臨床心理士の採用先の特徴
臨床心理士と聞くと、医療機関で働いているイメージが強いかもしれません。最近は色々な領域で心理的援助の需要が広がり、様々な業種で臨床心理士が採用されています。特に採用が増えてきた領域の一つに産業分野があります。過労死や精神障害による休職が急増する中、臨床心理士にその対応や対策が期待されています。
様々なサービスがあふれる昨今、臨床心理士の活躍の場は医療だけにとどまらず色々な場所に広がっています。ここでは、医療機関・企業・教育機関・研究所など、代表的な採用先を例にとって臨床心理士の働き方を解説していきます。
- 医療機関で働く
医療機関で働く場合は、精神科で働くことが多いです。しかし、最近ではその需要の広がりとともに、小児科、ターミナルケア病棟、歯科等でも募集が見られます。業務としては圧倒的に「面接」と「査定」が多いです。外来患者の心理療法や心理テストを行い、医師と連携しながら治療に当たります。
一回の心理療法は50分くらいで設定されているところが多く、一日に多い時で3~4ケースほどの心理療法を行います。デイケア・ナイトケアなどがついている病院では、患者さんの集団の中に入って援助をするということも業務の一つです。
- 企業で働く
昨今、過労死やパワハラ、休職などがメディアでも取り上げられ企業の中に臨床心理士を置く会社が増えてきました。ストレスチェック法案の施行に伴い、その専門性が求められています。
企業で心理職として働く場合は「査定」や「面接」、「地域援助」を行います。医療機関との一番の違いは治療的介入ではなく予防的介入を行っていくということです。過労死を予防するために企業を査定し、過重労働が発生しやすいシステムが出来ているのであれば、人事や管理職などと協力してその改善に当たります。
また休職者の復帰に関しても、再発防止や円滑な職場復帰のために他職種と連携して行います。臨床心理士には、メンタルヘルスやストレスなどの様々な問題に対し強い組織にすることを求められています。
- 教育機関で働く
私立学校などでは、常勤のカウンセラーとして臨床心理士を配置するところもありますが、公立学校では週1~2回の非常勤職員としてスクールカウンセラーを雇用するところが殆どです。
生徒に対する面接は、当然のごとく行われますが、それと同時に教員と連携して学級や学校を不登校やいじめなどが起きにくい組織にすることも求められています。具体的には、実際に授業に入ってクラスを観察したり、先進的な学校では職員や生徒に対して講座を開いたりします。
- 研究所で働く
規模の大きな国立病院などで研究員として働きます。医師や看護師などの他の職種と連携して、調査や検証を行います。精神科医療の分野が多いですが、ストレスに関する研究、睡眠に関する研究、認知症に関する研究など求められる領域の種類は広がりつつあります。
自らの専門性に合わせて、自分の得意とする領域の研究に参加するというのが一般的です。正規職員よりは非正規職員として雇用されることが多いです。
本記事は2017/05/09の情報で、内容は臨床心理士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。