税理士

 

税理士の資格保有者の推移

 税理士は「税務の専門家」として難易度が最も高い国家資格です。全国の税理士登録者は平成30年7月末日現在で77,234人となっています。しかし最近は税理士の受験者数は減少傾向にあります。

 

年度受験者数(A)合格者数一部科目合格者数合格者数合計(B)合格率(B/A) (単位:%)
H25 45,337 905 7,443 8,348 18.4
H26 41,031 910 5,999 6,909 16.8
H27 38,175 835 6,067 6,902 18.1
H28 35,589 756 4,882 5,638 15.8
H29 32,974 795 5,839 6,634 20.1

(参考:国税庁「税理士試験」を加工して作成)

 

 受験者数はこの5年で12,000人以上も減少し、伴って合格者数も減少しています。なお、平成29年度は合格率が20%を超え、数年ぶりに合格者数の増加に転じました。

 

 税理士試験の受験者数減少の理由は一概に言えませんが、リーマンショック後に不況が続き企業の倒産が多増え、税理士業界が厳しいという風評などから税理士を目指す人が減少しており、受験者数の減少につながっていると考えられます。

 

 受験者数の減少は特に若い世代に顕著です。この5年間で、41歳以上の受験者数はほぼ変動がないものの、40歳以下は年々受験者数が減少、特に30歳以下の受験者は半数近くにまで減少していることが分かっています。

 

 一方で、税理士の登録者数自体はむしろ年々増加しています。

 

【税理士の登録者数】

年度登録者数
H2574,501
H2675,146
H2775,643
H2876,493
H2977,327

(参考:国税庁「税理士制度」

 

 実は最近増えているのが「試験免除」のルートで税理士になる人です。通常、税理士試験は5科目に合格する必要がありますが、特定の資格(弁護士、公認会計士)、学位取得、税務局への勤務経験などの条件を満たすことによって、試験のすべて、あるいは該当科目の受験が免除されるのです。5科目すべての受験を経て税理士になる人は減っているが、税理士の人数自体は増えているというのが実際のところです。

 

転職市場における税理士の需要は高まる!?

 リーマンショック後の不景気も上昇傾向になり、景気の上昇に伴い税理士法人が増加しています。平成17年には1,000程だった事務所数は、毎年200ほどずつ増加し、平成25年度には約2,800、平成29年には約3,600にまで増え、平成30年7月末は約3,800もの税理士法人が存在しています。(参考:マイナビ税理士日本税理士連合会

 

 また、法人数に関しても、2017年の新設法人は13万1,981社(前年12万7,974社)で、8年連続前年を上回っている状況です。(参考:株式会社東京商工リサーチ 2017年「全国新設法人動向」調査

 

 税理士の受験者数が減少している中、税理士法人や新設法人は増加しており、税理士の需要は高まるばかりです。

 

税理士の活躍の場と今後の在り方

 税理士資格取得後の就職・転職先としては、税理士法人や個人の会計事務所のほか、金融機関や一般企業、コンサルティングファームなど多様にあります。

 

 顧客に中小企業が多く、納税や会計の仕事はもちろんのこと経営や財産の運用、管理など相談や指導を求められることもあります。今後消費税率の改正も予定されており、ますます税理士の仕事の場が増加される事は予想され、需要の増加と人手不足が起こると考えられます。転職市場でも、税理士資格を有していると多くの企業から評価が高く、年収の増加など好条件の転職先に転職することもできるでしょう。

 

 また、税理士は企業への就職だけでなく、試験合格後3年程企業で実務経験を積んだ後、個人事務所を開業する場合も多く、顧客の要望の多様化に伴い何人かの税理士や他の士業と共同して事務所を立ち上げることもできます。

 

 しかし注意しておきたいのは、金融の世界におけるIT技術の導入です。最近よく耳にするフィンテック、クラウド会計などといったものです。会計処理のシステム化が税理士に与える影響は非常に大きく将来を不安視するような意見もあります。

 

 一方で、税理士は企業の経営者の良き相談相手・パートナーであり、システムとデータを適切に使いながら経営面の助言ができる税理士こそが今後必要とされる、という声もあります。

 

 いずれにせよ、税理士の働き方は、時代や環境に応じて少しずつ変化しつつあるようです。

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