保健師の育児相談・栄養指導・訪問業務について

職業:保健師

57views

imasia_755189_M

 

保健師の育児相談業務について

 保健師として育児相談を受ける機会が多いのは、市町村保健師として母子保健分野を担当している場合です。ここでは保健師が担う育児相談業務について見ていきます。

 

■赤ちゃん訪問事業

 赤ちゃん訪問事業というものがあり、生後4ヶ月までの間にすべての新生児・乳児のいるお宅を訪問し、赤ちゃんとお母さんの健康状態を把握し、育児状況を確認・指導を行わなければなりません。

 

 対象者が多くなる市では、以下に挙げるようなハイリスクケースを除いて民間業者に委託して家庭訪問を行います。「マタニティーブルーの傾向が強い場合」「飛び込み出産または妊婦健診を受けた回数が極端に少ない場合」「ひとり親などで経済的・社会的基盤が弱い場合」「母親が精神疾患の既往があるまたは通院治療中の場合」などは、ハイリスクケースとしてその後も継続的に関わっていくことが多いため、注意深くフォローします。

 

 具体的には、おむつ交換・授乳などの手技や児の哺乳状況や体重増加の確認をします。これに加えて、愛着形成(子供を可愛らしいと思うか、育児を投げ出したいと思うことがどの程度あるかなど)や母親の精神状況(気分の落ち込み、涙もろくなる、イライラがどの程度あるか)も観察します。

 

 母親の育児状況・精神状況によっては、夫・母親の親に育児の一部を負担してもらったり、必要時医療機関の受診を促すこともあります。

 

■健康診査(○ヶ月児健康診査・1歳6ヶ月児健康診査・3歳児健康診査)

 乳幼児の健康診査は、母子保健法によって1歳6ヶ月児健診と3歳児健康診査の実施が義務付けられています。また、この他にも自治体によって多少月齢は異なりますが、小学校に入学するまでの間に複数回健康診査を行います(4ヶ月児健康、7ヶ月児健康診査、5歳児健康診査など)。

 

 これらの健康診査では、身長・体重などの身体計測に加えて、整形外科・耳鼻科・小児科の医師による診察もあります。保健師は、児に付き添っている保護者に「育児で悩んでいること・困っていることはないか」「今日の健診全体を通して、何か分からないことはないか」を問診等で確認し、適宜助言します。

 

 健診終了後にミーティングを行い、継続的なフォローが必要だと判断された児・保護者に対しては、地区担当保健師が定期的に家庭訪問や電話連絡などを行っていきます。

 

  • 育児相談においての保健師の心構え

 保健師は随時電話や来所によって育児相談を受けることもありますが、主な機会は上記の家庭訪問か健康診査の場面です。乳児を持つ親の悩みとして多いのは、「睡眠時間や自分の時間が持てない」というものです。幼児期になると、「イヤイヤ期なのか言うことを聞かせるのが大変」「保育園(幼稚園)では食べられる物・できることが家ではやってくれない」など多様になります。

 

 保健師としての経験が浅いうちは、判断材料が少ないために、より専門的な検査や治療を受けられる機関につなぐべきか迷うケースもあります。実際、ベテラン保健師でもすぐに判断できないようなグレーゾーンにいる児も少なくないため、保護者には気軽に保健師に相談しても良いこと、必要があれば地区担当保健師からフォローしていくことなどを伝え、見守る姿勢が大切です。

 

 

保健師の栄養相談業務について

 栄養相談といえば管理栄養士というイメージの人も多いかと思いますが、保健師も乳幼児から高齢者までを対象に栄養相談を行うことがあります。ここではその一部について説明します。

 

■特定保健指導における栄養相談・指導

 2008年から開始された特定保健指導では、メタボリックシンドロームの改善・解消に向け、運動と食事の両面にアプローチします。具体的には、約半年間で目標体重や腹囲に到達できるように、初回面接で対象者と一緒に改善計画を立てます。食事面であれば、ご飯一杯分のカロリーはウォーキング○分に相当するなどの指導を混じえながら、「ご飯のおかわりはしない」「野菜から食べ始める」などの計画を立てます。

 

 特定保健指導の対象となる人の中には、メタボを改善したいという気持ちはあっても仕事が忙しくて運動をする時間がとれない人、遅い夕食となるために「食べたら寝る」が習慣になっている人もいます。中には、とりわけ男性に多いのですが、カロリーや栄養バランスに無頓着で食べたいものを食べているためにメタボになっている人もいます。

 

 40歳以上の中高年の人にとって、習慣化していることを変えるのは簡単ではありません。自分なりの考えやプライドを持った人もいるため、それらを尊重しつつ、できることから変えていくという気持ちで栄養指導(または運動指導)を継続的に行うのが特定保健指導です。

 

■乳幼児の健康診査や家庭訪問での栄養相談

 市町村保健師として母子保健分野の主担当となった場合(多くの新人保健師は母子保健担当からスタートします)、日々の健康診査(○ヶ月児健康診査、1歳6か月児健康診査、3歳児健康診査)や家庭訪問において、保護者から食事に関する相談を受けることがあります。

 

 「保育園(幼稚園)では嫌いなものも食べてくれるのに、家では食べてくれない」「おかずは食べてくれるが、白いご飯はあまり食べたがらない」「食べる量にムラがあるけど、原因が分からない」など子供の年齢が上がるほど相談内容は多彩になります。

 

 そういった相談に対応するには、単に学校で学ぶ栄養学の知識だけではカバーできません。食事時間、食事と食事の間隔、食事環境、本人の好みなど様々な内容を少ない時間で聴き取りし、分析してアドバイスしなければなりません。相談に対する明確な正解はないため、適切に助言することと同じくらい保護者の悩みに傾聴することが重要となります。

 

保健師の訪問業務について

 訪問業務を行う機会の多い行政保健師、産業保健師、地域包括支援センターの保健師の3つについて説明します。

 

①、行政保健師と訪問業務

 都道府県保健師が訪問業務を行う場合は、(1)「担当地区の難病患者・精神疾患患者・結核患者宅を訪問」(2)「管轄の市町村役場を訪問」することが多くなります。

 

 都道府県保健師は、母子保健や成人・老年保健業務よりも難病、精神疾患、感染症保健が主な業務となります。難病の場合は、例えばALSで在宅療養している対象者宅を訪問し、必要な行政サービスが行き届いているかなどを本人や家族に確認します。

 

 その際、在宅サービスに関する内容であれば、担当のケアマネジャーに連絡・調整を行うこともあります。精神疾患の場合は、例えば統合失調症を抱えている対象者宅を訪問し、服薬が確実に行えているか確認したりします。その他のサービス(訪問看護、デイサービスなど)を受けているときは、その近況を伺ったり、適宜関係機関と連絡調整を行います。感染症、例えば結核患者の場合は、精神疾患の際と同様に確実に服薬できているか、受診状況なども確認します。

 

 市町村保健師の場合は、母子保健分野であれば新生児訪問、未熟児訪問、妊婦・産婦訪問、ハイリスク乳幼児訪問、ハイリスク妊産婦訪問を行います。小さな町村であれば、町村の保健師が新生児や生後4ヶ月までの乳児を全戸訪問します。しかし、対象者が多い市の場合は、ハイリスク以外のケース(新生児・乳児・妊婦・産婦を含む)は民間業者に委託し、市の保健師はハイリスクケースのみを担当することが多いです。

 

 成人・老年保健分野であれば、生活習慣病を持った独居高齢者など複数のリスクを抱えた対象者宅を訪問するケースが多くなります。安否確認も含め、体調や受診状況を確認します。

 

②、産業保健師と訪問業務

 産業保健師が訪問業務を行うのは、(1)「(出先機関がある場合は)定期的に出先機関を訪問する」、(2)「メンタル不調に陥った社員宅を訪問する」場合です。

 

 (1)については、出先機関のある産業保健師のみが該当になります。概ね週に1度、出先機関に赴いて社員の健康管理(健康相談、保健指導、血圧測定など)を行います。このとき、企業によっては車の運転が必要となる場合もあります。

 

 (2)については、メンタル不調に陥った自宅療養中の社員がいる場合が該当となります。面談でのフォローは必須ではありません。しかし、療養期間が長期間に及んで会社とのつながりが薄くなることが、社会復帰の障害となることもあります。その場合は本人の同意を得た上でお宅を訪問したり、(出勤の練習も兼ねて)会社近くで面談することがあります。

 

③、地域包括支援センターの保健師と訪問業務

 地域包括支援センターの保健師が訪問業務を行うのは、主に要介護・要支援の認定調査の際です。保健師は、主に要支援に該当した利用者の介護予防ケアプランを作成します。

 

 介護予防ケアプランの作成前に、要介護認定または要支援認定を受けていなければなりません。認定調査は、各利用者宅を訪問して日常生活動作や外出状況などを聞き取りします。

本記事は2017/07/24の情報で、内容は保健師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。

転職エージェント!最新ランキング!

全て無料!情報収集にも転職相談にもまずは以下の大手エージェントを味方につける!

  1. 「転職」と言えばもちろん「リクルート」!求人件数の多さはもちろんカバーする業種・職種の幅も業界トップ級!まずは1サイト登録するならここ!

  2. 転職業界大手で国民的な企業の「マイナビ」!リクルートエージェントと併用する人も多い!2サイト利用でほぼ全ての業界をカバーできる!

  3. パーソルキャリアが運営する「DODA」もランキング上位!非公開求人が多いことや地方都市の求人に強みがあることが特徴のサイト!

  4. 女性の転職に特に定評と実績がある「パソナキャリア」!女性向けのセミナーやコンテンツ配信の質と量は業界随一!

  5. 年収アップに自信あり!スキルや年収を適正に評価し年収を最大限アップできるように担当者が徹底サポート!

保健師に関連する基礎知識

保健師TOP

  1. 保健師の求人事情について

保健師の転職の基礎

  1. 保健師の採用先の分類/職場別の仕事内容
  2. 保健師の面接時に押さえておく3つのポイント
  3. 保健師の転職時の志望動機・自己PR方法
  4. 保健師の年収相場・退職金相場
  5. 保健師の転職に適した年齢・採用時期
  6. 看護師から保健師への転職事情

採用先別の保健師の求人

  1. 自治体(都道府県・市町村)の求人事情
  2. 企業(産業保健師)の求人事情
  3. 医療機関の求人事情
  4. 教育機関(大学・専門学校など)の求人事情
  5. 保育施設(保育園など)の求人事情

条件別の保健師の求人

  1. 正社員の保健師求人
  2. 非正規雇用の保健師求人
  3. 高年収の保健師求人
  4. 土日休みの保健師求人
  5. 残業なし・激務でない保健師求人
  6. 未経験可の保健師求人
  7. 英語力を活かせる保健師求人
  8. ブランク明け・復職向きの保健師求人

年齢別の保健師の転職例

  1. 20代の保健師の転職例・体験談
  2. 30代の保健師の転職例・体験談
  3. 40代の保健師の転職例・体験談
  4. 50代の保健師の転職例・体験談

保健師に関するコラム

  1. 保健師の魅力とやりがい
  2. 保健師が抱えるよくある悩み
  3. 保健師の他職種との関わり方・連携
  4. 保健師に求められるスキル・能力・知識/学歴
  5. 保健師になるには・保健師の国家試験
  6. 保健師の勉強法について
  7. 保健師の1日の仕事の流れ
  8. 保健師のスキルアップ・役立つ他資格
  9. 保健師の定年について
  10. 保健師の将来性・今後
  11. 男性保健師の勤務事情
  12. 保健師のストレス・苦労・悩みについて
  13. 保健師の育児相談・栄養指導・訪問業務について
  14. 保健師の転勤・異動について
  15. 保健師の適性(向き・不向き)
  16. 保健師の「理想」と「現実」
ページ上部へ移動する