訪問リハビリテーションの利用者は増加している
平成21年以降、訪問看護の利用者は増えており、それより少し遅れた形で訪問リハビリテーションの利用者も増えています。さらに、医療費・介護保険費の抑制も最近のトピックスとなっており、入院期間を短縮する方向ですすんでいます。そのため、訪問リハビリテーションは、今後もますます利用者増加が見込まれる分野となっています。
それに伴い、理学療法士も必要になってきますが、現在はまだまだ不足している状態です。そのため、訪問リハビリテーションにおける理学療法士の求人数の増加率は病院・介護老人保健施設より高くなっています。
訪問リハビリにおける理学療法士の役割
医師の判断で訪問リハビリが必要と判断された方に対し、医師の指示の下で訪問リハビリが開始されます。訪問リハビリでは、病院と違って検査データや画像診断の結果を見ることが少なく、大抵の場合は理学療法士が1人で訪問します。よって、診療情報提供書を元に、不明な点は医師に確認し、訪問する理学療法士が評価・問題点の抽出を行い、リハビリプログラムを進めていく必要があります。
在宅生活には当然家族の存在もあります。リハビリテーションを行っている間に、家族から多くの質問を受けることもあるので、それなりの知識も必要ですし、同時にコミュニケーション能力を持ち合わせていることも重要になってきます。
訪問リハビリの特徴は、実際にその利用者の生活に沿ったリハビリテーションを、実際の生活の場で行うことです。生活環境を整備すること、その環境でより楽しく、生きがいを持って生活してもらえるよう、慣れ親しんだ環境でリハビリを行い、在宅生活での実際の動き方や福祉用具の選定のアドバイス、時には一緒に外出をして社会参加への促しなども行います。また、家族とも連携を取り、介護方法のアドバイスやその実際の指導、他の事業所でのサービス利用がある方は、それぞれの事業所とも連携を取っていきます。
訪問リハビリテーション分野では、即戦力となる多くの経験をしている理学療法士の方が採用されやすいです。しかし、熱意をもって訪問リハビリを行いたいという気持ちがあれば、たくさん勉強を行い、また色々と経験を重ねていくことでカバーしていくことも可能です。
医療保険と介護保険の両方が存在する訪問リハビリ
訪問リハビリテーションは介護保険下での訪問のほか、医療保険でのリハビリテーションも存在します。医療保険での訪問リハビリは、主に難病を罹患した方が対象ですが、子どもを対象にした訪問リハビリも増えてきました。年少者から高齢者まで多くの利用者がいることも、訪問リハビリならではと言えます。
大病院では訪問看護ステーションを擁しているところも増えており、訪問リハビリを行っている病院や施設も増えています。訪問リハビリは名前通り利用者の自宅に伺って、自宅でリハビリを行います。訪問リハを行うのは基本1人ですので、病院に入ったばかりで経験の浅い新人が担当することは少ないです。
医療保険分野での訪問では、各病院の医師や看護師、社会福祉士、介護保険分野でも同様なスタッフと関わりを持ちますが、ケアマネージャーの存在が大きいです。いずれにしても、多くの方と連携を図っていくので、コミュニケーションは密に行います。そういった点を考慮しても、やはり経験者の方が転職時には重宝されやすいです。
本記事は2017/02/23の情報で、内容は理学療法士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。