音響スタッフに求められるスキルや知識
音響スタッフの現場ではどのようなスキルや知識が求められていて、どのようなことを転職の時にアピールできるのかを解説します。
- 音響機器を操作する能力
レコーディング・スタジオやPAではほぼこの能力が評価に直結するといっても過言ではありません。いい音作りをするために、また、演奏者が快適に演奏をするために、音響機器の操作を求められるのが音響スタッフです。各マイク毎の性質を理解し、それをどの楽器に割り振っていくか、音作りはどうするのか、エフェクトはどのようにかけるのかなど、その内容は多岐にわたり、高度な技術を必要とされます。
この高度な技術は仕事の依頼をされる場数や経験に大きく左右されます。ケーブルの8の字巻きから始め、場数を踏んでいくことで身に付いていきます。また、音響に関するフォーラムも多く開催されているので、そちらも行ってみるのも良いです。
- いい音楽を作るための耳
いい音を作るために、音という目に見えないものを操作しなくてはならないのが音響スタッフの仕事です。様々な音源(CD、LP、Youtubeなど)を幅広く聞いておくことは、いい耳を育てるための肥やしになりますし、音作りをする際に演奏家とイメージをやり取りする時の尺度にもなります。転職の際は今まで聞いてきた音楽の数も有利に働くことになります。
- 演奏家やクライアントとのコミニュケーション能力
音響スタッフとて社会人ですから、他者とのやり取りができなければ収入は入ってきません。社会人としてのコミュニケーション能力は必須となります。下ばかり向いていて仏頂面で音作りをしている人がいたとして、かなりのいい音を出していたとしても、なかなか音響スタッフとして生活はできないでしょう。
そして、矛盾するようですが、仮に世界でも有数の名版をつくることができるエンジニアがいるとして、その人が仏頂面で下を向いて仕事をしていたとしても、その人にはしっかり仕事が入ってきます。音響エンジニアの業界では、このような一般社会にはないこともあります。これは、音楽や芸術の業界に広く共通していることになります。
また、英語や多国語を話せる事も強みになります。海外との仕事のやりとりや、機材の取扱説明書、Protoolsの操作などの面で非常に頼りにされます。
- 電気に精通していること
音響とは何かということを考えていくと、電気によって音響は成り立っています。電気に関する知識や考え方は音響スタッフとして働く上で必要になってきます。転職をする際、電気工事士などの資格を持っていたり、電気関係の仕事をしていると有利に働くことになります。電子基板の仕事の経験があると、古い機材の修理ができたりして重宝されます。
- コンピューターを操作する能力
現在、音響機器の作業環境がアナログからデジタルに大きく移行されており、ほぼその移行が終了に向かっているといえます。WindowsやMacどちらかの基本的な操作はもとより、DAWの操作能力も求められます。MIDIの構築や音声入力・出力の構築をするため、コンピューターの根幹的な理屈を知っていることも有利になります。コンピューターだけで楽曲の制作が完結する今の世の中ですから、コンピューターの専門家が音楽を製作しているというケースもあります。
- チラシやチケットの制作、販売能力
文化ホールやライブハウスでは、チケットを販売、経理を行ったり、チラシをデザインし、その配布ルートを持っていると有利になります。転職の際は経理能力、デザイン能力、営業能力はアピールできます。
- 音響機器を操作する高度な技術、電機関連やコンピューターの知識が必要になる。良い音楽を作るための「耳」を育てるべく、沢山の音源を聴いておくことも重要。
本記事は2017/11/19の情報で、内容は音響スタッフとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。