「記述式問題」の出題の特徴は?
2016年(平成28年)に出題された「記述式問題」の中の1問を例にとって、問題の特徴をご説明します。以下は、2016年(平成28年)に出題された「問題45」です。
「記述式問題」は、2006年(平成18年)の試験から新たに導入されました。それまでは、暗記や過去の問題を中心に勉強していれば、どうにか合格点をクリアすることができていました。しかし、そのような反省点を踏まえて、「法的な思考力」を問うことを試験改革の旗印として、その一環として、この「記述式問題」が出題されるようになりました。
「記述式問題」は、全部で3問出題され、1問20点です。つまり合計60点となり、法令問題244点のうち約24%が「記述式問題」の配点となります。行政書士試験の合格点は6割ですから、この「記述式問題」の成否が合格を左右すると言っても、過言ではありません。そのためには、しっかりとした対策を施し、試験に臨みたいところですが、ただ単に用語の知識があるだけでは得点が難しく、先程も記載したように「法的な思考力」を培っていないと、40字で説明することは難しいです。
上記でご紹介した「問題45」では、登場人物A、B、Cの関係を抑えた上で、AとBとは「売買契約」の当事者、BとCとは「金銭消費貸借契約」の当事者であることを先ず理解する必要があります。その上で、甲がBからAへ引き渡され、甲には抵当権が設定されているとい事実が、この問題のポイントになることに着目します。その上で、説明すべき点「Aは、Bに対し、Cの抵当権に関し、どのようになったときにどのような主張をすることができるか」を過不足なく記述するという作業に移ることになります。
以上の流れ、「設問で設定されている状況の理解」→「問われている記述内容の理解」→「40字程度にまとめる作業」を限られた時間で行わなければなりません。ただ単に「売買契約」「金銭消費貸借契約」「抵当権」という用語の意味を知っているだけでは、対応に苦慮するのが現実です。
ちなみに、出題している「一般社団法人行政書士試験研究センター」が発表している模範解答は、次の2つです。
勉強方法は?
行政書士試験の勉強で、この「記述式問題」の対策については頭を悩ます人も多いです。そこで、まず2006年(平成18年)以降に出題された「記述式問題」の過去の問題を全て解いてみましょう。多くの問題で、ある状況が設定された上で、「~のときに~になるか、説明しなさい」という問い方をしています。つまり、書かれている状況がどのような法的意味があるかがわからないと、説明ができないようになっています。
対策としては、「行政法」と「民法」をテキストで勉強する際に、法律全体を体系的に理解することを念頭に入れて、読み込んでいく必要があります。また、わからない法律用語が出てきたら、法律用語辞典で調べ、その言葉の法的な意味を十分理解していくようにします。その上で、過去問を解き、表現の方法を工夫するようにします。
本記事は2017/03/29の情報で、内容は行政書士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。