臨床心理士
臨床心理士の資格保有者数の推移
臨床心理士は、昭和63年(1988年)に誕生した比較的新しい認定資格です(国家資格ではありません)。ここ5年ほどの合格率は60~65%で推移し、毎年1600名前後が合格しています。2018年現在、約34,500名が臨床心理士として認定されています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(%) | 合格者累計 |
H25 | 2,804 | 1,751 (24) | 62.4 | 28,080 (536) |
H26 | 2,664 | 1,610 (12) | 60.4 | 29,690 (548) |
H27 | 2,590 | 1,601 (25) | 61.8 | 31,291 (573) |
H28 | 2,582 | 1,623 (30) | 62.9 | 32,914 (603) |
H29 | 2,427 | 1,590 (24) | 65.5 | 34,504 (627) |
(参考:公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会)
※カッコ内の数字は医師免許取得者数
資格保有者は圧倒的に女性が多く、女性およそ78%に対して男性が約22%です。また年齢の内訳は30代が最も多く34.7%、次いで40代が26.8%となっており、30代と40代の合計が6割以上を占めています。(2016年の調査結果より)
(出典:一般社団法人日本臨床心理士会:第7回「臨床心理士の動向調査」報告書(平成28年(2016)年4月))
臨床心理士の活躍の場は様々
臨床心理士が活躍できる分野は、医療や教育、福祉など幅広いものになります。就業機関として最も多いのは病院・診療所で34.7%、続いて自治体から各校への派遣(スクールカウンセラー)が21.5%、児童福祉施設・機関が11.8%となっています。(参考:一般社団法人日本臨床心理士会:第7回「臨床心理士の動向調査」報告書(平成28年(2016)年4月))
近年はメンタルヘスルケアが重要視されており、心理職の需要は高まっています。病院やクリニックのホームページで臨床心理士の募集を見かけることもあります。
また、いじめ問題の対策の為に、全公立学校にスクールカウンセラー(SC)の配置を義務化する動きもあり、ここ数年でスクールカウンセラーの人数は増加しています。
スクールカウンセラーは8割程度が臨床心理士というデータもあり、SCとして働く際には資格保有者は重宝されるでしょう。スクールカウンセラーは各自治体が毎年募集をしています。
正規雇用・常勤は狭き門
臨床心理士の勤務形態は非正規雇用が多いのが実情です。常勤のみの勤務者は33.8%に留まり、常勤+非常勤の掛け持ちの人が13.8%、非常勤のみが44.7%と半数近くを占めています。
勤務機関の数をみても、1機関が48.4%と全体の半数弱、残りは44%程度が複数機関の掛け持ち勤務をしていることが分かっています。(2機関が25.9%、3機関が12%、4機関以上が6.1%、無効回答7.5%)(参考:一般社団法人日本臨床心理士会:第7回「臨床心理士の動向調査」報告書)
実際、クリニックの募集は週数日の非常勤が多いですし、公立学校のスクールカウンセラーは自治体の非常勤職員として有期雇用されるのが通常です。(私立の場合はその限りではありません)
さらに心理職の国家資格である「公認心理師」も誕生し、平成30年9月9日にいよいよ第1回目の試験が実施されます。現状はどちらかの資格に優位性があるとは言えず、類似する民間資格と国家資格が併存する形になります。今後たとえば国家資格の方が社会的地位を持つのか、これから臨床心理士は公認心理師も取得しなければならないのか、懸念や不安の声も聞かれ、若干の混乱が生じていることは否めません。