CADオペレーターとしての資格
CADオペレーターとして就業を希望する場合、特に必要な資格等はありません。しかし、資格を取得していれば、ある程度のスキルを持っていると評価されますし、採用枠が少ない場合に持っている人といない人で争えば、当然持っている人の方が採用率は高くなります。
CADオペレーターの保有資格として就職や転職に有利と言われているのが「CAD利用技術者試験」です。この資格には1級と2級があり、2級はパソコンの基礎知識とCADオペレーションの基本操作をメインとした内容で、特に受験資格はありません。取得すれば目安として、実務経験が半年程度の人と同知識を保有しているものとみなされます。
1級は「トレース」「建築」「機械」とそれぞれ科目が分かれており、どの科目を受験する場合にも、2級試験に合格していないと受験できません。2級はコンピューターによる筆記試験のみとなっていますが、1級は筆記試験と実技試験があり、試験では実際にCADソフトウェアを使用して作図します。
CAD利用技術者試験の受験者は、近年の不景気の折にも1級2級を合わせて年間5000名ほどの受験者がおり、合格率は約50%となっています。実務経験がない人の場合、独学での試験は難しいと言われており、試験会場となる学校で使用しているCADソフトウェアやパソコンに慣れていないと、実際の操作が出来ないこともあります。実務経験がある人も、実際の試験対策のとなる勉強を行わなければ、合格は難しい資格となっています。
- 就職や転職に有利と言われている資格が「CAD利用技術者試験」。
資格取得やスキルアップが難しいその理由
CADオペレーターとして就業する際、独学で勉強してスキルアップや資格取得を考える人も多いと思いますが、なかなか難しい現状があります。
「CAD利用技術者試験」では、AutoCAD(オートキャド)で試験を行っています。知名度も高く、広く使われているAutoCADですが、通常版は3次元(3D)作図機能も付いているソフトウェアで、約70万円と大変高価です。また、2次元(2D)機能のみに制限されたAutoCAD・LT版でも、約20万円と決して安くはなく、独学で勉強したいと考えてもなかなか簡単には購入出来ません。
独学で勉強するために購入したとしても、その機能は大変複雑で、テキスト本を購入してもその機能全般を習得することは難しく、挫折する人も少なくありません。そのため、ほとんどの人が実務を行ないながら職場で教わったり、職業訓練学校等に通って習得を目指しているのが現状です。
これらのことから、CADオペレーターとしての技能習得には時間や費用もかかるため、事務職等に比べると求人数よりも働き手が少ないという現実があります。
- ソフトウェアが高額であったり、機能が複雑といった点から、職場や職業訓練学校などで習得している人がほとんど。
資格保有よりも実務経験やスキルを優先して評価する
CADオペレーターとしての技能を持つ人が一般的に多くないこともあり、資格の有無よりも実務経験やスキルを評価して採用を検討する企業が多くなっています。
そのため、ひとつの企業で長くひとつの作業に携わるよりも、派遣等を通して複数の企業でいろいろな作業に携わった人の方が、実務経験の評価は高くなり、さまざまな作業に対しての対応力を持つ人材を高く評価する業種といえます。ですので、転職の際にも資格取得には拘らず、様々な業界での経験を積みたいと考える人も多くいます。
- 資格の有無よりも実務経験やスキルを評価して採用を検討する企業が多い。
本記事は2015/12/21の情報で、内容はCADオペレーターとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。