専門職タイプより総合職志向の人向き
マーチャンダイザーは商品開発に関わる職種なので、一見デザイナーのような専門職に見られることがありますが、実はそれは間違いです。マーチャンダイザーが責任を持つべき一番の目標はあくまでもブランドの数字であり、会社から求められる売上と利益をいかにして作るかが最重要課題です。そしてその目標を達成するためには、ただ質の良い、またはデザインの斬新な商品を作るだけではなく、ヒト・モノ・コトのあらゆる課題をクリアし、全体最適になるよう管理していかなくてはなりません。
ですから、ざっくり言うと一つのことをコツコツ掘り下げていく専門職タイプよりは、浅くても幅広い経験をしてさまざまな職種や仕事の流れを知り全体感を掴むことのできる総合職志向の人の方がマーチャンダイザーに向いていると言えるでしょう。
マーチャンダイザーの適性(向き・不向き)は?
以下では、マーチャンダイザーに向いている人、不向きな人を具体的に例を挙げてみます。上述の「専門職タイプより総合職志向の人向き」は大前提です。
《マーチャンダイザーに向いているタイプ》
- 趣味=仕事と思える人。休日でも話題のお店や自店の様子を見に行ったり、そこで得た情報をすぐ仕事に置き換えて考え始めてしまうような人。
- コミュニケーション能力が高く、部署や上下の壁を越えて話ができる人。人を説得したり交渉することに楽しみを覚える人。
- 好奇心旺盛で、なんでもやってみたい、試してみたいと思うタイプの人。
- 仕事の優先順位をつけるのが得意で、深く掘り下げるべきところと全体感を見渡すところのメリハリをつけて進められる人。
- Excelでの分析や細かい数字を追う作業が苦にならない人。
- ブレない軸と柔軟性の両方を持ち、常に数値目標とブランドの全体最適を考えてフレキシブルに動ける人。
《マーチャンダイザーに不向きなタイプ》
- 細かいことでもストレスを感じてしまうタイプの人。
- 一つの仕事に集中し、掘り下げて追求していきたい職人気質の人。
- 指示が無いと動けない、自分から優先順位を付けて仕事を組み立てていくのが苦手な人。
- コミュニケーションが得意でなく、社内の根回しや意見の違う部署間を取りまとめることが苦痛に感じる人。
- Excelなどのパソコン業務や数字にアレルギーのある人。
- トレンドや世間のことに関心の薄い人。
- 残業はあまりしたくなく、仕事のオンとオフはきっちり分けたい人。
全てを満たす人はそうそういない
マーチャンダイザーはある意味オールラウンドプレイヤーでいることに喜びを感じるようなタイプでないと難しいかもしれません。ただし、上記のような全てを兼ね備えている人しかマーチャンダイザーになれないわけではありませんし、実際そんな全能のような人は滅多にいません。
その一方で、仕事のできるマーチャンダイザーは人に振るのも上手です。数値分析があまり好きでないならシステム担当者に相談して簡単になるようマクロを組んでもらう、各担当者から吸い上げる情報を整理してルーティーン化するなど、目の回りそうな激務を自分だけで抱え込んで仕事をした気になるのではなく、仕事の仕組み化をうまく行って負担を減らしつつ担当者のスキルアップにも繋げられるような人は、マーチャンダイザーとしてだけでなく、マネージャーとしても認められるでしょう。
そのためにも、やはりコミュニケーション能力だけは確実に必要と言えるでしょう。
本記事は2017/06/05の情報で、内容はマーチャンダイザーとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。