建築士と設計士の違い

職業:建築士

32435views

 

 「建築士」と「設計士」は、両者とも設計業務に従事する仕事で、言葉として同じ意味に思う人もいますが、明確な違いがある言葉です。この記事では、「建築士と設計士の違い」について詳しくご紹介していきます。

 

 

 

「建築士」と「設計士」の違いまとめ

建築士は国家資格、設計士とは資格を持たずに設計を行う人
建築士法では、100㎡の未満の木造住宅は建築士資格なしでも設計できる
建築士のほうが設計士よりも年収が高い傾向
 
 

「建築士」とは?

 

 建築士は、国で定められた国家資格です。建築士の資格には「一級建築士」、「二級建築士」、「木造建築士」と3つあり、持っている資格によって設計業務や工事監理ができる建築物に違いがあります。

 

  建築をするには建築士法という法律が存在し、建築士が設計業務や工事監理、行政手続きの代理、鑑定評価、指導監督などを行なうことを規定しています。つまり、これらの業務内容は建築士でないとできない業務であり、無免許でこれら建築士の業務を行なうと違反となってしまいます。そういったことから建築士は、資格を取得した人が就くことができる職種なのです。

 

 建築士の職場には「建設会社」をはじめ、「設計事務所」「住宅メーカー」「工務店」等があります。さらに、独立開業してフリーランスや会社を立ち上げて活躍をする建築士もいます。建築士の主な仕事は、設計図書の作成や設計に纏わる細かな確認、現場スタッフに指示を出すことです。設計には、「意匠設計」「構造設計」「設備設計」等があり、建築物の規模が大きいほど数人の建築士で分業となります。

 

 また、建築士の知識を生かして現場で仕事をする「現場監督」として働く建築士も多く存在しています(この場合は設計をしないことがほとんどです)。現場監督の建築士は、「主任技術者」や「監理技術者」になることができます。

 

参考建築士の仕事内容について詳しくはこちらもチェック

建築士の仕事内容

建築士の一般的な仕事内容について 建築士は、住宅やマンション・ビルなどの設計や工事監理を行う仕事です。多くの建築士は建設会社や設計事務所、住宅メーカー、工務店などに勤めています...

参考建築士の職場について詳しくはこちらもチェック

建築士の採用先の分類

建築士を必要としている職場について設計事務所 設計事務所の多くは、設計や工事監理を業務としているため、ここでは最も建築士らしい仕事ができると...

 

「設計士」とは?

 

 設計士とは、建築士資格がなく規定内の設計や設計補助を行なう人のことを言います建築士の資格を持たない設計士は、「設計・監理」の業務はもちろん、基本的に「決定をする」ことができません。ですが建築士法では、100㎡の未満の木造住宅であるなら、建築士でなくても設計することが可能との記載がありますし、建築士をサポートする「設計補助」という形であれば、建築士の資格が無くても設計に携わることができるのです。

 

 そういったことから、設計士は建築士と同じ業務は行えませんが、前述したような業務は行うことが可能です。設計士の職場には、建築士と同様に「建設会社」「設計事務所」「住宅メーカー」「工務店」などが挙げられます。中には、建築業界の「建築士資格不問」の職場でキャリアアップを積みながら、建築士の資格を取得する人もいます。

 

 

参考建築士の資格を持たない設計士の質問と回答についてもチェック

建築士資格がないと女性は転職時に不利?

設計事務所で働いている女性ですが、みなさんに尋ねたいことがあります。働き始めてまだ3年目ですが私の職場は他に女性がいなくて、男性社会の縮図のような場所なので人間関係に疲れてしまいました。悪い人たちでは...

 

「建築士」と「設計士」の年収の違い

 前述したように建築士は、国家資格を持ち建築士法によって決められた業務をこなうことができます。そういったことから、建築士の年収額は設計士より高い傾向にあり、安定した収入が見込めるでしょう。

 

 ただ、建築士でも「一級建築士」、「二級建築士」、「木造建築士」と、持っている資格によって難易度や知識は異なり、年収額は変わってきます。当然、建築士の中でもっとも難易度の高い「一級建築士」は、この中で一番の高年収となります。

 

 厚生労働省の平成29年度の「賃金構造基本統計調査」によると、一級建築士の平均年収額は640万円程とのデータがあります。経験年数でも変わってきますが、「二級建築士」や「木造建築士」の場合には、この年収額よりも下回る傾向にあるでしょう。

 

 参考に、当サイトの「建築士のリアルな給与明細調査」に掲載がある建築士の給与明細を紹介します。

 

  上記は、一級建築士の資格を持つ、40代前半男性の給料明細です。建築事務所に18年ほど勤務しており、生産管理支援業務を行っていて、年収は1000万円近くと高収入を得ています。

 

  上記は、一級建築士の資格を持つ、20代後半男性の給料明細です。既存建築の耐久設計業務を5年ほど行っており、年収は500万円近く得ています。

 

 上記は、二級建築士の資格を持つ、20代後半女性の給料明細です。2年ほど建築事務所に勤務しており、年収は350万円程です。

 

 このように建築士の給与明細を見ていくと、取得している建築士の資格や経験年収、業務内容などで年収が変動することがわかります。

 

参考建築士は転職で年収アップが見込めるかどうかの質問と回答

建築士は転職で収入が上がるの?

建築士です。転職をしたいのですが今よりも転職後の収入が減ってしまうのではないかと心配です。 転職した後に収入が減った人はいますか? なるべくなら収入が減らない方がよいと考えています。 この場合、建築士...

 

 

 一方で、設計士の年収は一般的には建築士よりも下がる傾向にあります。国家資格を持たない設計士は、小さな物件や設計補助など、業務範囲が建築士よりも狭くなってしまうため、年収も低くなってしまうという訳です。

 

 ですが、経験や役職、業務内容によっては建築士の資格がない設計士でも、建築士以上の年収を得ているケースも少なからずあります

 

 このように、建築士と設計士の年収においては、難易度の高い一級建築士が比較的高年収となり、明確な差が出る傾向があります。ですが、無資格の設計士の場合でも、実力や勤務先、業務内容によっては高年収を得る可能性はあります。

 

参考建築士の年収相場について詳しくはこちらもチェック

建築士の年収相場

建築士の平均年収は600万円ほど 建築士の平均年収は600万円程とされています。これは専門職としての特徴が表れているもので、月収では40万円ぐらいとなり、一般的には高めの部類に...

転職サイトランキング【最新版】

  1. 転職最大手の「リクルート」は求人件数の多さはもちろん、カバーする業種・職種の幅も業界トップ級で常に人気が高い!

  2. 転職業界大手の「マイナビ」!スキルや年収を適正に評価し、年収を最大限アップできるように担当者が徹底サポート!

  3. 年収アップに自信あり!利用者の7割以上が年収アップ!リクルートエージェントやマイナビエージェントと併用する人も多い!

本記事は2018/05/07の情報で、内容は建築士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。

ページ上部へ移動する