法改正によって建築士のニーズが高まっている
家やマンション、街中に建ち並ぶすべての建物は、建築士が設計したものです。また、建築士は、これらの建物を建てるために「工事監理を行なう建築士」や「現場監督を行なう建築士」がいます。このように建築士は、建設業界において色々な業務や職務に就いて仕事をしています。そして、これらの多くの職場では建築士を求めるようになっています。
建築士が最も活躍する職場として設計事務所があります。設計事務所では、最近の建築士法の改正によって建築士の必要性が高まってきています。設計を行なう場合、建物の規模によって設計する建築士が厳格化されたことにより、設計する建物の規模の違いによって、一級建築士、二級建築士、木造建築士の資格を持つことが義務付けられるようになりました。また、この法改正では、設備設計や構造設計を行なうときにおいて、設備設計一級建築士、構造設計一級建築士の資格が必要とされるようになったのです。
建設会社や専門業者などでは、現場の責任者となる資格者が求められるようになっています。そのことから、特定の業種の監理技術者となる一級建築士や主任技術者になることができる二級建築士が必要とされています。このように、技術の向上や専門性を求めるようになった建築業界では、多くの場所で建築士を必要とするようになっているという傾向が見られます。
建築士は再び活躍するようになっている
建築士は戦後、昭和25年に制定された資格です。当時は戦後復興を目的に整備された資格として作られました。その後、高度成長期には最もニーズが高くなり、多くの建築士が活躍してきたのです。しかし、バブル崩壊による景気低迷、公共事業や設備投資が減るようになってからは、建築士の活躍の場が少なくなったようですが、それでも、建築士は技術大国日本を支えてきた職種です。
日本はインフラ整備がほとんど終わり、最近は、あらゆるところで建物の老朽が目立つようになっています。建て替えやメンテナンスが多くなり、再び建築士の活躍の場が増えてきました。たとえば、建物のメンテナンスや補修、建て替えに伴った診断や調査などの仕事が多くなり、これらの業種に就く人が見られます。また、建て替えでは、再び建築士の活躍が期待され、今後は、環境や福祉に配慮した建物づくりができる建築士が求められています。
近年、建築業界では住宅メーカーなどの活躍が目立っています。そのようなことから、従来とは違った建築士へのニーズが高まっているようです。このように、新たに開拓された職種において広く活躍する建築士が求められています。これに合わせて、今後、転職を希望する建築士が増える傾向があります。
変わってきた建築士の働き方と職場
今まで建築士の多くは、設計事務所や建設会社で働く人が多かったといってよいでしょう。建設業界で働く建築士は、設計や工事監理、現場監督として活躍してきた人がほとんどです。建築士の仕事は建設業界に勤める技術者といったイメージが強かったのです。しかしながら近年、住宅産業が成長し、メンテナンスやリフォーム、不動産のニーズが高まるようになってきています。このため、建築士の中でもこれらの業界で働く人が増えています。
このように従来、建築士の仕事とされてきた設計や工事監理、現場監督といった仕事以外に、営業や販売、調査といった職種に携わる建築士が増えてきたと言われています。建築士の仕事は、時代のニーズに合わせて職種が多様化する傾向が見られるようになっています。このように、今後、建築士の転職においては選択肢が広がるようになったと考えてよいでしょう。
本記事は2015/10/16の情報で、内容は建築士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。