自衛隊の薬剤師の求人はあるのか?
防衛省では毎年若干名、薬剤官(薬剤幹部)の候補生として薬剤師を募集しています。自衛隊は組織上、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の3つに分かれるため、最初に配属する隊を振り分けられたのち各々の幹部養成学校で約8~10カ月の基礎的な教育と訓練を受けます。養成学校を修了すると、自衛隊病院で薬剤業務の実務実習を受け、その後部隊に配属されて幹部候補生として部下の養成や指揮官としての業務を習得します。部隊に配属されている間も薬剤官としての業務を並行して行います。
これらの養成課程を修了した後は、自衛隊病院における勤務が中心となります。薬剤官の候補生には年齢制限があり、薬剤師の場合は28歳未満でないと受験できません。自衛隊への転職を考えているなら、浪人や留年が無い場合、薬学科を卒業した24歳からの4回しか受験ができないことになります。また身体検査があり、体格や肺活量、視力・聴力などに異常がない人が前提です。就職試験には専門科目だけでなく、自衛官の教養として最低限必要な大卒程度の一般教養の科目もあります。
薬剤官はただの薬剤師ではなく、自衛隊の自衛官として振る舞いつつ、薬剤師の業務もできる人と解釈するのが良いかもしれません。薬剤官に向いている人材は、様々な場面でリーダーシップを発揮することができ、自衛官としての訓練をこなせるだけの体力と精神力がある人です。
- 薬剤師で自衛隊(薬剤官)で仕事をするには年齢制限があり28歳未満が条件。
自衛隊の薬剤師の業務内容
自衛隊病院は陸海空自衛隊の主な駐屯地にあり、自衛官の健康管理を行ったり、自衛官が病気にかかった時や訓練中に怪我をした時などの治療を行うためにあります。薬剤官の主な業務は、自衛隊病院の薬剤科で外来や入院の調剤や医薬品等の供給・管理などを行います。医薬品だけでなく、衛生材料や検査試薬などの管理まで行います。
薬剤官は自衛隊内では自衛官としての振る舞いが必要とされます。訓練期間には自衛官として訓練に加わり指揮します。災害や戦争などの有事の際には部隊の自衛官の健康管理のために国内の被災地や海外に派遣され、隊員の健康管理や医薬品・衛生材料の管理を行うこともあります。病院薬剤師の業務と重複している部分が多いため、既卒の方の転職例では、病院の勤務歴があればアピールポイントになるようです。
- 薬剤官としての仕事は薬剤師としての心構えと自衛官としての心構えの両方が必要。
自衛隊の薬剤師の給与・待遇
薬剤官においては、幹部候補生の訓練を終えると階級は2等(陸・海・空)尉となります。薬剤官は国家公務員である自衛官の中でも幹部扱いとなるため、給与面では比較的優遇されています。転職した場合の年収相場としては、400~800万円といったところです。待遇面では、平時においては週休2日制で残業もほとんどありません。ただし、有事の際や訓練期間中はこの通りではありません。自衛官の健康管理を通じて日本を守るという気持ちの強くないと、この仕事は務まらないでしょう。
- 薬剤官は国家公務員。給与は比較的高く残業は少ない。
本記事は2015/04/23の情報で、内容は薬剤師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。