臨床工学技士のやりがい
臨床工学技士という資格は国家資格であるもののまだ知名度も低く、臨床工学技士でなければ行うことのできない専権業務もまだ存在しないため、それだけ見れば臨床工学技士に魅力を感じる人は少ないかもしれません。
しかし、まだ専権業務がないからこそ様々な分野へ進出し、その業務ごとに違った仕事へのやりがいが感じられることも臨床工学技士の特徴の一つです。そういった意味で自分ならではの存在意義を確立できれば非常に大きなやりがいに繋がるでしょう。その存在意義が大きいほど病院から臨床工学技士の存在が認められていくでしょう。ここではやりがいに感じる事例を3つ挙げてみます。
- 数字で感じる臨床工学技士のやりがい
臨床工学技士は医療機器の保守や点検を行うことも業務の一つです。臨床工学技士ができるまではこれらの業務は医療機器メーカーによって行われていました。例えば、医療機器が破損し修理が必要な場合、一度医療機器メーカーへ医療機器を送り、工場で医療機器の修理を行ってから病院へ戻るという流れでした。この場合、医療機器を送り戻ってくるための往復の送料や、医療機器メーカーの修理のための工賃などがかかるため小さな修理でも修理代が大きくなることも少なくありません。
しかし、そのような業務を臨床工学技士が部品のみ発注し、院内で行うことで迅速かつ安価に修理を行うことができます。また、点検を行う場合も同様です。このように臨床工学技士は経費を削減することにより自分の仕事が数字に表すことができるため、仕事の達成度が実感できやりがいを感じる人も多いです。
- 治療の質の向上での臨床工学技士のやりがい
臨床工学技士は医療機器の選定も業務の一つです。新しい医療機器を入れることで治療の幅が広がる場合もあります。しかし、使用するのは医師や看護師である場合が多いため誰しもが使いやすい医療機器を選択しなければなりません。
医療機器というのは高額なものも多いため医療機器の選定を失敗することで治療効率を上げるチャンスを逃してしまう可能性もあるのです。そのため、自分の選定した医療機器が医師や看護師に受け入れられ患者の治療に役立つことで仕事へのやりがいを感じる場合もあります。
- 患者さんからもらう臨床工学技士のやりがい
患者さんからやりがいを感じさせてもらうことは非常に多いです。臨床工学技士は人工呼吸器や透析、人工心肺など人の死といつも隣り合わせで働く職業です。そのため病院の到着が遅く治療が間に合わずに亡くなっていくという方も少なくありません。そのような患者がいる中で、治療に携わった患者の退院していく姿や、院内を元気に歩く姿、患者からの感謝の言葉をもらうことで臨床工学技士としてのやりがいを感じる人も多いです。
本記事は2015/06/11の情報で、内容は臨床工学技士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。