基本的に面倒見が良い人は向いている
「人にものを教える」という仕事の特性上、「困っている人を助けたい」という気持ちが根本にある人が日本語教師に向いています。日本語教師は、日本人なら無意識に習得している日本語を、まったく日本語を勉強したことがない人に教える仕事です。時には「どうしてわからないのかがわからない」といった事態に直面することもありますし、どんなに努力してもなかなか上達しない生徒に出会うこともありますが、根気強く相手に付き合っていかなければなりません。
また、観察力が鋭い人も日本語教師に向いています。良い日本語教師は、授業中も生徒の様子に目を配り、生徒がきちんと理解しているかを確認しながら授業を進めています。普段と様子が違う生徒にはそれとなく声をかけ、悩みごとがないか、体調が悪くないか等、気を配っています。外国人と日々関わり合う仕事ですから、「授業だけやっておけばよい」と姿勢では務まらず、細かい気配りができる人が向いていると言えます。
- 授業や語学の上達だけにとどまらず、あらゆる意味で面倒見がよく、気配りが出来る人がよい。
「優しすぎる」のは命取り
しかし、面倒見が良すぎて相手の言いなりになってしまったり、日本語教師の枠を超えて助けてあげたいと思ってしまう人は、逆に日本語教師には向いていません。金銭的に問題のある生徒の相談に乗るうちに同情してしまって保証人になってしまったり、生徒のプライベートに介入し過ぎてトラブルに巻き込まれたりするケースは、実際の現場でもよく起こっています。
身近な日本人である日本語教師にべったりと甘えて頼ってきてしまう生徒は少なからず存在します。しかし、日本語教師は、「日本語を教える」ということでしか、生徒のためにしてあげることはできません。中途半端に手を貸すことは、結果として生徒のためにもなりませんから、ある程度のところでうまく線引きをする冷静さがなければなりません。
- 感情移入しすぎず、あくまで日本語教師として冷静に対処できることも必要。
常に懐深く、謙虚であること
日本語教師は、日々異文化に接する仕事です。時には日本人の常識では到底理解できないこともありますが、それまで受けてきた教育や住んで来た場所が異なれば当然のことであり、どちらが優れていてどちらが劣っている、というものではありません。
異文化の問題が発生したときに、ただ「文化が違う」ということだけを受け止めることができなければ、日本語教師の仕事はできません。相手に対して「それはおかしな習慣だ」と言ってしまったり「世界の常識では…」と相手を正そうとする人は日本語教師には向いていません。また、自分の意見を曲げられない人や政治的な主張が強い人も向いていません。相手と自分との違いを受け止め、常に謙虚でいる姿勢を貫ける人が日本語教師を続けていける人です。
- 考えの違いを受け入れられず、自分の意見を通そうとするタイプの人は不向き。
本記事は2015/05/22の情報で、内容は日本語教師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。