外資系航空会社で求められる英語力
機内で必要な英語は、お客様との会話だけではありません。乗務員同士の意思疎通ができないと、保安要員である客室乗務員の仕事もまっとうできません。応募条件としてTOEICで720点程度というところがありますが、TOEICはリスニングと筆記だけですので、実際にの英語面接で発音が悪いということがあれば、合格は困難です。
海外ベースでの生活ができることを含めての採用ですので、自分の住まいを確保するために不動産会社と交渉する、書類を作る、役所に届出に行くという基本的なことが自分でできるだけの言語能力を求められます。また中華系の航空会社では、中国語ができると申告した場合、中国語の面接があります。その他、会話程度の第二外国語ができると申告した応募者には、英語面接時に、その言語による質疑応答があります。
- お客様対応だけでなく、乗務員同士で意思疎通が図れる、海外に住む準備が問題なくできるレベルの英語力が必要。
日系航空会社で求められる英語力
日系航空会社の客室乗務員は、最近まで国際線専用と国内線専用で応募枠を分けていました。つまり、英語アレルギーがあり海外に行かなくてもいいと考える人は一生国内線の乗務員でいられたのです。しかし、年齢を重ねた人が国内線を希望することが多く、お客様から乗務員の若返りをリクエストされてきました。そこで、国内線で雇い、数年経ってから国際線に移ってもらうという流れになりました。
国際線の客室乗務員になっても人のアサイン状況によっては国内線を飛ぶこともあります。また、ライフスタイルを家庭中心にしたい場合は、国内線専用の客室乗務員に戻る人もいます。しかし、これらの状況に伴い、採用された人は全員国際線デビューが前提となります。入社時にはTOEIC600点(独立系航空会社ではTOEIC500点のところもあります)が条件となります。入ってからもTOEIC試験がノルマとなります。
機内での必要な会話は訓練所で習いますので、ルーティンで必要な飲み物、食事、入国書類、免税品関連程度の英語は暗記で対応できますが、お客様が望んでいるレベルの知的な会話を提供したい場合には、英語力の更なるブラッシュアップが必要です。キャリアアップしたいならば、英語を常に学び続けなければいけません。
- 入社後数年で国際線に移ることが前提なので、TOEIC600点程度は必要。キャリアアップを望むなら常に英語力を磨かなければならない。
LCCで求められる英語力
TOEIC600点を条件にするLCCが出てきましたが、LCCは徹底的なコスト削減が命題なので、英語ができても時給は安いままです。それに耐えらえるならば、LCCに挑戦するのも良いでしょう。一部の外資系LCCではユニークな採用試験を実施しており、その際は英語を駆使することが求められます。グループワークと称して様々なチームビルディング研修にチャレンジするというものです。
英語力はクレーム処理で使います。LCCは普通の航空会社と違うことが次々と出てきますので、お客様に納得していただく、あるいは諦めていただくための説明力が必要となります。
LCCの1回の募集でも、何千人という応募者がいます。結果的に英語が話せない人でも採用されています。なお、採用された後、英語ができてなおかつ高年収の上司がいたとしたら、その人は親会社からの出向社員という場合もあります。
- 英語が堪能でも給与には反映されないので、覚悟が必要。クレームが発生した時にお客様に説明できる英語力があると役立つ。
本記事は2015/11/18の情報で、内容は客室乗務員(CA)としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。