臨床検査技師が抱えがちな悩みやストレス
- 一番最初に経験する壁
学校を卒業し、就職したばかりの新人臨床検査技師が経験する一番最初の壁は「検体」です。検体とは、患者さまから採取された血液や尿のことです。血液や尿以外にも、便や喀痰や膿など、様々な種類の検体が検査の対象となります。
学生の頃も病院実習などで経験はしていますが、実際の仕事となるとその量は膨大なものです。病院の規模によっては、1日100件以上の尿検査を行うこともあります。
最近では、検体検査は殆ど使い捨ての手袋を使用して検査を行いますが、何かの拍子に自分の手についてしまうこともあります。潔癖症であれば、この「検体」に慣れることが最初の壁となることがあります。しかし、検査の仕事に慣れてしまうと、尿は「尿検体」としか感じなくなります。これは経験が解決してくれるものです。
- 人間関係のストレス
臨床検査技師は女性が多い職業です。小規模な検査室ならば女性技師のみで構成されている職場も珍しくなく、男性技師がいても女性技師の方が多い職場の方が殆どです。これは、病院の検査室に限らず、検査センターや健診センターでも同様です。女性が多い職場特有の人間関係のストレスを感じることもあります。
また、技術職であるゆえのこだわりを持つ人も少なくなく、年長者の考えを受け入れられず悩むこともあります。例えば病院の検査室の場合、「縁の下の力持ち」という昔の感覚を持った年長のスタッフと、「チーム医療の一員」という現代の教育を受けた若いスタッフとの間で感覚のずれが生じることもあり、そのような時に、現在の職場で長く働いていくことに対して不安や疑問を抱いてしまう場合もあります。
- 夜間の勤務によるストレス
職場によっては深夜の勤務や時間外の呼出しなどが多いこともあります。女性の場合、家庭と仕事の両立のために、周りの理解や協力を得るために悩むことがあるもしれません。また、体力があるからという理由で、男性技師や若手技師に深夜帯の勤務や呼出し対応が多く回ってくる場合もあります。
特定の誰かに体力的にきつい勤務体制が偏るのではなく、子育てや介護などそれぞれの事情を考慮しつつ、公平な勤務体制を組めるように話し合える職場づくりが大切です。時には職場そのものを巻き込んで、皆が働きやすい体制をとることも必要です。
- 検体を扱うことへの抵抗感は、時間と経験が解決してくれる。女性特有の人間関係や、技術職ならではの焦りや不安、夜勤などの体力的負担でストレスを感じる場合も。
本記事は2016/12/31の情報で、内容は臨床検査技師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。