製薬会社の臨床開発モニターの求人は非常に少ない
製薬企業の臨床開発モニターの求人、特に転職者を対象としたものはほとんどありません。しかし、全くないというわけではありません。
例えば、自社の臨床開発モニターを利用せずに、CRO(外部)の臨床開発モニターを利用した場合、複数社のCRO臨床開発モニターが多数ミスをおかし、臨床試験を失敗させるような経験があると、会社の方針転換が図られることがあります。この場合、自社の臨床開発モニターを募集するようなこともあります。その他、オフィスを新たに開設する場合、臨床開発モニターを募集することもあります。
臨床開発モニター未経験者の募集は、製薬会社ではまずありません。経験のある臨床開発モニターでも、治験実施計画書作成(補助)経験がある人、外部ベンダー(CROや検査会社など)のマネジメント経験がある人といった条件が付けられており、臨床開発モニターだけの経験しかない場合、ハードルが高いです。
- 製薬会社の臨床開発モニターの求人はほとんどなく、募集があっても一定の経験が必要。
CTL(Clinical Trial Leader)の求人は若干あり
製薬会社においては、臨床開発モニターよりも、CTLの求人の方をよく目にします。その理由は、臨床開発モニターが行うモニタリング業務は、自社ではなくCROに委託することが主流であるためです(※2016年時点の情報)。
そのため、多くの開発品目(パイプライン)を有している会社や、全世界的に注目されている医薬品(例えば、2016年ではオプジーボ:抗PD-1抗体である免疫関連抗がん剤)を開発している会社では、少しでも早く臨床試験を開始し、少しでも早く厚生労働省からの承認を得るために、CTLの募集が盛んに行われています。
製薬企業のCTLは、CTL経験があることが必須条件です。加えて各企業によって最低経験年数が設定されています。しかし、これだけで転職が成功することはありません。これら以外にも、Global teamと英語でコミュニケーションができる、外部ベンダーのマネジメント経験がある、治験実施計画書や治験総括報告書の作成(補助)経験があるといったことがあれば、転職が成功する可能性が高まります。
- 臨床開発モニターよりはCTLの求人の方が多いが、一定年数のCTL経験に加えて、高いスキルや経験が求められる。
臨床開発モニターやCTL以外の求人
製薬企業には、臨床開発モニターとCTL以外にも、DM(Data Management:症例報告書のデータ管理)やPV(pharmacoVigilance:安全性情報の収集と分析)をはじめ、その他多数のボジションがあります。しかし、いずれのポジションも求人が出ることは非常に少なく、求人が出たとしても一担当者としての募集ではなく部長やマネジメント職の募集がほとんです。
また、一担当者としての求人が出ていたとしても、応募条件としてそのポジションの経験があることと規定されていることがほとんどのため、臨床開発モニターの経験だけでは、これらのポジションに就くことはできません。
本記事は2017/01/14の情報で、内容は臨床開発モニター(CRA)としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。