ニーズが高まる品質管理の仕事
設計や建築確認を終えると実際に建築物を建設することになりますが、建設中は工事監理を行なう必要があります。工事監理は、建築物を設計した設計事務所が行うケースが多いですが、中には設計だけしか行わない設計事務所もあることから、工事監理だけを行なう設計事務所も存在します。
建築士が工事監理できる建築物は、建築士が設計できる規模に準じるので、工事監理は建築物の規模に応じて、一級建築士、二級建築士、木造建築士の資格者が行えるようになります。100㎡以上の木造建築、30㎡以上の鉄骨造や鉄筋コンクリート造の工事監理においては建築士資格が必要となります。そのことから、木造住宅を作る工務店や住宅メーカー、マンションやビルなどを作るゼネコンの現場では、建築士による工事監理が行なわれることになります。
このように日本では、ほぼ全ての建築物の建設において品質管理を行なう工事監理の必要があるため、あらゆる現場において建物に対応することができる建築士を求めるようになっています。大手の設計事務所になると、工事監理を専門で行なう部署もあり、工事監理を担当する建築士が多くいます。また、官公庁が発注する公共事業の設計業務では、設計と工事監理を分けて発注することも多くあることから、工事監理だけを行なう設計事務所も多くあることが特徴です。
工事監理業に転職する人も増えている
工事監理は建築士法で定める業務の一つであることから、工事監理を必要とする企業や設計事務所などにおいては建築士を求める会社が多くなっており、一級建築士、二級建築士、木造建築士の資格を持つ人の中には、工事監理を希望するという人も増えてきています。
たとえば、住宅などをつくる工務店や住宅メーカーでは、あまり設計と工事監理の分業が見られず、自社や関係会社で行なうケースが多いようです。これに対して、大規模な建築物の設計では分業化している場合が多いです。大規模な建築物の工事監理の場合は、現場に行って仕事を行なうことになり、さらに大きな現場である場合は、現場に管理事務所を設置するといったこともあります。
このように、今では工事監理は建築士の仕事の一種とされるようになり、工事監理業に転職を希望する建築士も多くなってきています。
本記事は2015/10/28の情報で、内容は建築士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。