勤務形態別にみる司法書士の年収相場
個々にはさまざまですが、一般的な内容について説明していきます。
- 独立開業の場合
独立開業をしている司法書士であっても、成功しなければ高収入は得られませんが、成功とまでは行かなくとも、事務所・法人を軌道に乗せて経営している司法書士の多くは、生活に不自由を感じることがない年収を得ています。
ただ、独立開業をしてもほとんど顧客を得られていない司法書士もいます。そういう司法書士は、生活費をアルバイトで賄い、月々の司法書士会費の支払いも負担に感じるという状態です。
- 勤務司法書士の場合
他方、勤務司法書士については、高収入を得られるということはあまりありません。一般の会社員と同等の年収か、それ以下です。理由としては、現実に独立開業をしてやっていくのは容易なことではありませんが、現在も司法書士は実務経験を積んで独立開業するものという意識が多くあり、採用する側は、司法書士を雇っても、定年になるまで働くことはないだろうと考えているためです。
また、司法書士を複数人必要とする事務所・法人もありますが、小規模の事務所は司法書士は一人で十分ですし、高い給料を支払うことはできません。ですから、補助者(司法書士の監督下で事務処理等をする職員)の募集しかせず、登録をしていない有資格者を補助者として雇う場合にも無資格者との給与に大きく差をつけることはないためです。
例えば30代後半で一般企業に勤務しながら司法書士の資格を取り、初めて司法書士事務所に転職するというような場合、年齢、家族構成、前職の給料などは考慮されず、給料は月20万円というようなことはよくあることです。
- 勤務司法書士で高年収が得られるケース
ただし、大規模な司法書士法人などでは、一般企業に準ずる給与体系を定め、さらに資格相応の手当を出すというところもあります。しかし、そういうところで転職直後から高い給与を得ることができる司法書士は、当然ながら、十分な実務経験と高い実務能力を持っている人に限られます。通常は、転職後にそれなりの給与から始まって、徐々に給与が上がっていくという待遇になります。
なお、一部には、勤務司法書士であっても高い給与を得ている司法書士もいます。例えば、その司法書士が事務所・法人の全てを取り仕切り、所長は何もしなくてよいというような場合や、その司法書士が勤務している事務所・法人に多くの顧客をもたらす場合や多大な利益をもたらす場合、その司法書士が自分で得た顧客からの報酬は自分のものにしてよいというような規定があり、多くの顧客を確保できている場合などです。ただし、転職後すぐにこのような状況になることは、通常ありません。
- 一般企業の場合
また、一般企業では、司法書士の資格の有無で給与に差異をつけるところは、ほとんどありません。
- 勤務司法書士の場合、一般的にさほど高年収は見込めない。相応の給与を得るには、それに見合った実務経験と能力、多くの顧客や利益をもたらす力がある場合に限られる。
司法書士のボーナス・退職金
ボーナスは、各事務所・法人によって様々です。規模が大きければそれなりのボーナスが出るのが普通ですが、規模が小さければ、多少出るか、全く出ないということもあります。
次に退職金についてですが、司法書士事務所・司法書士法人も、退職金の有無、支給額や条件などは、就業規則の規定に従います。一般的に、規模の大きい事務所・法人では退職金を支給する旨を定めている場合が多いですし、個人経営の事務所では定めていない場合が結構あります。
ただし、個人経営の事務所では、退職金の支給規定がなくとも、経営者が退職者の貢献度や勤務態度を考慮し、あるいは、退職者が開業する場合に、そのお祝い金代わりとして退職金を支給してくれるところもあります。
本記事は2017/09/28の情報で、内容は司法書士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。