臨床開発モニター(CRA)の仕事内容

職業:臨床開発モニター(CRA)

399views

imasia_12459149_M

 

臨床開発モニターは情報連絡係

 医薬品開発はGCP(Good Clinical Practice)という法律の下で行われます。そのGCPでモニターの責務(仕事)が定められており、治験依頼者(製薬企業)と施設(病院)の情報連絡係と記されています。治験依頼者からの情報を施設に伝達し、反対に施設からの情報を治験依頼者に報告する役割を担います。

 

 このように臨床開発モニターは治験依頼者側の立場で、治験依頼者の代表として仕事をしますが、その一方で施設の代弁者という一面も持っています。

 

臨床開発モニターの実際の仕事内容

 臨床開発モニターの仕事は、大きく分けて4つのステージに分類することができます。①施設選定、②施設選定から契約まで、③契約後から症例エントリー終了及び治験薬投与終了まで、④治験薬投与終了から治験終了までです。

 

① 施設選定

 まず、施設選定の仕事ですが、臨床開発モニターは製薬企業やCRO(Contract Research Organization)が行った調査や過去の治験実績から、治験を実施していただけそうな施設に対して、選定調査を行います。

 

 選定調査では責任医師や施設に対して、本臨床試験を実施していただくに対し、十分な知識や経験、検査のための必要な機器があるかないかなどの項目を調査します。臨床開発モニターは調査結果をモニタリング報告書に記載し、チームリーダーに提出し、確認と承認を求めます。チームリーダーが承認すれば、その施設において臨床試験の実施に向けて手続きを開始することができます。

 

② 施設選定から契約まで

 次に、施設選定から契約までの仕事ですが、臨床試験実施に関して責任医師との合意取得、治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board)に向けて責任医師が作成する同意説明文書(ICF:Informed Consent Form)の作成補助や、契約書に関して施設と交渉を行います。

 

 また、IRBまでの間にヒアリング(施設と臨床試験実施に際しての打ち合わせ)や、IRBに出席(場合によってはIRBで本臨床試験の概要説明を行う)するという仕事があります。

 

③ 契約後から症例エントリー終了及び治験薬投与終了まで

 次に契約後から症例エントリー終了及び治験薬投与終了までの仕事ですが、症例エントリーに際する施設からの問い合わせの対応、症例エントリーが進まない場合はエントリー促進を行います。

 

 治験薬を投与中の患者さんの情報をカルテや医師、治験コーディネーターなどから得て、症例報告書(CRF:Case Report Form)と照合し、齟齬がないことを確認します。

 

 その他として臨床試験が治験実施計画書通りに行われているかどうかを確認し、それらの確認内容はモニタリング報告書に記載し、データとして蓄積していきます。もし治験実施計画書通りに行われていない場合は、「治験実施計画書からの逸脱」として取り扱い、責任医師と再発防止策の協議と再発防止策に対する評価を行います。

 

④ 治験薬投与終了から治験終了まで

 最後に治験薬投与終了から治験終了の仕事ですが、治験に係る文書または記録(以前は必須文書と呼ばれていたため、現在も必須文書と呼ぶことがほとんどです)の確認、終了報告書提出の確認などを行います。

 

 製薬企業が承認申請を行った後、半年から1年後を目処にPMDA(医薬品医療機器総合機構)による実地調査や書面調査が行われ、臨床開発モニターはその対応も行います。実地調査はPMDAが施設に対して行うものですが、臨床開発モニターは医師や薬剤師、治験コーディネーターに対して想定問答を提供するなどして、施設をサポートします。

 

 書面調査はPMDAが製薬企業に対して行うもので、PMDAの調査官による症例や施設の手続きに関する質問に対して、臨床開発モニターがモニタリング報告書やCRFなどの資料を用いて回答します。

 

  • 施設選定から治験終了まで、治験依頼者である製薬会社と病院との情報伝達の役割を担い、各所の手続きやサポートを行う。

 

臨床開発モニターの仕事をする際の重要なマインド(心構え)

 臨床開発モニターにとって最も重要なマインド・心構えは、高い倫理観です。

 

 臨床開発モニターの仕事は、GCPという法律に基づいて医薬品を開発することです。すなわち、医薬品として承認されていない化学物質を患者さんに投与して必要なデータをとり、国に対して承認申請を行うことです。

 

 もし、臨床開発モニターが副作用情報を隠蔽していたり、データを改ざんしていた場合、どのようなことが起こるかというと、この医薬品が承認された後、患者さんがこの薬を服用した際、臨床試験中には報告されていなかった未知の副作用による健康被害のために、患者さんを苦しめることになるかもしれませんし、実際は効果がない薬を飲み続けることになるかもしれません。

 

 他にも臨床開発モニターは、患者さんの個人情報であるカルテを閲覧するため、個人情報の取り扱いには十分に注意しなければなりません。従って、臨床開発モニターとは、高い倫理観が求められる仕事です。

 

転職サイトランキング【最新版】

  1. 転職最大手の「リクルート」は求人件数の多さはもちろん、カバーする業種・職種の幅も業界トップ級で常に人気が高い!

  2. 転職業界大手の「マイナビ」!スキルや年収を適正に評価し、年収を最大限アップできるように担当者が徹底サポート!

  3. 年収アップに自信あり!利用者の7割以上が年収アップ!リクルートエージェントやマイナビエージェントと併用する人も多い!

本記事は2017/01/12の情報で、内容は臨床開発モニター(CRA)としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。

ページ上部へ移動する