「民法」の出題の特徴は?
2016年(平成28年)に出題された民法の問題の中の1問を例にとって、民法の特徴をご説明します。以下は、2016年(平成28年)に出題された「問題27」です。
(※)正解「5」
民法は、全部で1044の条文から成り立っています。民法は大きく分けて、「民法総則」、「物権法」、「債権法」、「家族法」の4つで構成されています。
「民法総則」は、民法が規定している基本原則を記載している分野です。民法の基本原則は、誰でも権利の主体となれる「個人平等の原則」、自分のものは自由にできる「所有権絶対の原則」、誰とどんな取引をするかは個人の自由である「私的自治の原則」、そして悪気やミスがなければ責任を取らなくても良い「過失責任の原則」の4つです。これらの原則に則って、ここの「民法総則」では、民法の根幹が説明されています。
「物権法」は、人が物を所有する権利、物権が規定されています。物を自分の物としている「所有権」が代表的ですが、その他に事実上物を支配する「占有権」を始めとして、全部で10個の「物権」について、定義されています。
「債権法」は、人と人とが結ぶ契約について、規定されています。もともと「債権」の「債」は、負担・借金を表します。例えば、AさんがBさんから100万円を借りた場合、これは「金銭消費貸借」という契約になりますが、AさんはBさんに100万円を返す義務が生じ、BさんはAさんに「100万円を返して」と要求できる権利があります。この場合、Aさんを債務者、Bさんを債権者と呼びます。このような、契約の種類と債権者、債務者の権利・義務について規定されているのが、「債権法」です。
「家族法」は、「親族」と「相続」の2つの分野から成り立っています。「親族」では、夫婦、親子の共同生活上のトラブルを規制するための法律が記載されています。また「相続」では、人間の死亡による権利・義務の関係を規制する条文が記載されています。
行政書士試験では、例で取り上げたような、五つの選択肢から正解を一つ選ぶ問題(五択問題)が、例年9問出題されています。また、「記述式問題」も2問出題されています。配点は、「五択問題」が各4点で計36点、「記述式問題」は各20点で計40点です。つまり合計76点となり、法令問題244点のうち約31%が民法の配点となります。
法令問題の多くの部分を占め、しかも他の法令問題に比べて、難解な問題もいくつか出題されますから、十分な勉強時間を確保して、試験に臨む必要があります。
勉強方法は?
今まで法律に勉強をしたことがない人は、先程ご紹介した「問題27」を見て、面食らってしまうかもしれません。例えば、「消滅時効」、「時効の援用権者」、「物上保証人」等、日常使わない言葉が多く登場しているからです。
従って、民法を勉強する際には、わかりやすいテキストを使用することはもちろん、法律用語辞典等で、専門用語の意味を抑えながら、条文を読み進めていく必要があります。その上で、2~3冊程度の問題集を解いてみます。間違った問題は、解説をよく読み、条文や法律用語辞典で、該当する条文や専門用語をよく理解していくことが大事です。
本記事は2017/03/29の情報で、内容は行政書士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。