経理の管理職の転職市場の動向は?
最近は転職サイトでも、「○○万以上のエグゼクティブクラスの求人」を謳い文句にして転職希望者を募っている転職サイト・人材紹介エージェントも増えてきました。たしかにこれだけ転職市場の規模が広がってくると、現職に満足しているような人でも、2、3度は自分の適性年収を調べたりですとか、転職した際のメリット・デメリットを具体的に考えてみたことがあると思います。
このように、転職が当たり前のように行われている現在ではありますが、これは主に、日本経済が低迷していた間に、日本ならではの終身雇用制度が崩れて、リストラにあう人が急増したり、企業自体を外資系企業に買収されたり、逆に日本企業が戦略的に海外企業を買収したり、お互いのメリットを考えて業務提携したりなど、グローバル化の影響が色濃くでてきたからだと考えます。
また、どんなに会社に誠心誠意貢献したとしても、将来あっさりと首を切られてしまうかもしれないという不安を、一般の人が持つようになりました。そのため、資格スクールなどに通い、資格を取得したり、スキルアップにいそしんだりする人が急増しました。
努力して管理職までになっても、コストカットの名のもとにその地位はいつ揺らぐかも分からないということです。ですから現職があっても、転職サイトなどにレジュメ登録したり、より条件のよい仕事があったら転職したいという考えの人が増えてきたのです。会社への帰属意識、忠誠心が昔よりも薄れたのもあるでしょう。
管理職レベルの経理求人は、この移り変わりが激しい就業環境にあって、ますます増えてきています。一般経理や会計の専門家、マネージメント経験者だけではなく、M&A対策や資金調達、経営戦略のために、企業の業績を評価したりするデューデリジェンス、財務知識に明るい人材、企業コンサルティングなどができる人材なども求められるようになっており、経理、会計、財務にとどまらない広い包括的な経験と知識をもっていると、大きな強みになります。
- 昔とは違い、管理職まで昇進してもその地位は安泰ではない。そういった外部環境の変化に伴い、経理の管理職レベルの求人も市場に多く出るようになっている。
管理職のキャリアゴールとは
すでに管理職経験があり、経理や会計、財務などの専門知識を持っている人材は、転職市場でもかなり好条件の転職ができるというのは前項でも述べましたが、これらのエグゼクティブは一定のキャリアに達したあとも、その次の目標設定をしなおすことも大切です。
日系企業でも外資系企業でも十分通用する実力を持っていて、ある程度の肩書きや財政基盤もできると、自分の能力に自信をもち、よりよい転職があれば転職したいと思うのは当然のことかもしれません。
ただし、いまの現職だからこそ心地よく働けているのかもしれず、職場環境や仕事の面白さ、やりがいというのは決して年収だけでははかることができないこともまた事実である事を頭の片隅に置いておきましょう。数十万、数百万の年収アップのために、いままでの快適な環境や同僚、上司、部下、取引先との良好な関係、実質的な繋がりが無くなり、また新しく仕切り直すのは、やはりかなりのエネルギーがいるものです。
もちろん、それだけの体力と活力のある人は、タイミングを見計らって、エグゼクティブ求人などに応募、またはスカウトに応えてみるといいのではないでしょうか。
- 管理職経験があり、経理・会計の経験豊富な人材は、エグゼクティブ求人への応募や年収アップも可能です。しかし年収だけにとらわれずに、いまの職場と新しい職場での自分のポジション・立ち位置などをちゃんと考えましょう。
本記事は2016/02/05の情報で、内容は経理としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。