中小企業診断士としての求人はない
残念ながら、応募要件に中小企業診断士と載せている一般企業はほとんどありません。それは、中小企業診断士に需要がないのではなく、中小企業診断士が持つ能力やスキルが一般的に知れ渡っていないためだと考えられます。
一般企業の採用担当者は、中小企業診断士が業務上、どんなことをできるか知らないのです。中小企業診断士を取得したという事は、膨大な知識量と、資格取得までの忍耐力、そして人とは異なる角度から経営を見ることのできる視点を手に入れていますので、今までの職務経験とを交えてアピールする事で、どんな業種の企業にも転職する道は開けてきます。
また、中小企業診断士試験では2次試験においてロジカルシンキングを学んでいます。ロジカルシンキングはビジネスの現場において必須となる能力です。
- 中小企業診断士という資格ではなく、何ができるかをアピールポイントに。
企業内診断士の道
中小企業診断士資格は、取得後にそのまま独立する人もいますが、そういった方は少数で7割にも及ぶ方が、取得後も企業に勤める企業内診断士です。そのため、自己啓発や社内昇格のための資格という一面もあります。企業に勤めていると、人事研修により人材育成を図ることが一般的ですが、人事研修が充実しているのは大手企業くらいです。
しかし、資格取得奨励制度などにより、会社の費用で自分の磨きたいスキルや、開発したい能力を選択できるようになってきました。企業は、優秀な人材を採用しますが、同じように優秀な社員を育成したいと思っています。昨今は景気回復に伴い、人材獲得への競争力が高まってきており、能力のある人材はどの企業でも引く手あまたになっています。
中小企業診断士資格は、経営を切り口にした資格です。そのため、ミドルマネジメント層やトップマネジメント層にとって必要な知識が詰め込まれた資格です。企業内で能力をフルに活用し、昇格や転職の機会をとらえてスキルアップしていく人も数多くいます。
- 企業内診断士の割合は約7割。独立せずともキャリアアップができる。
職歴に縛られない転職活動が可能
転職を考える場合、今までの職歴を重視し、前職と似たような企業へ転職してしまいがちです。しかし、せっかく中小企業診断士となり、幅広い分野での道が開けたのであれば、一度経験した職種ではなく、あえて違う職種を選ぶという手もあります。
中小企業診断士試験では、製造業や小売業などの業界について学び、組織論やマーケティング、財務・会計など職種に関しても学ぶことができました。今まで接する事のなかった分野に触れたことで、職業選択の幅が広がりました。
例えば、税理士事務所に勤めていた人が、マーケティングに興味を持ち、小売業界へ転職したケースや、営業畑を歩いてきた人が、運営管理を学んだことで製造の興味を持ちメーカーに転職したケースもあります。中小企業診断士は、ゼネラリストを要請する資格と言われており、どの企業においても力が発揮できます。それだけ、選択肢を広く持って心に余裕のある転職活動ができる資格なのです。
- 業種や職種の枠にとらわれない、選択肢の広い転職活動ができる。
本記事は2016/01/29の情報で、内容は中小企業診断士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。