スポーツジムトレーナーの転職と志望動機のポイント

職業:ジムトレーナー

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 スポーツジムトレーナーに転職する際、必ず問われることの一つに「志望動機」があります。このページでは、まずは未経験者や異業種からの転職者に多い志望動機の例を挙げ、続いて採用側の目に留まりやすい志望動機のポイントなどを紹介していきます。採用側が求める人物像の要素を志望動機に盛り込み、かつ他者との差別化を図ったアピールをして、転職活動に臨みましょう。

 

 

ジムトレーナーの転職希望者に多い志望動機

スポーツに携わる仕事をしたいという気持ち

 ジムトレーナーに転職したいと思うきっかけは様々ですが、やはり多いのは「スポーツに携わった仕事をしたい」、「トレーニングやスポーツが好き、スポーツ観戦が好きで、スポーツの仕事をしたいから」というものが多いです。なかには「座って仕事をするよりも身体を動かしていたい」という志望理由の人もいます。

 

身近な体験からジムトレーナーを志望

 自分の身近な体験からジムトレーナーを志望するようになった人も多いです。客としてスポーツジムに通っていた時に良いサービスを受けられたので、自分もそうなりたいと感じたという例や、病気になった家族が医者から運動を勧められてフィットネスクラブに通い出し、その家族の話を聞いてトレーナーに興味を持ったのがきっかけだという人もいます。また、運動系の仕事が未経験でも、運動嫌いな子どもがスポーツ担当の先生のおかげで徐々に運動が好きになり、子どもの変化を見ていくうちに幼児スポーツに興味を持ったという人もいます。

 

 フィットネス業界の応募者は、メディアがスポーツを放映する時期に増える傾向があります。スポーツは年間を通して放映されていますが、オリンピックやパラリンピック、日本代表サッカー戦やフィギュアスケートなど、注目度の高いスポーツ大会が開催される時は、メディアが選手やチームに密着して特集を組み、テレビで放送することがあります。そこでトレーニング風景が放映され、選手に帯同しているトレーナーの姿に憧れて転職を決意する人もいます。

 

「人のため」という気持ちが必要

 しかし、スポーツが好きでスポーツに携わりたい、お客様にトレーニングを指導したいという気持ちだけでは、志望動機としては弱く、ジムトレーナーとしての転職は失敗に終わるケースがあります。「人が好き、人と会話をするのが好きで、人のために働きたい」「フィットネスを通じて社会に貢献し、人のために役立ちたい」という気持ちが強い人ほど、ジムトレーナーとしての転職は成功しやすくなります。

 

 ジムトレーナーである以上、クライアント、つまりお客様は施設にお金を払ってそのサービスを得たいと考えているので、「人のために働きたい」という事が大前提になってきます。人のためにという気持ちがあり、サービス業ならではの気配りが志望動機に盛り込まれていると、採用する側の目に留まりやすくなります。

 

  • 自分や身近な人がジムトレーナーと接した体験、テレビなどの情報がきっかけで志望する人も多い。
  • 人のために働きたい、人の役に立ちたいという気持ち、気配りができることが必要。

 

採用につながりやすい志望動機は?

サービス業ならではの気配りが求められる

 ジムトレーナーに求められる人物像や採用基準を理解したうえで、志望動機に上手に反映してアピールすることが重要になってくるのですが、それに際して、民間のスポーツクラブに寄せられた顧客からの苦情内容を調査したデータを見てみましょう。

 

※出典:立命館産業社会論集「スポーツ経営における「顧客苦情マネジメント戦略」に関する実証的研究」(2014年3月)

  日本のクラブ業界のトレンド 2015年版

 

 苦情として多いものは「レッスンや各種プログラム関連」「他の会員の行動や振る舞い」などが目立ちますが、以降に続く内容として「スタッフの接客・専門知識・指導力」「施設・設備環境全般」「シャワーやサウナ・スパなどの付属設備・備品関連」などが見られます。これらはジムトレーナー1人1人の意識によって改善できる点でもあり、採用側が重視している点です。

 

 どういうことかというと、例えば、ジムトレーナーとして実際に働いていると、例えばお客様の目の前にゴミが落ちていても気付かない、あるいは気付いているのに放置しているというのは論外です。また、施設内の備品の不備にすぐ気付けることも大事で、ティッシュペーパーが無くなっていたらすぐに補充をする、汚れている箇所があればすぐ掃除をするといったごく当たり前の事ができるかどうかが問われます。

 

 サービス業全般にとって大事なことですが、ジムトレーナーに特化した実例を挙げるなら、マシンを使い終わった人がマシンタオルで汗を拭かずに立ち去ってしまい、汗がマシンについていたとします。これにジムトレーナーが気付き、自ら拭くことができるかどうか、といったことになります。他にも、フィットネスクラブに通っている常連のお客様との会話が盛り上がってしまい、マシンの使い方が分からない新規のお客様を見逃してはいないか、という気配りも大切になります。

 

 これらは、先の調査結果にあった「顧客からの苦情」を事前に防止することにもつながってきます。スタッフの接客に関しては当然ですし、施設や設備・備品についても、いちスタッフにはどうしようもない場合もありますが、お客様の要望を察知して適切な情報を提供する、あるいは要望を傾聴するだけでも、不満改善につながる場合があるというわけです。

 

 自分や一部のお客様がただ楽しいというだけではなく、自然と気配りができている人が、ジムトレーナーとして求められており、転職に成功しやすいとも言えます。こういった点は志望動機や自己PRの中に組み込んでいけるといいでしょう。もしジムトレーナー未経験者でも、接客や気配りに自信があり、顧客満足度の向上に貢献した実績があるなら、大いにアピールすべきです。

 

ジムトレーナーに求められる人物像・採用基準を把握して、志望動機を作成する

 

 ここで、ジムトレーナーに求められる人物像や採用基準についてまとめておきます。繰り返しになりますが、ジムトレーナーは、人を対象としたサービス業です。お客様は当然サービスの対価としてお金を払ってフィットネスクラブや高齢者向け、幼児向けスポーツ施設などに通ってくるわけです。学校の教師と生徒のような関係ではなく、ジムトレーナーはお客様からお金を頂いているという事を忘れてはいけません。

 

 そのため、お客様の「要望」を聴くことができる人、お客様に分かりやすい説明ができる人、お客様の変化や周囲の環境の変化に気付くことができる洞察力の高い人が求められます。それらを志望動機に上手く盛り込んでアピールしていくことは、とても有効な手段なのです。

 

傾聴力が高い人

 お客様の言っていることを理解できるかどうか、聴く力が高いか、というのは重要な能力です。例えばお客様から「マシンから異音がする」と言われてマシンを見に行き、異音はするけれど動作は問題なく行えるから大丈夫、という判断をしてしまうと後々重大な事故に繋がりかねません。異音が出ているということは、どこかに不備が生じているということです。その場で動作上問題がなくてもマシン内部に問題が生じている可能性もあります。何が原因かの追究まで行わなくてはなりません。「聴く力」にはここまで含まれます。

 

 また、すべてのお客様が一度にすべての情報を話してくれるとは限りません。「スタジオでレッスンを受けていると床が滑りやすい」という声を頂いたとします。レッスンをしていないときはスタジオは密室にならず、空気がこもらないので滑る事はありません。ただ、人が入り締め切った部屋の中で運動をしているときにそのようなことが起こります。それを理解したうえで、何が原因かをお客様から聞き出さなければいけません。

 

 更に詳しく話を聞いて「エアロビクスの様なレッスンでは滑るが、ヨガのレッスンの時は滑らず、空気がこもったりする感じもしない」という情報が得られた時に、施設内の何に不備があって何を確認すれば良いのかという事を予測しなければなりません。この場合は、除湿器及び冷房器具、換気扇などの設備をチェックする必要があります。このように、1つの言葉からどれだけの事を予測し、正しく理解できるかということは重要な能力で、この傾聴力が高い人は重宝されます。

 

説明能力が高い人

 説明する力も、ジムトレーナーにとって大事な能力です。説明が上手ければ、お客様を説得したり、納得してもらうことが出来るからです。

 

 例えば、フィットネスクラブに初めて通うお客様がいたとします。マシンの名称や使い方も分からず、何をどうすればよいか分からないという人に対して、「トレッドミルというマシンでウォーミングアップをした後に、チェストプレスなどをウエイトスタック式のマシンを使って行いましょう」などと専門用語を羅列して説明をしてもまったく理解してもらえません。

 

 「ウォーキングというマシンで5分~10分軽く歩いた後、胸の筋肉を鍛える機械で筋トレをしましょう」という説明をすれば、お客様も聞いたことのある言葉を使っているため耳に残りやすく、親しみやすく感じてもらえるでしょう。

 

 ジムトレーナーの中には「専門用語を知っているから、それを口に出すことで知識のあるトレーナーだとアピールできる」と勘違いしている人がいますが、常にお客様の立場に立って分かりやすく話すことがジムトレーナーにとって必要な要素なのです。

 

洞察力の高い人

 洞察力の高い人はジムトレーナーに非常に向いています。洞察力が高いということは、先読みができるともいえます。お客様の変化にいち早く気付いて褒めてあげるということも、コミュニケーションを図るうえで重要です。

 

 例えば、会話のきっかけとして「トレーニングシューズを新しくされたんですね」とお客様に声をかけたとします。お客様からしてみれば「トレーニングの様子だけではなくシューズまで見ていてくれた」という反応になります。もちろんそういったことを言われたくない人もいますので、言われて嬉しいかどうかも洞察力が高ければ判断がつくはずです。

 

 また、集団指導の時などは指導中に誰かの様子がいつもと違うという変化に気付くことも重要です。集団で行っている場合、周囲の目が気になり自分から言い出せずに無理をしてしまうお客様も少なくありません。顔色が悪い、息が上がって苦しそう、などのように普段と様子が違うなら、体調面に問題があるかもしれないので無理をさせないようにしなければいけません。これがお客様の安全管理につながるのです。

 

 洞察力はお客様に対してだけではなく、施設全体に対しても言える事です。マシンの故障や異常を見逃せばケガを招くトラブルにもなりかねませんし、備品の不足でお客様に不愉快な思いをさせてしまうかもしれません。このようなことから、ジムトレーナーは洞察力が高い人材が求められます。

 

ジムトレーナーの志望動機の例文(異業種からの転職の場合)

 この傾聴力・説明力・洞察力を意識した志望動機の例を挙げてみます。異業種の家電量販店スタッフからジムトレーナーを希望する20代男性の事例です。

 

<例文>

 家電量販店で販売スタッフとして勤めており、主にパソコンを担当しています。小さな頃から運動が好きで、幼少期から空手の道場に通い、それと並行して中学・高校は柔道部に所属しておりました。今でも空手は続けており、また休日や遅番のシフトの日の早朝などは貴社が運営するスポーツジムに通い、トレーニングに励んでいます。昨年、膝を怪我した時に、自己流ではなく正しいトレーニングで筋力を回復させたいと思い、スポーツジムでパーソナルトレーニングをお願いしました。その際にジムトレーナーの方とより深く接し、その専門知識や接客に感銘を受け、自身もジムトレーナーを志したいと思うようになりました。解剖学や栄養学などにも興味があるため、日ごろから雑誌やインターネットで情報取集をしています。スポーツジムでの勤務経験はありませんが、学ぶ意欲は人一倍強いと自負しています。

 

 また、家電量販店での経験もジムトレーナーの実務に活かせることがあると思っています。家電量販店に来店されるお客様は様々ですので、まずはお話を聞いて、求めているものを察知し、それに合った情報や商品を提供することが大切になってきます。あまり商品に詳しくない方に対しては専門用語は使わず、なるべく簡単な言葉でかみ砕いて説明しますし、逆にお詳しい方には詳細な情報を提供し、よりハイスペックの商品をお勧めすることもあります。こちらの知識を開示することで、安心し、信頼して下さるお客様もいます。スポーツジムのお客様も同様で、目的はダイエットや体力作り、筋力強化など様々だと思います。そしてマシンの使い方ひとつ取っても、使い方自体が分からないのか、体のどの部分に力を入れればよいのかが分からないのか、より強度を上げるにはどの様な段階を踏み、どのマシンと併用するのが効果的か、など様々であるはずです。そのようにお客様の細かな要望を会話から引き出し、汲み取り、目的に合ったものを提供する力は身に付いていると思います。

 

 また、現職の店舗で展示しているサンプル機器に異常はないか、電源が切れていないか、パンフレットなどの備品は切れていないか、ゴミは落ちていないか、更には迷子の子はいないか、挙動に不信な点があるお客様はいないか、など、常に店舗の隅々にまで目を光らせることが自然と身に付いています。こちらもスポーツジムでのお客様やマシンの様子に変わった点はないかなど、観察し、異常に気付き、対応する力として活かせると思います。以上のことから、異なる業界からの転職ではありますが、貴社を志望させて頂きました。

 

 

  • お客様の言葉をしっかり聞き、そこから正しい情報を引き出す力を持つ傾聴力の高い人、誰にでも分かりやすく説明する力を持った人、お客様の変化や施設の異常にすぐ気付ける洞察力の高い人がジムトレーナーとして求められる。
  • 自身の経験と上記のスキルをリンクさせて、志望動機や自己PRに組み込み、ジムトレーナーに適した人材であることをアピールすると効果的。

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本記事は2018/03/22の情報で、内容はジムトレーナーとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。

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