男女で変わりうる臨床心理士の業務
多くの職業は男性、女性の区別がなくなりました。今までは男性だけだった職場に女性が進出したり、女性だけだった職場に男性が進出したりといったことが色々な現場で起こっています。
臨床心理士は元々女性が多い職業でしたが、近年男性がとても増えています。他の職業は性別で職務の内容が変わることは少ないですが、臨床心理士は性別というもので大きく職務が変わってきます。もちろん、心理療法を行ったり検査をとるということ自体は変わりません。何が変わってくるかというと持てるケースが変わってくるのです。
以下に、ケースという観点から男性心理士と女性心理士の特徴をまとめてみます。
- 男性心理士の特徴
恋愛転移を起こしそうな女性のクライアントの場合、年の近い男性心理士にケースを持ってもらうということはあまりしません。恋愛転移自体を避ける意味もありますが、それに対して逆転移を起こすということも十分に考えられるからです。
また性被害にあった女性のトラウマケアなどでも男性心理士が付くことは少ないです。DV被害にあった女性のケア等、暴力被害・性暴力被害のトラウマケアの現場では「男性」であるということ自体がひっかかってくるのです。もちろんケースや現場によってそのようなテーマを扱っているところで活躍している男性心理士の方もいますが、少ないです。
逆に、思春期のアイデンティティーがテーマになるようなケースであれば、男性のクライアントであれば若手の男性心理士をつけるケースも多いです。
- 女性心理士の特徴
男性心理士の場合と同様ですが、恋愛転移などを起こして性的に逸脱しそうなケースの場合は同性の心理士をつけることが基本ですので、男性のクライアントの場合に女性の心理士が付くことは稀です。
また重度の解離性同一性障害(多重人格)の場合なども暴力等の逸脱行為が見られる場合が少なくないので男性の心理士が付くことが多いです。先ほどの話と同じ話になってしまいますが、性暴力被害などの現場は女性の方が持てるケースが多くなってくるというのは大きな特徴の一つでしょう。
本記事は2017/05/11の情報で、内容は臨床心理士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。