し、看護師の人材確保も急務となっています)、更に離職率の改善が図れていないことなどの理由で、看護師不足はまだ続いているというのが実際のところでしょう。
看護師全体の離職率はこの5年程で11%前後、新卒看護師に絞ると7%台後半で横ばいの状態です。日本看護協会が新人看護研修制度の導入を呼び掛け、若手看護師の教育や育成、早期離職防止策を講じていますが、現状は離職率の大きな改善は見られていません。
今後も看護師の需要は一定数あり、転職者や潜在看護師も転職先に困るということはなさそうです。