弁理士試験の合格
弁理士になるには、まず弁理士試験に合格しなければなりません。弁理士試験は、3つの試験で構成されています。
短答式筆記試験は、法律の例外規定が多く問われます。法律に記載されている基本的な内容はもちろん、「ただし書き」の部分まで押さえておく必要があります。5つの選択肢からなる問題を60題、総計300問を3時間半で解かなければなりません。つまり、1問あたり約40秒で正否を判断しなければなりません。このように、正確な知識と迅速な処理能力が求められる試験です。
論文式筆記試験は、他の法律系国家試験にはない弁理士試験特有の試験科目となり、具体的な事例を法律に基づいて処理する能力が問われます。特許法、実用新案法、意匠法、商標法についての必修科目に加えて、材料力学や物理学といった技術系の選択科目が課されます。法律に記載されている内容だけでなく、法律を規定した趣旨や最高裁判例に基づいて具体的な事例を処理する能力が求められる試験です。
口述試験は、質問に対する答えを法律に基づいて正確に回答する能力が問われます。極限の緊張の中で対峙した試験官の問いに対して、正確に回答する度胸と冷静さが必要になります。また、数日にわたって行われるため、試験日毎に異なる問題が出題されます。さらに、同日でも複数の試験官によっておこなれるため、試験官との相性や問題によって合否が左右される場合があります。
- 弁理士試験は、3つの試験で構成されており、全てに合格する必要がある。
実務修習と弁理士登録
弁理士試験に合格しただけでは弁理士になれません。日本弁理士会が実施する実務修習を修了し、弁理士登録をする必要があります。
弁理士試験合格者は、日本弁理士会が実施する実務修習を修了しなければなりません。実務修習は、弁理士として実務を行うために必要な最低限の知識を習得するためのものです。実務修習は、同期合格者が地域毎に集まり、特許・実用新案、意匠、商標について実務にそった演習をおよそ3か月に渡って行います。費用は118,000円です。
実務修習を修了した後には、日本弁理士会で弁理士登録をします。必要な書類と登録料、会費を納入することで弁理士登録されます。弁理士登録をすることで登録番号が付与され弁理士と称することができます。費用は110,800円です。
また、弁理士登録後、弁理士として維持を続けるためには、日本弁理士会に月15,000円の会費を納入する必要があります。
- 弁理士試験合格後に、実務修習の修了と弁理士登録をする必要がある。
本記事は2016/01/08の情報で、内容は弁理士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。