基本的にはキャリアアップに男女差はない
基本的にインテリアデザイン業界に男女差は存在しません。仕事が出来る人なら男女問わずキャリアアップが可能で、スキル次第で年齢も関係なく活躍出来る職業と言えます。事実、求人では男女問わず、年齢不問の場合が多く、経験やスキルが優遇される方が通常です。
しかし、建前とは裏腹に企業によっては女性がキャリアアップしづらい現状があるのも事実です。大手になればなるほど、与えられる仕事内容に差が出て来たり、いくら頑張っても女性職員はサポーター扱いで、なかなか実力を活かせるチャンスが与えられないケースも多々あります。特に建設・設計業界は男社会で、雇用率も男性が格段に多く、その中で女性が大勢の部下を従える役職に就けるケースは極めて少ないと言えます。
ただし、アトリエ系や大半のインテリアデザイン事務所では、年収、昇格の男女差は殆どなく、実力社会を保っていることも多いです。従業員の男女比率もバランス良く、女性がチーフや統括を任される事も珍しくありません。
男性向き、女性向きの仕事
設計施工関連のデザイナーはどうしても男性が多くなります。現場に何日も泊まり込み、出張であちこち飛ばされるなど、精神的にも体力的にもハードな業務が多いため、男性の方が多く雇用されています。また家具、クラフト系など製作を請け負う業務では男性が多いです。プロダクトデザインにおいてもテクニカルなワークデザインでは男性デザイナーの活躍が目立っています。
各ショールーム、キッチンメーカーなどは女性デザイナーがクライアント窓口に当たる場合が多く、人当たりが良い、話し易い、女性の方がセンスが良いイメージがある等の理由でアドバイザーには女性が多く見受けられます。住空間の物件では、子供が居る女性デザイナーは親近感を持たれ、信頼度も高く、女性を指定するクライアントも少なくありません。また、生活動線を把握している女性の方が細部にまで行き届いた提案が出来る為、ハウジングメーカーでは女性が多く雇用されています。
男女の勤務事情
- 男性の勤務事情
現在、著名なインテリアデザイナーは9割型男性です。激務に耐え、縦社会をくぐり抜けてこそ掴めるチャンスは男性の方が優位なのかもしれません。
ただ男社会と言われるだけあって男性には容赦がない激務ぶりです。大変な物件では男性が起用され、男性はやって当然、こなして当然と思われている風潮が否めません。施主からのクレームや上司の叱責も容赦なく降り掛かってきます。現場では力仕事もたまには手伝わされ、女性職員より遅く残業するのも当たり前、就業時間外の職人、業者との付き合いも断れず、男性の苦労は確かに女性ではカバーしきれない部分を引き受けているからとも言えるでしょう。
- 女性の勤務事情
一般的に女性は結婚出産などの理由で早期退職する、そして育児休暇、子供を理由に休みがちになると思われているので、重要なポストや、昇格の対象から外されがちになっています。
しかし、残業や徹夜も男性同様にこなし、本気で頑張っている有能な女性インテリアデザイナーはもちろん居ます。ただ、出産後は子育てとの両立がやはり難しく、止む終えずフリー契約に切り替えたり、起業し自宅を職場に置き換えるなど、子育てとの両立に奮闘しながら働いている事が現実です。
まだまだ日本は女性が働き易い社会ではありませんが、インテリアデザイン業界は女性ならではの感性を発揮出来るフィールドでもあります。「女性ならではのきめ細やかさで」「女性の視点で」などのキャッチフレーズで女性対象のサロンや店舗のデザインを請負い、女性の立場を最大限活かして成果を挙げている女性デザイナーの活躍も目立つ様になってきました。
本記事は2017/09/01の情報で、内容はインテリアデザイナーとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。