服装を間違えて命の危険
添乗員になった当初は経験がないので服装に迷うことがあります。特に迷うのは靴です。「○○散策ツアー」というタイトルからは、どれほど歩かされるのか分かりません。周りの人に聞けばいいのですが、これで大丈夫だろうなどと安易に考えて大変な目にあうことは、とくに添乗員になったばかりの頃にあります。
ある添乗員が、オーストラリアのエアーズロックに登るツアーの仕事をもらいました。エアーズロックは、大地の中にポツンと1つだけ大きな岩があります。その岩の上からの絶景を見るために多くの人がツアーに参加する、日本人にも人気のツアーです。オーストラリアに滞在した経験のある添乗員だったので、とくに心配もなく現地に向かいました。ただし、エアーズロックに登るのは添乗員にとって初めての経験でした。
当日、添乗員はビジネススーツでエアーズロックに向かいました。お客様は山を登るときと変わらない服装に着替えています。添乗員は登り始めてすぐに服装が不適切なことに気が付きました。ビジネスシューズでは、靴が滑って危ないのです。エアーズロックでは、日本人の添乗員が足を滑らせて亡くなったことがあるという話を聞かされたこともあります。
添乗員は、鎖に捕まりながら必死に登りました。そして無事に降りて来ることができました。その恐怖ははかりしれないものだったそうです。
- 添乗員はツアーに合わせて適切な服装を選ばなければ危険な目に合うことがある。
修学旅行の添乗は夜が長い
中学・高校の修学旅行の仕事があります。総勢200名ほどの学生を2~3人の添乗員が付き添います。とうぜん教員もいますし、学生は教員の言うことを聞くので、添乗員が学生に悩まされることはありません。どちらかと言うと、教員との距離感が難しいのです。
教員は学生に万が一のことがあると大変ですから、神経をピリピリさせていることが多いです。そのため、添乗員も教員同様に生徒の安全には最新の注意を払わなければなりません。例えば、新幹線のホームに列車が入ってくるときは、大声を出して生徒を白線の内側に誘導します。街中を歩く時でも、歩道を歩くように大声を出して案内します。この大声を出すというのは、どれだけ頑張って添乗業務を行っているかを教員に示す、一種のパフォーマンスでもあります。
そうこう言っていると、長い1日はあっと言う間に終わります。生徒が就寝時間を迎え、通常のツアーにはない緊張感からようやく解放される時間なのですが、そこから夜な夜な先生方や旅行会社の社員と添乗員が集合し、1日の反省会が始まります。
そして、場合によってはテーブルの上にはビールとおつまみが並びます。教員も1日の疲れから解放され、旅行会社の社員や添乗員にも気軽に話しかけてくれ、昼間の厳しい先生とは違った1面が見られます。それだけならとても良い時間なのですが、これが結構長いのです。お酒が入る場合には、反省会から飲み会に雰囲気がかわってしまうと深夜に突入します。
- 最近は、旅行会社によっては深夜残業代を払ってくれるところが増えてきた。
本記事は2015/12/03の情報で、内容は旅行添乗員としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。