秘書の種類で求人事情は異なる
議員秘書には2種類あります。1つは法律で設置が認められ、国から給与が支払われる公設秘書。もう1つは議員個人の裁量で設置される私設秘書です。この2つは立場や給与等待遇面で違いがあるため、求人事情についても違いがあります。
公設秘書の求人事情
公設秘書は国会議員の定数によって数が決まります。つまり、雇用される最大数が決まっているということです。衆議院議員は2015年現在定数が475名、参議院議員は242名ですので、国会議員の総数は717名です。公設秘書は、議員1人につき政策担当秘書1名、公設第一秘書1名、公設第二秘書1名を置くことができますので、それぞれの秘書が最大717名雇用されることになります。「公設秘書」という括りであれば、最大2151名ということになります。
今後は日本の人口減等により国会議員の数も少しずつ減らされることが予想されるため、公設秘書についても、採用人数が拡大されない限り、今後数十年で現在の最大数を超えることはありません。
また、求人情報について、公設秘書の求人を普段目にすることはあまりありません。一般企業のように求人情報誌やハローワークで募集することもほとんどなく、支援者等を通じた縁故採用や、選挙の時にボランティア等で熱心に応援してくれた人に声をかけるパターンが一般的です。個人のホームページ等で求人する議員も稀にいますが、公設秘書は待遇も良く議員との信頼関係も非常に重要になりますので、公設秘書の求人の話が出るのは珍しいことです。
しかし、選挙の直後は公設秘書の求人情報が出る可能性が高くなります。特に、衆議院の選挙において新人が多く当選した場合には、さらにその可能性が高くなります。過去の選挙では新人が大量当選したために、一時公設秘書の数が不足する状態になったことがあります。ただ、その時の教訓から議員秘書経験者を新人議員に紹介する事業も存在しています。それでも、フレッシュな人材に期待する議員もいます。経験者だけしかなれないものでは決してありません。
- 公設秘書の募集を見かけることは稀で、多くが縁故採用や選挙時のボランティアに声をかけて人材を探す。ただし選挙直後は公設秘書が必要になる可能性が高まる。
私設秘書の求人事情
私設秘書は議員個人の裁量で雇用されるもので設置人数に制限もありません。ですので、議員が必要だと思えば、議員個人で可能な限り私設秘書を採用することができます。ただ、私設秘書の場合も、公設秘書と同様、一般求人情報誌やハローワーク等で求人を行うことはまずありません。私設秘書は議員の地元の選挙区内の事務所で勤務することがほとんどのため、地元の支援者等からの紹介や選挙時のボランティアを通じて議員と知り合い、採用に至るケースが多くあります。
ただし、求人情報も出ず、縁故での採用が多いからといって、それ以外の人に可能性がないわけではありません。地元に住んでいながら議員の周りのしがらみとは無関係で人柄も良く、さらに今後新たな支援者獲得にも力になってくれそうな人材であれば、議員にとって欲しい人材であることは間違いありません。
また、公設秘書に比べると恵まれた待遇ではないこと、その他様々な理由により、それまで働いていた私設秘書が退職し、新たな私設秘書が必要となることはよくあります。また、選挙後、その選挙を区切りに公設秘書が辞め、それに代わって私設秘書の1人が公設秘書になるため、新たに私設秘書を1人採用する必要が生じた、ということもあります。
選挙直後は政治の世界では最も人材の入れ替わりが多くなる時期ですので、それを頭に入れておく必要があります。また、衆議院は解散があるのでいつ選挙が行われるか分かりませんが、参議院は解散がないため、選挙の時期はあらかじめ決められています。これも把握しておくことです。
- 私設秘書も基本的には縁故採用が多いが、私設秘書の退職、あるいは選挙後に辞めた公設秘書のポジションに現在の私設秘書が就くなどの理由で欠員が生じることはある。
議員事務所に直接問い合わせる
議員秘書の求人が表に出ることはほとんどありませんが、これらを知っておくことで求人の出やすいタイミングを計ることができます。またもちろん、議員の事務所に秘書の求人について直接聞いてみることもできます。ただしその場合、例え結果的に面接等に至らなくても、自分をきちんとアピールする準備をして、失礼のないように尋ねることです。きちんと礼儀正しく真剣に尋ねれば、事務所からも真摯に答えてもらえます。
本記事は2015/10/06の情報で、内容は議員秘書としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。