行政書士のデメリット

職業:行政書士

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他士業と比べたデメリット

 行政書士のルーツは、明治維新の「太政官布告」までさかのぼります。当時は、文字が書けない人が珍しくなかったので、そのような人たちが口述したことを代わりに文字に起こした仕事が、いわゆる「代書屋」が制定されました。これが、今の行政書士の始まりです。

 

 その後、刑事事件の被告になった人の代わりに、その人の言い分を代理して述べる「代言人」が独立し、今の弁護士になりました。それから、登記を担当する司法書士、税務を担当する税理士、社会保険等を担当する社会保険労務士等、次々と代理人として仕事を行う専門的な職業へ分離・独立しました。

 

 その結果、弁護士、司法書士等の士業の専門的な仕事「以外」を行う職業として、今の行政書士制度が成り立っているのです。ですから、一般的な法律事案であれば、行政書士でも対応できますが、専門的な領域になり、それぞれの士業で「独占業務」として規定されている仕事は、行政書士はもちろん、それ以外の士業が行うことはできなくなっています。なお、「独占業務」とは、ある資格をもっている人以外がその業務を行うことを、法律で禁止している業務のことです。

 

 一方で、現在行政書士の「独占業務」とされているものには、他の士業ほどの専門性がない業務も多く含まれています。つまり、行政書士としての資格がなくても、ある程度の知識があれば、素人でもできる業務が多く含まれているということです。しかも現在は、インターネットで多くの情報を収集できますので、あまり知識がなくても自分で書類を作成することは、決して不可能なことではありません。

 

 また、建設業等の許認可申請書類についても、以前は行政書士が全面的に頼られる存在でしたが、最近では、会社の総務担当者が、行政庁の担当者と協議をしながら提出するケースも増えています。このようになった背景には、行政庁からの情報開示が盛んになり、申請書に関する「手引書」が充実してきたことと、ひと昔に比べて、行政の窓口が懇切丁寧になったことが挙げられます。

 

 このように考えると、他の士業に比べて行政書士には、現在逆風が吹いているという印象を受けます。せっかく難しい資格試験を合格して、希望を持って行政書士を開業しても、思うほど依頼が来ないという現状に直面している人が少なくないのです。

 

今後行政書士に必要なものは?

 以上の説明を聞けば、今から行政書士事務所を開業しようとする人は、二の足を踏むかもしれません。「そんなに厳しい世界なのか?」、「廃業率が高いというのは本当だったのか?」等です。

 

 確かに行政書士にとっては、現状は厳しいことには間違いありません。ただ、他の士業にとっても、この厳しさは五十歩百歩です。例えば弁護士業界ですが、司法試験改革のあおりで、弁護士の数が急増し、特に新人弁護士に仕事の依頼が来ないため、厳しい生活を送っていることは、よく知られていることです。弁護士の場合、どうしても都市部に集中してしまい、都市部の新人弁護士は、大きな弁護士事務所の一部スペースを借りて、とりあえず開業する「軒先弁護士」が急増してるのも現実です。

 

 また、司法書士の場合、土地の移転登記や会社の設立登記、役員の変更登記がメインの業務ですが、「法務局」のホームページを開くときちんとしたフォーマットがあり、必要な事項を記載すれば完成するようになっています。また、手続きの際にも、事前に相談できる体制が整っていますので、素人でも何回か足を運べば、決して難しい作業ではありません。また、税理士のメインの業務である「確定申告」についても、最近ではパソコンで使えるソフトが充実していますし、「e-tax」を使って、パソコンで申告ができるシステムもあります。

 

 このように考えていけば、現在は士業全体が厳しい立場に立たされていることがわかります。今後は発想を変えて、「この資格でどの業務ができるか」に固執せず、「この資格を使って、新たな事業を展開していこう」という士業が、生き残っていくことでしょう。

 

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本記事は2017/03/27の情報で、内容は行政書士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。

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