高いコミュニケーション能力
動物病院を訪れる目的は人によって様々で、動物のことはもちろんですが、世間話を楽しみにしていることもありますし、動物が原因で起きたトラブルの仲裁を求めて来院することもあります。診察室での一言は、安心感を与えることもあれば、絶望させてしまうこともあるので、言葉の重さを自覚することが大切です。
治療が目的で来院しても、難しいことは分からないから先生に全てお任せする、という人もいれば、徹底してインフォームドコンセントを求める人など、飼い主の求める情報や治療の効果は十人十色です。診察室での限られた時間の中で、できる事は多くはありませんが、飼い主の求める情報や医療に対して可能な範囲で応えていくことが獣医師に求められる能力です。
- 飼い主とコミュニケーションを取り、求められている情報や治療を察して出来る限り対応する事が必要。
とにかく体力勝負
昼夜を問わない診察があることから、診療施設に勤務する獣医師は体力を必要としますが、診療施設以外の職場でも体力勝負の仕事があります。
例えば、農場で高病原性鳥インフルエンザが発生した時、ニュース番組では鶏の処分を行っている映像が流れます。映像の中の白い防護服を着た人は地方公務員の獣医師で、家畜伝染病予防法に基づいた対応を行っています。鶏舎は暖かく保たれているので、防護服はサウナスーツのような状態になり、慣れていない人は倒れることもあります。
- 診療施設以外の職場でも体力が資本。
獣医師に求められる人物像
社会から求められる獣医師の仕事は、人と動物との調和をとること、人がうるおいのある豊かな生活を楽しめるようにすることです。一方、獣医師は、純粋に動物の病気を治したいという思いからなる人が多く、時には人と動物との都合で思い悩むことがあります。相反する事象、思いの中で、高い見識を保ち、冷静に対応できる人でいなければなりません。
獣医師の仕事は動物を助けることだけではなく、動物に対して最後まで責任をもつということです。消える命に対して感無量になることや、慣れて何も感じなくなるということはあるべき姿勢ではありません。
- 無感情になる、あるいは感情移入し過ぎることなく、動物に対して最後まで責任を持ち、冷静に対応することが求められる。
本記事は2015/06/18の情報で、内容は獣医師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。