作り手からサービスまでを一手に担う職人
料理を作る専門家であるシェフは、一般的にはキッチンにこもって作業をし、ゲストに提供するのはウエイターやサービスマンの仕事です。料理を食べたゲストの反応や感想はサービスマン経由で後で知ることがほとんどです。
ワインサービスのプロフェッショナルであるソムリエは、ワイン生産者が造り上げた作品(ワイン)をその想いとともにゲストにサービスする仕事です。いわば伝道師であり、その技術は素晴らしいですが、実際にワインを造っているソムリエは少ないです。
バーテンダーは、自らの手で造りあげた作品(カクテル)を、直接ゲストへサービスをします。自分の作品を味わうゲストの反応をダイレクトに感じることができるのはバーテンダという職種ならではであり、自信や喜びにつながる魅力的な仕事なのです。
- 自分の作品を味わうゲストの反応をダイレクトに感じられる。
ゲストに感謝される喜び
一杯入魂のカクテルを「美味しかった。」と飲み干してもらった時、バーテンダーとの会話によって「楽しかった。」「来てよかった。」と言ってもらえた時、落ち込んでいたゲストの元気を取り戻した姿をお見送りする時、「このバーでは何を飲んでも旨いんだよ。」と友人連れで再来された時等、ゲストに喜ばれることや感謝の言葉はバーテンダー冥利に尽きる喜びです。
ゲストのニーズをいち早く的確に読み取り、ホスピタリティをもってサービスに徹することがやりがいに繋がります。
- ゲストからの喜びの言葉はもらえる機会が多い。
生の節目に立ち会う感動
バーとは非日常の空間であり、バーテンダーはその場の雰囲気を盛り上げるエンターテイナーでもあります。
酒は人間関係の潤滑油であり、バーには様々なドラマがあります。昇進や栄転、バースデー等のお祝いの酒、初デートやプロポーズ、商談などの胸の高鳴る酒、時には献杯など別れの酒もあります。
人生の分岐点ともなるべき場面に一役かうことができ、ゲストとともの祝い、心を揺さぶり、悲しみ、喜び、気持ちを共有できることは何ものにも代え難い感動を覚えます。人生の節目に立ち会えるというのはバーテンダーの醍醐味といえます。
- ゲストの人生の節目に立ち会い、気持ちに寄り添える仕事。
クリエイティビティを刺激する悦び
経験を積んだバーテンダーは、オリジナルカクテルを創作するようになります。それはお店の新メニュー開発の為であったり、または、自分を表現する為の手段でもあります。
日頃から美的センスを磨き、創作意欲を高めることでオリジナルカクテルのアイディアが生まれます。カクテルコンペティション(大会)などに出品し、それが高く評価されると、その作品は語り継がれて行きます。
マルガリータがその代表例ですが、スタンダードカクテルだと思われているカクテルの中には、かつてそのようにオリジナルとして創作されたものが少なくありません。自分の名とともに、自己の作品がカクテルブックに載り後世に残ることは名誉であり、バーテンダーにとって至福の悦びとなります。
- カクテルブックに自分のカクテルが載ることも。
出会いの宝庫
バーには夜な夜な、多種多様な人々が訪れます。財界人、有名人、芸能人、大企業の会長や社長などが来店されることもあり、一流のバーやホテルバーであればその頻度は高くなります。日常の生活ではまずお目見えすることがないような大物人物と接することができるのです。
本来なら会話をするのもはばかられるような方々も、バーテンダーには気さくに話しかけてくれるもので、コミュニケーションをとるうちに親しくなることもよくあります。バーはまさに出会いの宝庫であり、こうした貴重な経験ができるのもバーテンダーの魅力です。
- 人生が変わるような出会いも。
本記事は2015/12/11の情報で、内容はバーテンダーとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。