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外資系企業への薬剤師転職事情
現在、国内における医療機関や調剤薬局、ドラッグストア、医薬品卸業者などにおいて、外資系企業や法人が経営しているところは極僅かです。実際に薬剤師の求人が出ている外資系企業と言えば、製薬会社や医療機器メーカー、CRO、食品メーカーなどに限定されます。
外資系企業の薬剤師求人は人気が高い求人先の一つと言えます。人気が集まる最大の理由は、完全実力主義であり実力が伴えば高収入を狙えることはもちろん、フレキシブルな働き方や充実した福利厚生、自由な社風など、内資系企業とは一味違った雰囲気があるためでしょう。一度、外資系企業に勤めて業務に慣れてくると、内資系には勤めたくないという人は多い傾向にあります。
外資系企業の求人情報は、薬剤師の通常の求人ではあまり見られないような高年収・待遇の場合が多々ありますので、その魅力に惹かれて外資系企業への転職を考える薬剤師も多く見られます。
しかしながら外資系企業の薬剤師は高年収の分、薬剤師としての知識や技術、経験をはじめ、英語力、コミニュケーション能力、その業界知識など、あらゆる能力・スキル・知識が求められます。
薬剤師を採用している外資系企業は?
では実際に薬剤師を採用している外資系企業にはどんな会社、職種があるのでしょうか。業態別に詳しく見ていきましょう。
外資系製薬会社の薬剤師募集
外資系製薬会社の薬剤師の採用職種は、MR(営業職、医薬情報担当者)やDI(医薬品情報管理、学術業務)、R&D(研究職)、メディカルコピーライター(マーケティング・プロモーション担当)などがあり、新卒採用も含めて求人数が多いのは、製薬会社の営業職として代表的なMRです。
では、外資系企業の製薬会社にはどんな企業があるのでしょうか。下記一覧でご紹介します。当サイトに寄せられた各製薬会社の勤務経験者による口コミへのリンクも入れておりますので、合わせてご参考ください。
ジョンソン・エンド・ジョンソン | アメリカに本社を置き、製薬・医療機器から家庭用品までヘルスケア製品全般を取り扱う外資系企業。世界60カ国にグループ企業があり、世界最大級とも言えるヘルスケアカンパニーの地位を確立している。 |
ファイザー | アメリカに本社を置き、世界の医薬品売上高で1位となったこともある、世界的に有名な外資系企業。国内外で得た臨床データを有効活用し、生活習慣病~抗がん剤まで幅広い領域の医薬品を取り扱っている。 ファイザーの勤務経験者による口コミ |
アストラゼネカ | イギリスに本社を置き、イギリスで大手化学会社ICIの医薬品部門であるゼネカと、北欧最大級の医薬品メーカーのアストラが合併した外資系製薬企業。オンコロジー、循環器、代謝・消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域と掲げている。 アストラゼネカの勤務経験者による口コミ |
グラクソ・スミスクライン | イギリスに本社を置く、世界有数とも言われる規模のグローバル製薬企業であり、世界各地に大規模な研究開発センターを置く。中枢神経、呼吸器、ワクチン領域の世界的なマーケットリーダーとも言われている。 グラクソ・スミスクラインの勤務経験者による口コミ |
ノバルティスファーマ | スイスに本社を置く世界的な製薬・バイオテクノロジー企業。「新薬で人々のいのちと健康に貢献する」を企業目的に掲げており、現状足りていない医療ニーズに応えようと、常に新薬開発にチャレンジしている。 |
実際に外資系企業の製薬会社のMR求人を「エンジャパン ミドル転職」で調査したところ、下記求人がヒットしました(掲載は終了しております)。
(エンジャパン ミドル転職 ※参考:外資系大手製薬会社求人結果)
年収は600万円~1099万円と高収入で、内資系と比べると競争率も高い外資系の製薬会社ではありますが、上記の様に大手転職エージェントで非公開求人として掲載されている場合も十分ありえますので、いくつか登録をして情報収集することが転職成功への近道となるでしょう。
外資系医療機器メーカーの薬剤師募集
そもそも医療機器メーカーと聞くと薬剤師との関わりは薄いと思われがちではありますが、実際に医薬品と医療機器は密なものですので、そういったところで医療機器メーカーで薬剤師の知識や能力が必要とされているケースもあります。
外資系の医療機器メーカーで薬剤師の採用職種には、品質管理職や学術職(DI)、管理薬剤師などが見られます。
では、外資系企業の医療機器メーカーにはどんな企業があるのでしょうか。下記一覧でご紹介します。一部、当サイトに寄せられた各医療機器メーカーの勤務経験者による口コミへのリンクも入れておりますので、合わせてご参考ください。
ジョンソン・エンド・ジョンソン | アメリカに本社を置き、製薬・医療機器などヘルスケア製品全般を扱っている、世界最大級の外資系企業。求人はMRよりも医療機器の営業が多く見られる。 |
フレゼニウス メディカル ケア ジャパン | ドイツに本社を置く、人工透析などの機器を中心とした医療機器の製造・販売を行う医療機器メーカー。 |
ボストン・サイエンティフィック ジャパン | アメリカに本社を置く、創立から30年以上の医療機器メーカー。心血管疾患領域や革新的な医療機器を提供している。 |
上記で紹介している「フレゼニウス メディカル ケア ジャパン」公式サイトの採用情報に、品質管理業務担当(薬剤師)の求人が出ていました。
(フレゼニウス メディカル ケア ジャパン ※参考:採用情報)
このように、企業によっては公式サイトに採用情報を掲載している場合もあるので、気になる外資系企業の公式サイトをチェックすることも大切です。
参考外資系医療機器メーカーへの転職、英語面接対策は?
外資系医療機器メーカーへの転職を希望しています。先日、ある会社の面接を受けましたが、残念ながら不採用でした。英語で面接があったのですが、上手く自分の考えを伝えられなかったと思います。現在国内の...
外資系CROの薬剤師募集
製薬会社から、医薬品開発の治験業務を受託する外部機関の企業であるCRO会社(臨床開発モニター)。CRO業界でも外資系企業が参入しており、薬剤師が求められています。
外資系企業のCRO会社にはどんな企業があるのでしょうか。下記一覧でご紹介します。
IQVIAサービシーズ ジャパン(旧クインタイルズ) | 世界100カ国に事業展開し、世界NO1グローバルCROとも呼ばれる外資系のCRO会社。世界のヘルスケアに貢献している。 |
アイコン・ジャパン | CRO業界で世界TOP10、世界38ヶ国に拠点を持つCRO会社。グローバル規模の臨床試験、開発プロジェクトなどに携わることができ、幅広い業務に携われる。 |
薬剤師が外資系企業に転職するメリット・デメリット
薬剤師に関わらず、内資系企業と外資系企業の決定的な違いは、個人の業績によって給与だけでなく、雇用の継続の是非まで決定されるということです。
多くの内資系企業が年功序列を採用しているのに対し、外資系は実力が伴わなければリストラも頻繁に行われます。つまり、外資系企業に就職するということは、将来が約束されていないということです。
言い換えれば、正社員としてではなく不定期雇用の契約社員として働くという解釈が必要かもしれません。ただし、リストラにあったとしても薬剤師の国家資格を持っている限りは、就職・転職先はある程度あるとあると思いますので、心配し過ぎる必要は無いでしょう。
外資系企業の不安定さと引き換えになるものは何でしょうか。それは、やはり給与体系です。
製薬企業のMR職に代表される営業職に特に言えることですが、外資系製薬企業であれば、業績を伴えば30代でも年収1000~1500万円を狙えると言われています。その他の研究職や開発職、学術やマーケティング等の薬剤師においても、実力が伴っていれば高年収を目指すことができます。
参考外資系製薬会社の離職率を心配する薬剤師の質問と回答
なんとなくラクそう、という理由で調剤薬局を就職先に選び、3年ほど勤めています。薬剤師です。でも仕事と給料にもの足りなさを感じ、出入りしているMRの仕事に憧れ、MRへの転職を考えるようになりました。...
参考転職を考える外資系製薬会社MRの質問と回答
現在外資系製薬メーカーに勤めているMRですが、辞めたいと思っています。MRの仕事自体が嫌なわけではないですが、MR含め、転職を考えています。同じように外資系製薬会社に勤めていて転職された方、ど...
外資系企業に勤務する薬剤師の場合、研究職や開発職、学術部などにおいて上司が外国人であることはよくある話です。例えば、MRなどの営業職において、そのほとんどは日本人が占めていますが、日本法人の営業部長は外国人である場合が多いです。これが意味することは、上司とのコミュニケーションだけでなく、海外法人職員とのメールのやり取りや会議、文書の作成などにおいてビジネス英語を使いこなせないと外資系の薬剤師として働くことは難しいということです。
また、外資系企業で勤務する薬剤師は、ビジネス英語だけでなく医学・薬学の専門用語も英語で表現する必要があり、非常に高いレベルが求められます。最近ではTOEICの点数で700~800点のレベルを求めるような内資系企業も登場してきましたが、外資系では以前から当たり前の風潮です。逆に言えば、薬剤師の資格を持っており、英語力に自信がある人は外資系企業への転職を考えるのは理に適っているでしょう。
参考治験コーディネーターは英語を使う仕事?
英語を使う仕事に興味を持っている薬剤師です。現在は調剤薬局勤務ですが治験コーディネーターは英語を使うと聞きました。もしそうなら転職を希望しています。アドバイスお願いします!...
薬剤師が外資系企業への転職を成功させる方法
薬剤師の採用募集をしている外資系企業はあるものの、やはり求人は少ない傾向にありますし、競争率も当然上がってきます。薬剤師同士の転職競争の中、自身の理想の職場へ転職するにはどうすればいいかというと、転職エージェントの利用が最も効率的と言えるでしょう。転職エージェントは、職種不問の総合型エージェントもありますが、薬剤師の場合は薬剤師専門エージェントに登録しましょう。
やはり、転職エージェントに薬剤師としての自分の経験や知識が生かせる外資系企業の求人情報を紹介してもらいながら、転職活動を進める方法が効率的です。また、外資系企業は非公開求人も多い傾向にあります。転職エージェントでは、条件がマッチするなどした場合にそんな外資系企業の非公開求人を紹介してもらえることもあります。さらに、条件交渉などでの転職活動の負担軽減や、面接の合格率向上にもつながって行きます。
まずは、人気の転職エージェント(登録無料) で気軽に情報収集をはじめてみませんか。
本記事は2018/06/12の情報で、内容は薬剤師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。