なぜ新聞記者は人脈が大切なのか
新聞記者が最も大切にしなければならないものの1つに『人脈』が挙げられます。
記者に人脈が必要な理由は2つあります。1つ目は記事の幅と深みを増すためです。人脈が広ければ広い分、多くの人の感性に触れるため、取材の発端を掴みやすくなり記事の幅が広くなります。また様々な視点を意識した双方向からの取材を行うことでより深い記事を書くことができます。
2つ目は正確な情報を報道するためです。取材をかける当てである人脈があればあるほど、より深い情報を掴める可能性が高まりますし、複数に取材をかけて同じ情報が取れれば、その分だけ掴んだ情報の正確性を増すことができます。
新聞記者は極めて慎重に情報を扱う必要があります。例えばある事件取材をする場合を例に挙げて考えてみると、一人の警察関係者から何か情報を掴んでくることができたとしても、記者が捉え違えた可能性もありますし、警察官によって伝え方のニュアンスが違う場合もあるからです。そうすると最悪誤報を出してしまい、読者や取材先からの信頼を失いかねません。
そのため、担当の取材先でも報道対応の担当者一人だけと関係を築くだけでなく、他の人とも情報を取れる関係を築いて、複数から正確な情報を出せるようにしておくことが大切なのです。
どのようにして人脈を広げる?
新聞記者は情報をとるために、自分の担当に該当する担当課などに毎日足しげく通います。取材相手も人なので、顔を合わせる回数が増えていくと徐々に話題が増えていきますが、いくら“仲がよくなった”としても、それだけでは特ダネをつかむのは難しいです。情報を伝える際に信頼関係も必要になりますが、それはただ毎日通えば築けるというものではありません。
それでは信頼関係を築くためにはどうすればいいのでしょうか。記者によって方法は異なりますが、一番は取材対象に対する興味関心を持って誠実に取材を重ね、1つでも多くいい記事を書くということです。この『いい記事』というのは単に取材相手をちやほや取り上げるというものではなく、時には厳しく指摘する新聞記者ならではの視点が大切です。
しかし、いい記事を書くというのは決して簡単なことではないので、まずは頻繁に顔を出し、担当分野についてわからないことを教えてもらうことからスタートすると良いでしょう。
記者1人に最低1つは担当がつきますが、担当はほぼ毎年替わりますし、特に担当が替わったばかりのときは、自分の担当についてほとんど知識が無いというケースは少なくありません。始めは苦戦するかもしれませんが、取材や挨拶回りで少しずつ知識を蓄えて、独自視点でいい記事を書けるように腕を磨きましょう。それが人脈を広げていく第一歩になるでしょう。
本記事は2017/05/30の情報で、内容は新聞記者としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。