女性歯科技工士の勤務事情
女性の歯科技工士は徐々に増えつつありますが、割合としては全体の4割程度で、まだ男性が主体です。長時間の勤務が問題となっている歯科技工所は、女性にとっては働きづらい環境です。深夜までの勤務は体力的にも過酷ですし、通勤を考えても難しいものがあります。
また、男性が主体のため、更衣室やロッカーがない、お手洗いが汚い・使い辛いなど、女性としては気になってしまう部分への配慮が足りない職場が多いのも事実です。もちろん、きちんと設備が整った歯科技工所もありますが、職場のほとんどが男性というのは少々働き難さを感じる女性も多いはずです。
- 男性が主体の歯科技工所は、長時間労働や女性視点の配慮に欠けるなどの理由で女性が働きづらいことが多い。
女性歯科技工士の転職事情
前述の背景から、女性歯科技工士の転職は男性とは少し違う雰囲気があります。働きやすさを求めて、歯科技工所勤務よりも歯科医院や歯科技工を請け負う大手企業などの環境の整ったところへ就職する女性歯科技工士も多くいます。
人前に出て患者様などと積極的にコミュニケーションを取るタイプの歯科技工士は、女性の方が需要が高い傾向にあります。主に歯科医院勤務や材料メーカーのデモンストレーションを行う歯科技工士です。歯科医師恐怖症の患者様や小さな子供は、相手が男性よりも女性の方が恐怖を感じにくいとされているので、歯科医院の中には女性の歯科技工士を募集しているところもあります。
また、女性であるということをメリットとして捉え、歯科医院などに出張して歯科技工物の相談やセットまでを請け負う「女性のみの歯科技工所」もあります。
- 女性が比較的働きやすい歯科医院や材料メーカーなどに転職する人も多い。患者様などと接する機会もあるので女性が好まれる傾向。
スキルアップを望む女性歯科技工士には厳しい現状
しかし、女性でもバリバリ歯科技工をしたい、もっとスキルアップしたいと考えている歯科技工士にとっては少々難しい状況です。歯科技工所勤務の男性技工士の中には「女性は使えない」と考えている人もいます。また、女性は単純に体力面で男性よりも不利になるので、まず長時間の勤務は難しいと判断されがちです。そのせいか、年齢や経験などが全く同じ条件の男性と女性が同時に歯科技工所に応募したとすると、どうしても男性の方が有利になります。
女性が歯科技工所でのキャリアアップを考えるなら、ポーセレンやインプラントなど特殊な技術に特化するか、女性を積極的に採用している歯科技工所を狙うのが良いです。一般的な歯科技工所に比べると数は少ないですが、大都市圏などでは女性を採用したがっている歯科技工所も増えてきています。
- 歯科技工所はどうしても男性有利の傾向。スキルアップを望むなら、特殊技術に特化したり、女性を積極採用している技工所を粘り強く探すといい。
本記事は2016/01/21の情報で、内容は歯科技工士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。