やはり多いのは異文化と生徒への対応の悩み
日本語教師が働いていく上でもっとも悩むのが生徒への対応です。日本に留学に来たり働きに来たりする外国人はみなモチベーションが高く、熱心に勉強をすると思われがちですが、まったくそういうことはありません。日本人と同じように、真面目に勉強する人もいれば、さぼる人もいます。さらに、勤勉で礼儀正しいと言われている日本人の感覚からは理解ができない言動を取る生徒もいます。
こういった生徒が1人でもいると、クラスの他の人に迷惑がかかったり悪影響を与えたりするので対処しなくてはならないのですが、相手が外国人のため、対応が非常に難しくなります。日本では当たり前に行っていることの数々が、外国人にとっては難しいことだったり、習慣としてやらないことだったりするからです。ですから、ただ単に「やりなさい」と言っても伝わることはなく、相手の文化や習慣を理解した上で、トラブルなく日本での生活を送れるよう、指導していかなければなりません。
また、現在の世界情勢から、国同士での問題が発生する場合もあります。政治的な問題はクラス内では避けなくてはなりませんが、中にはこういった話題を出してくる生徒もいます。こういった人にどのように対応し、スムーズなクラス運営をしていくか、日本語教師は常に考えて仕事をしなければなりません。
- 文化や慣習の違いを踏まえた上での生徒対応は難しく、クラス運営に悩む人は多い。
将来に不安を感じる日本語教師
一般的な会社勤めをしていれば、完成された会社組織の中に属し、昇級があり、自分が進んでいく先が漠然とでも見えますが、「日本語教師」という一括りでくくられてしまう日本語教師は、自身の将来像が非常に見えにくいことがあります。
常勤講師として勤めている教師は、主任、副校長、校長、という明確なステップが示されている場合もありますが、フリーランスとして企業や国際機関を転々としている日本語教師は、いつまでたっても「一人の日本語教師」という扱いであるため、このまま働いていてどうなるのだろう、という不安や不満を感じがちです。
- 非常勤やフリーランスの場合、キャリアプランが見えず不安になる人もいる。
悩みや不安は新しい道を模索するチャンス
多くの日本語教師がクラス運営に悩んだり、将来に不安を抱えたりしています。しかし、これらは自分自身が日本語教師として成長していくチャンスだと捉え、前向きに取り組んでいくことが必要です。
日本語教師は横のつながりが非常に強い職種で、職場や地域を越えて、日本語教師同士でネットワークを持っています。クラス運営などの技術的なことに悩んだら、ベテラン教師に相談したり授業を見学に行ったりして、対策を考えます。将来に不安を抱えたり、現状に不満を持ったりしたら、大学院に入学して学位の取得を目指したり、海外のプロジェクトに参加して経験を積んだりすることもできます。
ただ悩みや不安を抱えているだけでなく、自分自身で動いて解決策を導き出していくことが、日本語教師という職種のみならず、働いていく上で必要なことです。
- 他の日本語教師と交流したり、大学院への入学や海外留学でスキルアップを図るなど、悩み解決のために自ら動くことが大事。
本記事は2015/05/22の情報で、内容は日本語教師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。