日本語教師
日本語教師の転職は売り手市場
日本語教師とは、外国の方々に正しい日本語を読み、書き、聞き、話せる能力を身に付けさせる仕事です。国内外で日本語を習得したい方を対象としているため、勤務は日本国内にとどまらず海外にも広がります。例えば、国内の日本語学校や大学の教育機関、民間企業などに勤務する他、海外では国際交流基金などの学校や大学へ派遣され、ビジネスマンや留学生を対象に教えます。
日本語教育機関で学ぶ学生の数は、平成20年の34,937人から平成29年には50,892人になり、10年間で約15,000人増加しています。一方、学生が日本語を勉強する教育機関の数は平成23年の451機関をピークに平成29年には285機関と減少しています。(参考:日本語教育振興協会「日本語教育機関の概況」)生徒数は増えているにもかかわらず教育機関は減少しているという状況から、各校の学生数が増加していることになります。そのため、どの教育機関も日本語教師不足となり、日本語教師の就職・転職市場は売り手市場になっているのです。
日本語教師になる方法・将来性
日本語教師になるために、特別な資格は必要ありません。しかし、日本語を外国の方々に教えるためには日本語の専門的知識や文化や教育学についての知識が必要なため、日本語教師の求人は「大学での日本語教育主専攻(副専攻も可のことが多い)修了」「日本語教育能力検定試験の合格」「教育機関での420時間の日本語教師養成講座修了」のいずれかの条件を満たすことを求められています。
日本語教育能力検定試験の合格率は20~25%前後で推移しており、比較的難易度が高めの資格です。ここ数年は合格率がやや上昇傾向にあり、平成29年度の受験者数は5,733名、合格者は1,463名で、合格率は25.5%でした。
(出典:公益財団法人 日本国際教育支援協会「日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験者・合格者数 推移」)
また、2017年8月より「教育機関での420時間の日本語教師養成講座」の文化庁認定制(届出制)が開始され、届け出が受理された講座しか認められなくなりました。届け出の要件が厳しく、費用も高額になり、受講期間は6か月から1年かかるということからこのルートで日本語教師になる人材が減るのではないかと危惧されています。
以上のように、日本語教師になるための条件は緩くはないため、今後しばらくは日本語教師が急に増加する見込みはなく、人出不足は続くと予測できます。日本語教師になるための条件を満たしている人材にとっては転職市場は良好状態が続くことになり、過去の実績と資格がある日本語教師経験者はより良い条件の職場へ転職することができるでしょう。