大学での日本語教師の仕事
日本語教師が大学で働くには、教授や講師としてその大学の職員となる場合と、非常勤講師として日本語の授業のみを行う場合の2通りがあります。
大学の職員は日本語を教えるだけではなく、例えば大学の国際交流センター等で留学生の担当になったり、研究室を持って研究をしたり、日本人学生に日本語教育について指導したりすることもあります。非常勤講師は、授業があるときのみ、大学に行って授業を行います。大学の職員になるよりは非常勤の方が若干敷居が低く、なりやすいです。
大学に通う大学生は日本語の試験を受けて入学して来ています。しかし、大学の講義で自由に意見を言ったり論文やレポートを書いたりする能力まではありません。ですから、そういった外国人学生たちが日本語で支障なく大学生活を送れるように、より実践的で高等な日本語を教えていくことが、大学で働く日本語教師のもっとも大きな仕事です。
- 実践的で高度な日本語を外国人学生に教える。研究室を持つなど授業以外の業務をすることも。
敷居が高い国内の大学
大学は高等教育機関ですので、採用に当たり、日本語教師の学歴や質が大きく問われます。大学の職員になる場合は、大学院卒業以上(修士)の学歴が必要です。また、留学生を相手にすることから多くの大学で英語力が必要とされ、その他にも少なくとも3年以上の教授経験を求められます。そのため、未経験の日本語教師がいきなり大学の職員になれることはありません。
一方、非常勤講師にも、職員ほどの厳しい応募条件はありませんが、教授経験や学歴を求められる場合が多いです。大学で教えたいと思う場合は、それを目標としながら、まずはほかの日本語教育機関で働いて経験を積むことをお勧めします。
- 国内の大学は、学歴・経験ともに求められるレベルが高く、未経験者の転職は難しい。
狙い目は海外の大学
国内の大学の敷居が非常に高い一方、海外の大学はそれほどハードルが高くありません。特にアジア圏の大学であれば、未経験であっても大学に就職することが可能です。海外の大学では、主に日本語学科に籍を置き、日本語を専攻する学生に日本語を指導することになります。文法はその国の先生が行い、日本人の教師は会話を担当することが多いです。
日本語を専攻する学生は日本語に興味があるので、日本人の教師と話すことをとても楽しみにしています。「初めて話した日本人が日本語の先生だった」という学生も多く、日本語だけでなく、日本の文化や習慣、そして日本人の国民性そのものを伝えることも、海外の大学に勤務する日本語教師の大切な役割です。
- アジア圏の大学は比較的転職しやすい。日本語の会話の授業に加えて、文化や習慣も伝えていく。
本記事は2015/05/21の情報で、内容は日本語教師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。