歯科技工士の1日の仕事の流れ
歯科技工士の1日の作業は、製作する内容や現場によって様々ですが、大まかな仕事の流れはあまり変わりません。ここでは歯科技工所で働く歯科技工士の1日を例に挙げて説明します。
歯科技工は予約とのにらめっこ
朝出勤してまず確認するのはスケジュール表です。技工内容によって一つにかかる時間が違うので、自分の手の早さや技工内容を確認してスケジュールを調整します。
通常の歯科技工物は、製作する技工物の難易度によって技工日数を調節された状態で歯科技工士に発注されます。例えば、真空プレス機で製作されるスポーツ用マウスピースは3日、歯列矯正などに用いられるワイヤーつきのマウスピースなら7日、などです。
ところが、急患の患者様の技工物が必要になった場合など、スケジュール通りに行かないことも多々あります。歯科医院側から急遽設計や材料の変更の指示などが入ることも常で、半分以上仕上がった技工物をやり直すなどというのもよくある話です。
- 製作物の内容や自分の作業スピードを考慮しながらスケジュールを確認、調整する。ただし急な依頼や修正によって予定通りにいかないことも多い。
下準備から後片付けまで
スケジュールの確認をしたら、実際の技工の準備を始めます。この準備でもスケジュールをにらみつつ進めなければいけません。作業模型に水分が残っていると技工ができなかったり、ポーセレンや鋳造などでは窯の余熱の時間などもかかってきます。そういった手順やかかる時間などを頭に入れつつ、手早く準備を進めていきます。
実際に技工を始めると、機器の余熱・重合待ち、硬化待ちなどで待たされたり、逆に一気に作業を進めなくてはいけないものなどもあり、2つ以上の作業を同時に進めて管理する能力が必要になってきます。昼休みに食事をするという当たり前のことができなくなる場面も多々あり、特に歯科技工士が自分一人だけの場合はこういったことが頻繁に起こります。それも見越したスケジュール管理が重要になってきます。
また、細かいことですが、技工机の周辺は常に整頓しておかないと、このような時間に追われる作業を上手くこなすことが難しくなります。1日の終わりには後片付けをして、いつでもスムーズに作業が進められるようにしておかなければいけません。
- 技工物や機器の状態に左右され、時間に追われながらの作業となることが多い。作業をスムーズにするための準備と片付け、整理整頓も大事。
一度始めると終わらせづらい
どの勤務先にも比較的共通しているのは、歯科技工士の作業は一度始めると終わらせづらく、就業時間にぴったりと終えるのは難しいということです。窯が温まっているうちにもう1セット作ってしまいたい、重合時間がかかるので帰る前にレジン注入してしまいたいなど、終わらせられない理由がとても多いのです。また、スケジュールが頻繁に変更になったり突発の技工物が入ることも多いので、そのような状況に臨機応変に対応していかなければいけません。
本記事は2016/01/20の情報で、内容は歯科技工士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。