「持っておいた方が良い資格」はある
動物飼育員になるために必ず取得しておかなければならない資格や免許というものは、実はありません。しかし「持っておいた方が良いかもしれない」といわれるものがいくつかあります。ここでは、そのうちの代表的なものを挙げてみます。
- 学芸員
動物園は博物館の1種であり教育施設としての役割を担っています。博物館において「展示資料」と呼ばれるものが、動物園では「動物と、動物に関連する派生物(毛や骨、爪や卵殻など)」です。この展示資料を適正に保存・保管し、教育的に展示し活用することが博物館や動物園の役割です。
動物園でも、来園者や動物園を利用する人々に展示資料(動物)について正しく伝えたり、興味を持つきっかけを与えることが大切な仕事の1つです。また、動物たちを「適正に保存・保管」、つまり健康に飼育管理することが必要です。そのための国家資格が学芸員です。
学芸員は簡単に言うと博物館などの「資料」を集めたり公開したりする際の、法律で定められた専門的職員のことで、 学芸員になるには、まず「学芸員になるための資格」を取得することが必要です。文部科学省で定められている取得方法は、以下のいずれかになります。
- 学士の学位を取り、大学課程の中で文部科学省令に定められている「博物館に関する科目」の単位を取得する
- 大学に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得し、3年以上学芸員補の仕事をする
- 文部科学大臣が文部科学省令で定める中で、上記2つと同等レベルの学力と経験を持つと認められる
資格取得後に、学芸員資格認定のための試験(審査)を受けることができます。動物飼育員の仕事に就いてから、実務経験を経て資格認定を受ける人もいます。
学芸員について更に詳しく調べる場合は、文部科学省ホームページなどで確認してください。
- 家畜人工授精師
家畜人工授精師は、牛や豚など家畜動物の人工授精を適正に実施するために設けられている国家資格です。農林水産大臣の指定する大学課程か、都道府県が実施している家畜人工授精に関する講習会(家畜人工授精・家畜体内受精卵移植に関連した講習会,家畜人工授精・家畜体内受精卵移植・家畜体外受精卵移植に関連した講習会など)の課程を修了し、修業試験に合格し、知事の免許を受ける必要があります。
動物園は、絶滅の危機にある動物の保護繁殖に取り組むことが大きな仕事の1つです。家畜に関する資格ではありますが、繁殖に関わる知識や経験を持っておくことはプラスとなることが多いです。詳しくは農林水産省ホームページで確認してください。または、各都道府県の農業・畜産関連ホームページで確認するか、直接問い合わせてみましょう。
- 獣医師
「持っておいた方が良い資格」というにはハードルが高いですが、動物飼育員を目指す人の中には、獣医師資格を持っている人もいます。もちろん、必ずしも必要な資格ではありませんが、獣医師資格を持ちながら「獣医師」ではなく「動物飼育員」になる人も少なくありません。獣医師資格は獣医学を専攻できる6年制大学を卒業し、国家資格に合格する必要があります。
- その他、ペットや自然保護に関連した資格
ペットなどに関わる資格や、自然保護に関する資格を有した人もいます。「愛玩動物飼養管理士」「動物看護師」「自然観察指導員」などがあります。ペットの飼育管理についてや、自然保護(環境学習)に関連する資格を取る勉強では、動物飼育員として役立つ内容も多くありますので興味があれば取得するのも良いかもしれません。
- 運転免許
普通免許の取得は募集の際に確認されます。園内作業をはじめ、動物園ではトラックを使用する作業も多いので取得しておくと良いでしょう。
本記事は2017/06/22の情報で、内容は動物飼育員としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。