臨床心理士と他職種との関係
チーム医療などという言葉がよく使われるようになりましたが、現在は一人で臨床を行うというよりは他の職種と連携して臨床を行うということが圧倒的に多くなってきました。臨床心理士も、教育や医療や産業分野で、他職種との連携は必須と言えます。
今回は教育、医療、産業の領域に注目して臨床心理士と他職種との関係を見ていきましょう。
- 医療現場での他職種との関係
医療現場では医師や看護師、作業療法士といった他の専門職との関わりが多いです。基本的には医師が治療に当たり医師の指示のもと他の職種が動くという、トップダウンの意思決定になっています。ただし、医師が方針を決めるときに臨床心理士をはじめとした他の職種に意見を求めることも非常に多いです。チームで討議し、役割分担し、チームで医療に当たるというのが現在の医療現場では見られます。
その中で臨床心理士に求められているのはカウンセリングをはじめとした心理療法の実施と心理テストをはじめとしたアセスメントの実施です。適切なアセスメントを医師に伝え、医師の指示のもと心理療法を行うということが必要になってきます。
また、最近では作業療法や病棟での関わりを行うことも多いです。その時は作業療法士が作業療法を進行しているときに適切な関わりをしたり、病棟で看護師と連携しながら患者と関わっていくことが必要になってきます。
- 学校での他職種との関係
学校では圧倒的に教員とのやり取りが多くなります。生徒がカウンセリングに来た場合には、その内容にもよりますが教員との協力の下で学級復帰などを行っていくことになります。
まとまりのないクラスの担任からクラスのアセスメントと援助を求められることもあります。その場合は実際に教室に行って観察し問題の解決のために力を合わせていきます。また精神疾患が背景に考えられる場合は主治医や担任、家庭と連携しながら学校への通い方などを考えていくことになります。
- 産業での他職種との関係
産業系の職場では、企業人・産業医などとの連携が多くなります。残業時間が多くなり、具合の悪そうな労働者の相談を管理職から受けたときに、適切な援助や産業医との過重労働面接などの設定を行います。休職が必要であれば人事と相談しながら進めていきます。産業医や主治医などから復職の許可が出たならば再発防止のために、管理職と連携を取りながら負担のない復職を一緒に考えていきます。
本記事は2017/05/09の情報で、内容は臨床心理士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。