建築士に人気のビル管理業務について
建築物の専門家である建築士ですが、法に定める業務だけではなく、現場監督や管理、検査などの仕事を行なう人も多くなっています。建築士資格ができてから日本ではインフラ整備が長らく行われてきましたが、今ではインフラ系の建設が一旦落ち着いたことから、全体としては管理やメンテナンス、補修といった業務が増えています。
そのため、管理を主とする会社に勤める建築士も増加傾向にあります。また、マンションやビルの管理を行なう企業も多く、これらの会社では、消防やエレベーター、入居管理、建物設備管理の業務に従事する建築士が目立っています。
一級建築士や二級建築士の資格があれば、エレベーターやエスカレーター、消防設備の定期点検、ビル内にある設備の点検や検査ができる資格を持つこともできるので、業界からは重宝されています。たとえば、一級建築士や二級建築士の資格を持つ人は、法で定めた点検や検査、調査などを行なう昇降機検査資格者、建築設備検査資格者、特殊建築物等調査資格者、消防設備点検資格者といった資格同様の業務ができたり、講習によって、これらの資格を容易に得ることができます。
専門家を必要としているビル管理業界
現在日本では、老朽化が進んだビルやマンションが増えており、それに伴いビル管理業者も増えています。これらのビル管理業者では、法定検査に必要な資格を持つ資格者を求めるところが多くなっています。また、定期点検のほかにも劣化診断などの建物調査などを行なうスタッフも必要としているケースが多いです。
そのようなことから、昇降機や建築設備、消防設備などの点検が行える建築士、建物の診断調査ができる建築士の需要が高まっています。建物において安心ができ、安全な利用や経営ができるために、劣化、耐震診断、メンテナンスができる建築士が求められていると言ってよいでしょう。ビル管理では、これらの専門知識を持つ人材を求めるところが多くなったことから、建築士の転職先の選択肢の一つとなっています。
また、ビル管理は色々な資格が必要な職種と言えます。たとえば、ボイラーや電気工事士、電験、エネルギー管理士などがありますが、建築士もその一つです。ビル管理への転職においては、さらに建築物環境衛生管理技術者、建築設備検査資格者などもあると良いとされています。この2つについては、建築士があると資格取得が容易なので、ビル管理業務への転職においては建築士資格を保有していると有利になるでしょう。
本記事は2015/10/28の情報で、内容は建築士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。